急速に進化するデジタル社会に脳のシステムが追いつけない? うつ病やスマホ依存症の引き金に

ここ数十年で、パソコンやスマートフォンが急速に普及し、私たちの生活は大きく変化しました。一方で、脳のシステムのほとんどは大昔のままで、この急速なデジタル社会の変化に適応できていないといわれています。このことが、近年、ストレスによる病気や依存症が増加している要因の一つとなっているのではないかと指摘されています。

原始時代の人間は、常に敵や動物に攻撃されるかもしれないという命の危機にさらされていたため、警告を伝える脳の扁桃体が非常に敏感であるほど対応が早く、生き延びる確率を上げることができました。また、ストレスへの対処法は逃げるか戦うかの2択のみであり、生命を守ることが優先されるため、生命維持に関与しない体の機能は放棄するシステムがつくられました。例えば、睡眠や消化機能は放棄されて、全身に血液を送ることや筋肉の熱産生は活発になります。

これに対して、現代は命の危機に遭遇することは滅多になく、身近なストレスといえば、体調の悩みや対人関係の悩みであり、大昔に比べて複雑で解決するには長い時間を要します。しかし、脳のシステムは大昔と変わらず扁桃体が敏感なままであるため、こういった現代のストレスにも敏感に反応してしまうそうです。また、長期間ストレスが続くことに対応できず、不眠や食欲不振といった症状を引き起こします。神経回路は生まれ変わるため、過去の経験によってこれらのストレスに対処することはできても、根本的な脳の機能は変わっていないため、脳は「現代のストレス」に弱く、うつ病などが増加しているのではないかと考えられています。

また現在は、スマートフォンの普及により新しい情報をいつ・どこにいても手に入れることができます。新しい情報を手に入れるとドーパミンが分泌されて面白いと感じ、もっと情報が欲しくなります。しかし、ドーパミンは報酬系の神経伝達物質であるため、制御できなくなると依存症につながる恐れがあります。このドーパミンは、大昔において「食料があるかもしれないから新しい場所に行ってみよう」「狩りの効率を高めるためにはどうしたら良いか」などの知的好奇心や、群れで暮らすために大切な「人に認められることが嬉しい」といった承認欲求などにかかわっており、生きるために欠かせない意欲を生み出すものだったそうです。

現代にもドーパミンが分泌されるシステムは受け継がれていますが、大昔は、スマートフォンのように永遠と情報を与える存在はなかったため、依存症を防ぐために一定量を超えるとドーパミンを出さないというシステムは備わっていません。その結果、「スマホ依存症」を引き起こしてしまうのです。また、もっと多くの人に認められたいという感情から、過剰な行動をインターネットに投稿するといった問題行動にもつながっているとされています。

このように、脳の機能は急速なデジタル社会の進化についていけないため、ストレスによる病気や依存症などの不調をきたしやすいといわれています。しかし、時代の流れに逆らって生きていくことはできません。そのため、大昔から続けていた食事・運動・睡眠・人とのかかわりといった基本的なことを大切にして、脳の健康を守っていきましょう。(監修:健康管理士一般指導員)


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