皮膚に備わる生体防御システムとは? 表皮・皮脂・血液凝固・常在菌によって異物の侵入を阻止

皮膚は、体の表面を覆い異物から体を守る器官です。面積は大人で約1.6m2におよび、これは畳1枚分と同じ大きさになります。皮膚には、水分の喪失や浸透を防いだり、体温調節を行ったり、痛みなどの刺激を受け取ったりするだけでなく、体内に異物を侵入させないための様々な防御システムが備わっています。今回は、皮膚に備わっている生体防御システムについて紹介していきます。

まず、皮膚表面の「表皮」で異物の侵入を防御します。皮膚の一番外側である角質層は、死細胞が蓄積して硬くなり、角化した層です。ウイルスは、単体で増殖することができないため、細胞に寄生することで増殖 する特性があります。そのため、死細胞でできた角質層で全身を覆うことによって、ウイルスが増殖するのを防いでいます。また、表皮の顆粒層にはタイトジャンクションという、隣り合う細胞の隙間を埋めてくれる細胞接着装置が存在しています。この装置は、皮膚だけでなく、胃や腸、膀胱、粘膜にも存在し、体に異物が侵入するのを防いでいます。

次に、「皮脂」や「汗」を分泌することで防御を行います。皮脂の成分には、トリグリセリド、遊離脂肪酸、肌の潤いや弾力を保つワックスエステル、保湿成分のスクワレンなどが含まれ、汗の成分には、水分やナトリウム、カリウム、重炭酸ナトリウム、尿素などが含まれています。これらの成分が角質層で混じり合い乳化することで、皮脂膜を形成します。皮脂膜は、化粧品でいう乳液や保湿クリームと同じ役割をしており、乾燥などから皮膚を守ってくれています。また、皮脂や汗が合わさって皮膚表面を弱酸性に保つことで、病原体の増殖を抑えています。

ケガをして出血した時には、傷口から病原体が体内に侵入しないように、「血液凝固」による防御が行われます。血管が破れて血が出ると、血管の収縮が起こり、傷口が小さくなります。そして、血液中の血小板が集まってきて、破れた血管に血栓を作ります(一次止血)。それだけでは不安定なため、血液凝固因子が連動してフィブリンというタンパク質で血餅を作ります(二次止血)。フィブリンが傷口を固める糊のような働きをすることで、傷口が頑丈になり、再び出血するのを防いでくれるのです。

さらに、表皮ブドウ球菌やアクネ桿菌など、皮膚に存在している「常在菌」も、生体防御に関与しています。例えば、表皮ブドウ球菌は、汗や皮膚をエサにグリセリンや抗菌ペプチドを作り出しています。グリセリンは皮膚のバリア機能を保ち、抗菌ペプチドは抗菌成分を作り出すことで、病原体の増殖を防いでいます。また、アクネ桿菌は、皮脂をエサにプロビオン酸や脂肪酸を作り出し、皮膚を弱酸性に保ってくれています。(監修:健康管理士一般指導員)


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