日本能率協会、「地域振興プロジェクト~つなぐ、つながる、まちづくり~」を開催、「今後の観光DX戦略」セミナーも

「地域振興プロジェクト~つなぐ、つながる、まちづくり~」の会場入口

日本能率協会は、国際観光施設協会のスマートシティ研究会プロジェクト「LINKED CITY」と共に推進する「地域振興プロジェクト~つなぐ、つながる、まちづくり~」を、2月9日と10日の2日間、東京ビッグサイト東展示棟8ホールで開催した。今回、38社が出展し3つのDXの構成要素や推進方法について、未来のサテライトオフィスや新時代の平家住宅などの製品を交えて紹介した。また、各種セミナーでは、地域振興の先行事例として、岐阜県下呂市の観光DXの取り組みを紹介。さらに、観光庁による今後の観光DX戦略について新コンテンツ開発推進室長が講演を行った。

「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした経済政策である「新しい資本主義」では、地方・地域を象徴として捉え、デジタル技術の活用によって、地域の持つ個性を磨きながら活性化していくことを目指している。一方で、地域が抱える課題である人口減少、高齢化、産業空洞化などを解決していくことが求められている。「地域振興プロジェクト」では、日本全国各地における前述の地域課題の解決および、各地域の持つ潜在的な魅力や経済力を最大限に発揮していくための地域のあり方を、全国の自治体・DMOに向けて発信している。

観光DX

同プロジェクトでは、地域振興は3つのDX(観光DX・人材DX・都市DX)によって実現できると定義し、「地域振興マネジメントモデル」を考えたという。

人材DX

内閣府は、デジタル田園都市国家構想推進交付金の「地方創生テレワークタイプ」として、地方へのひとの流れを創出する地方公共団体を支援するためにサテライトオフィス等の施設整備・運営・利用促進等の取り組みを行う地方公共団体を支援している。箱を作るだけでなく、地域の中での人の流れと域外からの人の流れを創出し、新たなビジネスを生み出していく形を構築するためのサテライトオフィスとは何か。ディー・サイン、丹青社、コクヨ、サーキュレーションとの連携によって実現したワンストップソリューションを体感してもらう空間展示を行った。

GXホーム

住宅の「脱炭素・防災レジリエンス・DX」の実現に向け、タカショー、パークホームズとの連携によって、IoT、庭、屋外照明、家具がパッケージセットとなった新時代の平屋住宅「GXホーム」を展示した。ローコストかつ、短い工期で納品可能なため建築資材の高騰による住宅購入の課題を解決。自由な時間を楽しむことができる「Well-Beingな暮らし」の実現を目指す。住宅利用に加え、宿泊、店舗、事務所、地域コミュニティ施設として活用でき、地域活性化・持続可能な経済社会の実現に貢献するという。

キャンピングカー

JTB、ジョルダン、ジョルテ、Digital Platfomerとの連携によって、サービス間を横断的に連携する公共サービス基盤である「予定・移動・決済のローカルプラットフォーム」をベースとしたサービスをモデル化した。会場内では、モデル化に成功した、旅行者の利便性向上と周遊促進、観光地経営の高度化、観光産業の生産性向上のためのデジタルツールと、観光デジタル人材の育成・活用の支援につながるサービスについて紹介した。

セミナー会場

セミナー会場では特別講演が行われた。2月9日には、観光庁 観光資源課の佐藤司新コンテンツ開発推進室長が「観光DXの推進による観光・地域経済活性化について」と題した講演を行った。「観光産業、宿泊業、旅行業は利益率が低く、多くが家族経営など中小零細企業となっている。このため、労働生産性も低い」と、観光に関わる産業の問題点について警鐘を鳴らす。「広告や予約などのデジタル化は、WEBトラベル系のサイトを通じて導入しているものの、そこから得られるデータを分析し、次の予約につなげるといった高度な活用には至っていない」と、デジタルデータを資源として捉えて、経営に活かしているところは皆無なのだと強調する。「業務系のデジタル化に至っては、大手のみの対応となっており、いまだにホワイトボードや紙で宿泊者や労働者などの管理を行っている」と、観光に関わる産業の現場はアナログが一般的だと力説する。「そのため、旅行者の情報を集めて次のアクションにつなげるようなことはできておらず、勘と経験による経営になってしまっている」と、経営の脆弱性が浮き彫りになっていると述べていた。

