- 健康管理!教えて!!2025/07/29 21:02
内臓脂肪がたまると怖い理由とは? 善玉・悪玉アディポサイトカインのバランスが乱れて生活習慣病の要因に

長い間、脂肪細胞は単なる中性脂肪の貯蔵庫だと考えられていましたが、近年では、糖代謝や脂質代謝がスムーズに行われるための生理活性物質を分泌する「内分泌細胞」としての役割を持つことがわかってきました。脂肪細胞が分泌する生理活性物質を総称して「アディポサイトカイン」といいます。
アディポサイトカインには、アディポネクチンやレプチンなどの「善玉アディポサイトカイン」と、PAI-1やTNF-αなどの「悪玉アディポサイトカイン」があります。正常な状態では、これら善玉・悪玉アディポサイトカインの分泌はバランスよく保たれています。しかし、内臓脂肪が蓄積した状態になると、このバランスが崩れたり、善玉アディポサイトカインが本来の役割を果たせなくなったりしてしまいます。その結果、血栓ができやすくなったり、血圧が上昇したりしてしまいます。そして、こうした分泌の乱れが生活習慣病やその進展に大きく関わっていると考えられています。
では、善玉のアディポネクチンは、体の中でどのような働きをしているのでしょうか。どんな人でも、普段から血圧や血糖値の上昇、血中脂質、悪玉アディポサイトカインなどによって血管が少しずつ傷つけられています。血液中を流れて全身をめぐっているアディポネクチンは、血管が傷ついているところを見つけると、素早く入り込んで修復してくれます。例えるならば、体内のいたるところで起きる「ぼや」を「大火」にしないよう、消して回っている消防隊といえるでしょう。他にも、体内の糖の代謝をスムーズにしたり、インスリンの働きを高める作用、血管を広げて高血圧を抑えたりするといった役割を果たしています。
また、レプチンは、食欲を低下させる作用があり、分泌されると中枢神経を刺激して、一定以上食べると食欲が抑えられます。しかし、内臓脂肪がたまっている肥満の人は、大量のレプチンが脂肪細胞からつくられているのにもかかわらず、食欲中枢がスムーズに働かなくなっているのではないかと考えられています。(監修:健康管理士一般指導員)