- 健康管理!教えて!!2025/09/19 21:49
「脾臓」が担う重要な役割とは? 摘出しても生きていけるが感染症リスクが大幅に上昇

私たちの体内の腹部左上にある「脾臓」は、握りこぶし大のスポンジ状の臓器で、血液の浄化や免疫機能、血液の貯蔵、そして胎児期には造血機能など、様々な役割を担っています。主に、古くなった赤血球の破壊、リンパ球の産生、血液中の細菌や異物の処理、血小板の貯蔵などを行います。脾臓は、大きく白脾髄と赤脾髄の2つの組織に分類されます。赤脾髄の中に白脾髄が島状に存在しており、それぞれ異なる働きをしています。
赤脾髄は、脾臓内の特殊な網目構造によって血液をろ過し、不要な物質を取り除きます。また、赤血球の状態を監視して、異常があったり、古くなったり、傷ついたりして正常に機能しなくなった赤血球を破壊し、残骸はマクロファージによって処分されます。さらに、乳幼児期では血球(赤血球、白血球、血小板)を生成し、成人になると体内の約3分の1の血小板を蓄え、大量出血した時など、緊急時に血球生成を行う働きをしています。
白脾髄は、B細胞やT細胞を成熟させ、異物に対して免疫反応を起こす場となります。まず、赤脾髄のろ過機能でマクロファージを中心とした免疫細胞が赤血球や外部からの異物を察知して対処します(自然免疫)。一次応答で対処しきれなかった場合、樹状細胞が抗原提示をし、白脾髄内のヘルパーT細胞が形質細胞に抗体を産生するように指令を出します。それら抗体やキラーT細胞の直接的な破壊によって異物と対処します(獲得免疫)。
交通事故などで脾臓を強く損傷した場合には、脾臓を摘出することがあります。肝臓などと違い、脾臓はなくても人は生きていくことが可能です。しかし、脾臓には肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なる)といった特定の種類の細菌に対する防御の役割があります。脾臓を摘出した場合には、感染リスクが特に高まるため、注意が必要です。(監修:健康管理士一般指導員)