- 健康管理!教えて!!2025/11/26 20:44
虫歯には「目には見えない」時期がある? 進行度合いに応じて異なる虫歯の治療法

これまで、虫歯の検査は、虫歯の穴と白斑(酸によって歯の表面がもろくなり、表面が白く見える状態)を見出すための視診や触診が主でした。視診に頼る診断は、虫歯が目に見えるレベルにまで拡大進行した後なので、手遅れの発見、すなわち「疾病の発見」が目的となります。これに対し、疾患が形成される前段階の「目に見えない虫歯」の時期における各種環境因子の評価、すなわち「リスクの発見」を目的とした生化学・微生物学的歯科臨床検査が第一線の歯科診療所で稼働しています。
例えば、歯垢をつくるミュータンスレンサ球菌(MS菌)の検査を行うと、虫歯の多い人と少ない人の間には、著しい細菌学的な「質の差」が認められます。そのため、これまでは歯垢の危険性を付着量として扱ってきましたが、これに加えて質的(歯垢の病原性)な評価も重要とされています。そして、虫歯の治療においても「目に見える虫歯」と「目に見えない虫歯」で、それぞれ治療法が異なってきます。
「目に見える虫歯」では、虫歯がかなり進行した後の一般的な治療が行われます。近年、虫歯治療にも導入され始めた新しい概念がミニマム・インターベンションです。これは、病巣だけを小さく除去して健全な歯質をできるだけ残し、金属を使わずに歯と同じ色をした有機材料で修復する方法です。今までの治療法では、金属修復物の維持を目的として健康な歯の部分まで削っていましたが、この考え方に基づいた治療では、健康な歯を最大限に生かすことができます。
「目に見えない虫歯」は、歯の表面が歯垢で覆われている状態です。歯の表面が歯垢に覆われると、その直下では脱灰反応が起きています。見た目は異常がない歯の表面でも歯垢を取り除いて顕微鏡で見てみると、微細な虫歯が始まっているそうです。このような状態を「マイクロカリエス」と呼び、放置すればやがて肉眼レベルの虫歯に拡大します。
こうした「目に見えない虫歯」に対する治療では、専門的な器具を使って頑固な歯垢を徹底的に除去し、唾液を歯面に流通させ再石灰化を促します。これは純粋な「予防」というよりも、虫歯が肉眼レベルに拡大するプロセスに対する「虫歯治療」といえます。この治療は、痛みをともなわないプロフェッショナルケアであるため、定期的に歯科を受診することが、「目に見える虫歯」をつくらないための予防になるのです。(監修:健康管理士一般指導員)
















