インフルエンザの新ワクチン「フルミスト点鼻液」とは? 2歳以上19歳未満が接種対象に

昨年から今年にかけて、インフルエンザの全国的な流行が続いています。これは近年、新型コロナウイルス感染症の影響で、インフルエンザの流行が低調であったため、インフルエンザに対する抗体の保有割合が全年齢で低下傾向にあることが原因として考えられています。特に、昨年9月からA型の患者数が増加し、10月中旬以降は全国的に注意報または警報レベルの流行となり、各地で学級閉鎖・学校閉鎖が頻発する状況となっています。

こうした中、厚生労働省の専門部会は、昨年2月27日にインフルエンザのワクチン「フルミスト点鼻液」について製造販売を認める方針を了承しました。そして、3月27日に「インフルエンザの予防」を適応として国内製造販売が承認され、国内で初めて鼻スプレー型のワクチンが実用化されました。このワクチンは、2歳以上19歳未満の人が対象で、医療機関で左右の鼻腔内に0.1mLを1回ずつ噴霧するだけで接種が完了し、効果は1年程度持続するといわれています。

従来のインフルエンザワクチンは、鶏卵を使ってインフルエンザウイルスを培養し、不活化したものを注射で皮下投与します。血液中にウイルスを中和する抗体が作られることで、発病や重症化、死亡の予防に対して、一定の効果があるとされています。これに対して、「フルミスト点鼻液」は、弱毒化した生ワクチンを投与する点が大きな違いとのこと。鼻にワクチンを噴霧すると、弱毒化されたウイルスが鼻やのどの粘膜に軽い感染を起こします。すると、体内では血液中に抗体が形成されるとともに、鼻やのどの粘膜部分にも局所的に抗体が作られます。この粘膜に作られた抗体の働きによって、ウイルスの体内への侵入自体を防ぐ効果が期待できるそうです。

このように、従来のワクチンが重症化予防に重点を置くのに対して、「フルミスト点鼻液」は感染予防にも効果が期待できるといわれています。なお、投与後に感冒症状(鼻水や発熱等の症状)が生じる場合もありますが、インフルエンザを発病しているわけではなく、他人への感染の心配もないとのこと。ほかにも、従来のワクチンは生後6ヵ月~12歳では2回の接種が必要になりますが、このワクチンはほとんどの人が1回の接種で済む点も大きな特徴となっています。

では、「フルミスト点鼻液」には、なぜ対象年齢(2~19歳)が設定されているのでしょうか。大人は感染経験の自覚があるなしにかかわらず、多くの人がすでに一定のインフルエンザに対する抗体を持っています。そのため、大人に生ワクチンを投与した場合、既存の免疫がワクチンのウイルスを排除してしまい、ワクチンとしての効果が弱くなってしまうことが考えられます。

一方で、子どもはインフルエンザに感染した経験がないか、少なく、まだ抗体を持っていないため、投与後に軽い感染状態を作り出すことができます。結果として、体内に強力な抗体を形成させることができるのです。つまり、子どもに対して有効性が高いワクチンであるため、対象年齢が設けられているとのこと。なお、免疫不全や喘息の人、長期アスピリン治療を受けている人などは接種できないため、事前に医療機関で確認するようにしてください。(監修:健康管理士一般指導員)


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