観光DX

「しかし、コロナ禍を機に、危機感を訴える経営者も少なくない」と、これまで通りの経営ではダメであるとコロナ禍で気づかされたという声が多いのだという。「そこで、観光DXを推進するための検討会を立ち上げた。この会には多種多様な専門家たちに入ってもらい、課題解決やロードマップ策定などを行っている」と、観光に関わる産業をバックアップしていくための体制を整えつつあると説明する。「たとえば、旅行者をターゲットにした観光アプリや、宿泊業などのDX推進、自治体やDMOデータに基づいた観光地活用、デジタル人材の育成。これらを地域に根付かせるべく活動を行っている」と、地域が一体となってデジタル化できるようにサポートしていくと訴えた。

「直近の課題として、サイトで予約から決済までを完結できていない宿泊業が多い。オンライン決済については、旅行者が望む決済手段を選べるようにする。こうすることで、個人個人にあった情報の提供につながっていく」と、決済方法手段を一例にあげて、旅行者にとって最適な情報を届けられるようにしていくことが観光DXの要になっていくと語っていた。「また、観光地に旅行者との接点になりえるタッチポイントを設置。旅行者それぞれにタイムリーなリコメンド情報をタッチポイントを通じて提供する。こうしたことができれば、ワン・トゥ・ワンマーケティングも可能になってくる」と、地域として何を成し遂げたいかを検討し、取り組んでいくことで様々な旅行者にアプローチできるようになるのではないかと話していた。「生産性向上についても、売上コストを詳細に管理することで、どの部分が生産性を上げているのかが把握できるようになる。こうして集められたデータから将来の販売計画を立案できるようになる」と、生産性向上によってサービスの高付加価値化や従業員への還元など、観光に関わる産業が稼げる産業へと変わっていけるのではないかと説明していた。

シェアサイクルプラットフォーム

このほか「下呂市における観光DXの取り組みについて」のセミナーも2月9日に開催。地域DMOである下呂温泉観光協会では、宿泊施設のデータを収集・分析して、地域としてプロモーションを検討する体制を構築。また、Google Analyticsや下呂温泉郷公式アプリ(CRM)などの動向調査・宿泊データ分析システムと連携した産業連関表といった様々なツールを活用することで、変化の早い観光市場に対し現状把握をして効果的なプロモーションによる実績を積んでいる。セミナーでは、それらの取り組み事例を話してくれた。

また、地域の活性化・持続可能な経済社会を実現する上で、食は重要な役割を担っている。食と農と産業観光ブースでは、日本全国にある農泊600ヵ所、8016棟の活用を実現するため、「アルベルゴ・ディフューゾ×デジタル」の推進方法を、北海道美瑛町における実例を交えながら、展示とブース内セミナーを通して情報発信をしていた。

LINKED CITY Z世代部の取り組みを紹介

さらに、ブース内では、「Z世代と考える有機農業と食の未来」を実施。20年以上前から毎年4月に代々木公園で10万人規模の環境フェスを開催しているアースデイ東京。そのユースコミュニティであるアースデイ東京ユースで、有機農業チームが立ち上がった。地球と健康に大切な有機農業関係人口を創出することでどう次世代につなげるか。有機給食を普及させるために環境省と一緒に考えたこれから取り組むアクションをZ世代である現役大学生が発表し、ユースを巻き込んだ有機農業と食のあり方について意見交換を行った。

[「地域振興プロジェクト~つなぐ、つながる、まちづくり~」開催概要]
日時:2月9日(木)~10日(金)10:00~17:00(最終日は16:30まで)
会場:東京ビッグサイト 東展示棟8ホール(東京都江東区有明3-11-1)

地域振興プロジェクト~つなぐ、つながる、まちづくり~=https://jma-hcj.com/lp/regional_promotion/
日本能率協会=https://www.jma.or.jp/


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