疲労を感じるメカニズムとは? 免疫細胞が産生する炎症性サイトカインが疲労の原因に

私たちは、日常生活を送る中で、仕事や運動、ストレスなど様々な場面において“だるい”、“しんどい”といった感覚で「疲れた」と感じることがあります。これは、脳から「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という人間の生体におけるアラーム(警告)で、痛みや発熱とともに「三大生体アラーム」の一つといわれています。痛みや発熱は、多くの人が鎮痛剤や風邪薬などで対処しますが、疲労はこれらに比べて危機感を感じにくく、対処しきれていないことが多いのです。

特に日本は、勤勉を美徳とする考えが根強く存在しており、他国に比べて仕事に費やす時間が長いことが疲労大国と言われる要因であると考えられています。残業や休暇の取りにくさなど、文化の価値観から休みにくく、疲れを溜め込んでしまう傾向にあります。疲労感は数値化できない上に、感じにくいため、たかが疲れと軽視せず、自分に合った方法で対処していくことが大切です。

では、疲労とはどのようなメカニズムで生まれるのでしょうか。私たちの体の最小単位は細胞であり、脳や筋肉、内臓などもすべて細胞の塊です。体に存在する無数の細胞内には、ミトコンドリアと呼ばれるエネルギー産生工場があり、絶えず酸素を介してエネルギーを生み出しています。脳細胞や筋肉細胞が活発に働くと、細胞内のミトコンドリアがエネルギー産生する過程で活性酸素が発生します。細胞は本来、活性酸素に対する抗酸化防御システムを備えていますが、活性酸素が過剰に作られすぎると、この防御システムが追い付かず、細胞は傷ついたままになり、修復機能も働きにくくなります。

その状況を察知した免疫細胞が、炎症性サイトカインという生理活性物質を生産し、炎症反応を起こします。そして、この炎症反応が脳で起きると、倦怠感や意欲低下、筋肉では発熱や痛みとなり現れ、疲労の原因になるといわれています。

また近年、疲労メカニズムの研究の進歩によって、免疫細胞が炎症性サイトカインを産生する際に関わる因子が新たに発見されました。「eIF2α」というタンパク質合成因子がリン酸化され「リン酸化eIF2α」に変化することで炎症性サイトカインを産生します。このリン酸化eIF2αこそが疲労因子であり、炎症性サイトカインを産生することで疲労感をもたらすとともに、体にダメージを与え体の疲れをもたらすことがわかってきたそうです。(監修:健康管理士一般指導員)


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