太陽インキ製造、「ヒト」と「ミライ」が化ける新しい技術開発センター「InnoValley」を開設、内覧会で施設の全貌を公開

左から:大成建設 設計本部 建築設計第二部 部長の杉江大典氏、太陽ホールディングス 代表取締役社長の佐藤英志氏、太陽インキ製造 代表取締役社長の峰岸昌司氏、DRAFT Inc. シニアディレクターの中村嶺介氏

太陽ホールディングスの子会社でエレクトロニクス事業を担う太陽インキ製造は、4月24日から埼玉県の太陽ホールディングス嵐山事業所内に技術開発センター「InnoValley (イノヴァリー) 」を開設した。この開設に合わせて、同日に行われた記者発表会では、「InnoValley」の施設概要や建設計画、オフィスエリアのインテリアデザインなどについて説明した他、ツアー形式の内覧会で施設の全貌を公開した。

太陽ホールディングス 代表取締役社長の佐藤英志氏

「昨年70周年を迎えた太陽ホールディングスは、エレクトロニクス事業、医療・医薬品事業、ICT&S事業の3本柱で事業を展開し、〝グローバル化学メーカー”として日本から世界へ広がるネットワークを構築している。そして今回、エレクトロニクス事業を担う太陽インキ製造において、当グループ初となる技術開発センターを開設する」と、太陽ホールディングス 代表取締役社長の佐藤英志氏が挨拶。「エレクトロニクス事業の需要拡大にともない、太陽インキ製造の従業員も年々増加しており、昨年は10年前の約2倍となる389名に達した。こうした状況を背景に、半導体市場の回復に合わせて、エレクトロニクス事業をさらなる成長軌道に乗せると共に、人的資本経営を実現し企業価値を高めていくために、技術開発センターを新設することとなった」と、新たに技術開発センターを開設する狙いを述べた。

「InnoValley」の外観

「施設名称の『InnoValley』は、同施設を利用する社員から社内公募を行い、応募総数177件の中から決定した。InnoValleyは、『革新の渓谷』を意味する造語で、この技術開発センターが創造と革新の源泉となり、新たなアイデアや製品が流れだす場所であることを表現している。“Inno”はInnovation(革新)の略であり、“Valley”(渓谷)は施設所在地と施設内特徴にも係る嵐山渓谷を意味している」と、施設名の由来について言及。「人口減少による人手不足感が強まる中で、世界における競争力を高めていくためには、『ヒトへの投資』強化が必要不可欠となる。当グループでは、長期経営構想の基本方針として『自律型人材の育成』に注力しており、『InnoValley』もこの方針に基づき、楽しい社会を実現するヒトづくり、さらに想像を超える未来に向けたモノづくりにつながる“『ヒト』と『ミライ』が化ける、新しい技術開発センター”を目指していく」と、「InnoValley」の展望を語った。

太陽インキ製造 代表取締役社長の峰岸昌司氏

続いて、太陽インキ製造 代表取締役社長の峰岸昌司氏が、「InnoValley」の施設概要について紹介した。「当社は、エレクトロニクス事業において、ソルダーレジスト等のプリント基盤用部材を始めとする電子部品用化学品部材の開発・製造販売および仕入れ販売を担っている。今回の『InnoValley』によって、顧客基盤の強化をはじめ、半導体プロセスなどに向けたソルダーレジストの製造技術展開、感光性カバーレイや半導体厚膜封止材といった継続的な新製品上市の迅速化、新規事業の創出を推進していく」と、エレクトロニクス事業における「InnoValley」の位置づけを説明。「地上6階からなる『InnoValley』は、太陽ホールディングスグループの経営理念を実現するため大切にしているグループ共通の価値観『太陽バリュー』を踏まえて設計されており、1~3階の低層がラボエリア、4~6階の高層がオフィスエリアとなっている。低層フロアと高層フロアの異なる環境を行き来することで、社員のポテンシャルを最大限に引き出していく」と、知的生産性の向上とコミュニケーションの活発化に向けて低層と高層で異なる環境を設けているのだと話していた。

