人が老化していく要因とは?後編~オートファジーと幹細胞~

前回のコラムでは、人の老化に関わる要因として、「テロメアの短縮」と「DNAの損傷」について説明しました。次に、老化の要因の3つ目は「オートファジーの低下」です。オートファジーとは、「Auto:自ら」「Phagy:食べる」=自食作用といわれ、細胞内にある老廃物や古くなったミトコンドリアなどの細胞小器官を分解する仕組みのことです。細胞内部の秩序を整え、細胞の機能を正常に保つためには欠かせない働きとされています。

具体的なオートファジーの仕組みとしては、まず、細胞内部に老廃物が見つかると、それらを包み込むための膜(隔離膜)が出現します。この隔離膜は老廃物などを包み込むように大きくなり、やがて球体状になります。これを「オートファゴソーム」と呼んでいます。その後、オートファゴソームは、細胞内に存在するリソソームと融合します。

リソソームには、分解酵素が含まれており、オートファゴソーム内部の老廃物などを分解処理していきます。分解されることで、アミノ酸、脂肪酸、グルコースなどが生成され、細胞に必要なタンパク質の合成材料やエネルギーとして再利用されるようになります。このように、オートファジーの仕組みによって、細胞内の不要になったものをリサイクルしつつ、内部環境を整えているのです。

しかし、加齢によってオートファジーの働きは低下してしまうといわれています。すると、細胞内は老廃物であふれたゴミ屋敷のようになり、ミトコンドリアの機能低下などを引き起こします。ミトコンドリアは、エネルギー産生を担っているため、エネルギーが十分に作り出せなくなることで、細胞分裂をして新しい細胞を生成したり、傷ついた細胞を修復することができなくなります。

また、機能の低下がみられるミトコンドリアは、エネルギーを生み出す際に発生する活性酸素の量が通常よりも多くなる傾向にあるとのこと。例えるならば、古くなった車のエンジンを使用すると、排気ガスが多く出るのと同じようなことです。古くなったミトコンドリアから発生した過剰な活性酸素は、細胞の酸化を引き起こし、老化を加速させるといわれています。

最後に紹介する老化の要因は「幹細胞の減少」です。幹細胞の役割は、新たに細胞を生み出すことです。通常の細胞で起こる細胞分裂のとの違いは、「自己複製能」を持つということです。通常は、増殖する際に細胞自身が2つに分裂しますが、幹細胞は自己複製をすることで自分自身は消えることなく、新たな細胞を生み出すことができるのだとか。自己複製能があることから、理論上は幹細胞の減少は起こらないはずですが、加齢とともに幹細胞自体も減ってしまい、新たな細胞を生み出すことができなくなり、老化につながると考えられています。(監修:健康管理士一般指導員)


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