オフィスエリアの5階 ABWエリア

「施設内の構造には、『InnoValley』を利用する開発部門を中心とした社員によるワークショップの意見が随所に反映されている。オフィスエリアでは、固定席に加え、次世代型オフィスデザインABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を2フロア分設置した。チーム内外での自然な情報共有など開発の源泉となる偶発的なコミュニケーションを喚起する。また、状況に応じた多様な働き方に対応できるようにすることで、ワーク・エンゲージメントの向上を図る」とのこと。

ラボエリアの2階 分散スケールアップ室

「ラボエリアでは、露光機やラミネーターなどの各種最先端設備を導入したことで、主製品であるソルダーレジストや半導体関連材料をはじめとした基板周辺材料の開発・製造・評価までが可能になった。さらに、各材料室や実験室の行き来をスムーズにした回遊式動線を確保し、新たな分散装置と試作塗工機を施設内に設置したことで、評価用のサンプル作製までにかかる時間を従来の約3分の1に短縮している」と、同社グループ初の試みが施設内の各所に施されていると教えてくれた。

大成建設 設計本部 建築設計第二部 部長の杉江大典氏

「InnoValley」の建設計画について、大成建設 設計本部 建築設計第二部 部長の杉江大典氏が説明した。「この地で働く人々が、武蔵嵐山の豊かな自然環境を享受し、チーム力と発想力が喚起されるような建物を創りたいと考えた。技術開発の拠点として、機能的で回遊性のある使いやすい実験環境を確保した上で、将来の更新にも対応できるフレキシビリティの高い建築計画とすることで、将来にわたり高度な開発をすることのできる施設になっている」と、将来を見据えたフレキシブルな建設計画にしたという。「オフィスエリアは外部に開かれた明るく健康的なオフィス、ラボエリアは外部環境の影響を受けない安定した環境に設計した。外観は、周囲の森に調和するアースカラーのルーバーで覆われた低層のボリュームと、ダイナミックに跳ね出し空に向かって伸びる庇で構成された上部のガラスボリュームの対比によって太陽バリューの『スピード』と『コミュニケーション』を体現している」と、施設全体の構成について解説した。「このほか、効果的な環境配慮技術を導入し、建物の省エネ効果を評価する『ZEB Ready』の達成に加え、建物の品質を総合的に評価する『CASBEE』および『CASBEE-ウェルネスオフィス』においても最高となるSランクを獲得した」と、開発拠点としては珍しい公共機関から3つの認証を獲得していることも強調していた。

DRAFT Inc. シニアディレクターの中村嶺介氏

次に、DRAFT Inc. シニアディレクターの中村嶺介氏が、オフィスエリアのインテリアデザインについて紹介した。「『嵐山から世界へ。世界から嵐山へ。太陽インキ製造らしい、世界にひとつの技術開発センター。』をコンセプトに掲げ、嵐山の恵まれた自然環境の中で太陽インキ製造らしい働き方を最大限に活かせる空間や来訪者を驚かせる仕組みを盛り込んだ、新施設に最適なデザインを構築した」と、オフィスエリアのデザインコンセプトを語る。「嵐山という場所と、新たな働き方を実現する技術開発センターとの相乗効果によって生み出された世界に通用するオンリーワンの施設の実現を目指した。インテリアのデザインは、自然の力で形成された嵐山に立地するということからイメージを紐解いていった」と、嵐山の環境を巧みに内部空間へと取り込み、外界のインスピレーションをも活かしたイノベーションを誘発する空間に仕上げたと胸を張る。「太陽ホールディングスが以前から大切にしている『質の高いものに触れ感性を磨く』という点も重要視し、素材においても徹底的なこだわりを持って選び抜いた上質な空間となっている」と、オフィスエリアで使う素材にもこだわったと話していた。

発表会の終了後には、ツアー形式で「InnoValley」の施設内覧会が行われた。各フロアの注目ポイントを見ていこう。

1階 エントランスホール

施設の顔となるエントランスは、リズム感のある木製ルーバーに囲まれ、武蔵嵐山の自然が織りなす静寂な空間を演出している。林道のような階段を登ると、国内外で活躍する左官職人 久住有生氏が手掛けた、そよ風と小川のせせらぎを感じる左官壁に包まれる。天井高さは8m、2面ガラスカーテンウォールの開放的な空間で、来訪者を迎え入れる。中央吹き抜けのエリアでは、椅子やモニターを並べることで、社内外の人々が集まるイベント使用も可能となっている。また、入口上部には武蔵嵐山で育った楮(こうぞ)を原料に、埼玉県小川町(嵐山町の隣町)の手漉き和紙職人 谷野裕子氏が手掛けた小川和紙が揺れる、楮畑(こうぞばたけ)を彷彿とさせる演出が施されている。

2階 INSPIRATION SPACE(Historyコーナー)

エントランスから階段を上ってすぐ、同社の技術と歴史、未来についてデジタルとアナログの融合で表現したスペース「INSPIRATION SPACE」を設けた。「INSPIRATION SPACE」という名称には、「訪れる全ての人々にとって、様々な発想を生み出すきっかけとなって欲しい」という願いが込められている。来社した人や取引先と新規ビジネスに向けたディスカッションができる場として、また社員にとっては新たな事業創出を目指す中で、インスピレーションを受ける場として活用する。

2階 特定評価室

ラボエリア2階の分析・評価エリアでは、日々の顧客サポートはもちろん、最先端技術の発展のため、微細な分析に対応する機器や、長期間の信頼性評価が可能な、各種分析・評価装置を導入している。ガラス張りで仕切りのない分析室では、温湿度等の管理が徹底された空間の中にも開放感があり、開発社員同士の自然なコミュニケーションによる、創造的なアイデアの創出が期待できるとのこと。

3階 SPACE FOR THE FUTURE(未実装エリア)

ラボエリア3階は、フレキシブルな事業展開を可能にするため「SPACE FOR THE FUTURE(未実装エリア)」とし、拡張性と更新性を確保している。

4階から6階の吹き抜け

オフィスエリアの4階から6階は、嵐山渓谷を感じられるダイナミックな吹き抜けで空間がつながっている。吹き抜けからは、他フロアの様子が目に入るようにデザインされ、人とのつながりを自然に感じることができる。

4階 固定席スペース

オフィスエリア4階は、全部署の従業員(約120名)がゆとりをもって仕事ができる、固定席スペースを1フロアに設けた。仕切りを設けない風通しの良い空間が、部署内外問わず自然なコミュニケーションを生み出すとのこと。4面開口としているため、各所の大きなガラス張りの窓から嵐山町の豊かな自然が眺望でき、リラックスして働ける空間となっている。

5階 ABWエリア

オフィスエリア5階と6階は、「仕事する環境は自分で選ぶ」という考え方に基づいた新しいワークスタイルのABWエリアとなっている。5階は、東西で異なった空間を演出し、シーンによる使い分けが可能。東側は「動」のスペースとして、様々人数で活発にディスカッションができるようなオープンスペースを多数設け、西側は「静」のスぺ―スとして、インテリアの色彩を暗くし、集中して仕事ができるスペースを多数用意している。また、ABWエリアとは別に、大小様々な会議室も設置しており、区切られた空間の中で集中したディスカッションが必要な場面では会議室を使用する。個人参加のオンラインミーティングや、集中作業などで使用できる個人ブースも用意している。

6階 ABWエリア

6階のABWエリアは、主に顧客や取引先との協働エリアとして活用する。リラックスした空間の中で創造的なディスカッションが実施できる場所として、少人数で落ち着いて打ち合わせができる空間から、十数人でのプレゼンテーションに対応できるスペースまで、様々なシーンに対応する。

VIP. MEETING ROOM

また、区切られた空間での顧客や取引先との打ち合わせに活用する「VIP. LOUNGE」と「VIP. MEETING ROOM」を用意。ディスカッション内容により、ABWエリアとの使い分けが可能となっている。なお、同スペースには、国内外で活躍する左官職人 久住有生氏の左官壁や、香川県産の庵治石を主役としたテーブルを設け、特別な顧客を迎える重厚感のある空間を演出している。

「Hall(大講堂)」は、区切りのない広い空間とすることで場面に合わせたレイアウト変更が可能。大人数での発表会やパネルディスカッション等、用途に合わせ様々な目的で使用できり。平常時はABWエリアの1つとして、個人作業や打ち合わせはもちろん、昼食場所等にも使用できるようになっている。

太陽ホールディングス=https://www.taiyo-hd.co.jp
太陽インキ製造=https://www.taiyo-hd.co.jp/jp/group/ink/


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