- Health&Medical2025/12/08 21:10
中外製薬、「CHUGAI INNOVATION DAY 2025」を開催、創業100周年の節目に各界のリーダーが「共創」を焦点に当てて議論

中外製薬は、サイエンスとテクノロジーによるヘルスケアの未来をテーマに、共創によるイノベーション創発に焦点を当てたビジネスカンファレンス「CHUGAI INNOVATION DAY 2025」を11月27日、28日に開催した。創業100周年の節目を迎えた今年のカンファレンスは、「ヘルスケアの未来を生み出す、イノベーションの交差点。」をコンセプトに、同社がこれまで生み出してきたイノベーションの軌跡と、その裏側にある挑戦と成果を深く掘り下げると共に、異分野融合、個別化医療、DXの最前線まで、各界で活躍するリーダーを招きディスカッションを繰り広げた。28日のDAY2では、「サイエンス×テクノロジーの可能性」をテーマに、サイエンスとテクノロジーが融合することで形作られる未来の健康・医療の姿を様々な角度から探求した。
「CHUGAI INNOVATION DAY」は、中外製薬の最新の取り組みを紹介すると共に、各界のリーダーを招き、最先端の知見と多様な視点を交えながら、これからのヘルスケアのあり方を考えるビジネスカンファレンスで、今年で6年目を迎える。「開催当初は、中外製薬のデジタル関連の取り組みを幅広く伝えるためのイベントとして、オンラインのみで行われていた。その後、“イノベーション”というキーワードにフォーカスを当て、『デジタル』と『ライフサイエンス』の2つの取り組みを軸にして内容を拡大。4年目からはリアルとオンラインのハイブリッドで開催しており、年々注目度が高まってきている」と、これまでの「CHUGAI INNOVATION DAY」の歩みを紹介するのは、同社 広報IP部 メディアリレーションズグループ 課長の香西直樹氏。「今年3月、当社は創業100周年を迎え、様々な記念行事や取り組みを行ってきたが、『CHUGAI INNOVATION DAY』は、その集大成的なイベントとして位置づけている」と、今年は特別な意味を持つカンファレスなのだと強調した。

「創業100周年の主な取り組みとしては、今年5月に記念式典を開催。また、社員の家族・パートナーをオフィスに招き、会社の歴史や仕事内容を伝えるイベント『Chugai Day』を事業所ごとに開催している。さらに、社員一人ひとりが未来へのアクションを宣言する『My Action宣言』をグループ全社で展開し、特設サイトで公開している」と、創業100周年の記念プロジェクトについて紹介。「この記念プロジェクトの集大成となる『CHUGAI INNOVATION DAY 2025』では、共創によるイノベーション創発に焦点をあて、『ヘルスケアの未来を生み出す、イノベーションの交差点。』をコンセプトに掲げた。次の100年に向けて、サイエンスとテクノロジーを組み合わせ、あらゆる分野を飛び越えて共創し、イノベーションを起こしていくべく、各界で活躍するリーダーと共にヘルスケアの未来を考える場を提供する」と、「CHUGAI INNOVATION DAY 2025」の開催趣旨を説明した。

「CHUGAI INNOVATION DAY 2025」は、11月27日のDAY1「イノベーションの源泉」と、28日のDAY2「サイエンス×テクノロジーの可能性」の2日間にわたって開催され、DAY2には、業界の枠を超えた共創をテーマにしたセッション2「異分野融合が拓くDX最前線」が行われた。同セッションでは、中外製薬 臨床開発本部長の水井啓広氏、アストラゼネカ カスタマーエキスペリエンス&IT本部 Directorの大河原美佐紀氏、小野薬品工業 執行役員 デジタルテクノロジー本部長の三戸仁氏、塩野義製薬 執行役員 DX推進本部長の三春洋介氏が参加。製薬各社のイノベーション事例紹介やディスカッションを通し、異分野融合や異業種連携による協業への期待と、参画意欲を高める場を提供した。

最初の基調講演には、中外製薬の水井氏が登壇。「異業種連携で取り組む臨床開発プロセス変革」をテーマに、異分野連携とデジタル技術の活用によって臨床開発プロセスを変革する取り組みを紹介した。医薬品の開発では、創薬から承認取得に至るまでの間に、成功確率の低さ、多大な投資、長期にわたる開発期間など、多くの課題がある。これらを克服し、社会課題の解決に貢献するべく、多くの製薬企業で生成AIの活用が活発化している。水井氏は、同社とソフトバンクの強みを融合させたマルチAIエージェントの開発事例を紹介。異分野パートナーとの共創によって医薬品開発の生産性向上を図り、革新的な医薬品を必要とする人々に1日でも早く届けたいと意欲を見せた。また、製薬業界において、競合だけでなく共創も重要であるという価値観が徐々に広がりつつあり、この波が大きなうねりになれば、理想の未来に近づいていくとの考えを述べた。

続いて、「他業種とのコラボレーション事例ご紹介~Maas~」をテーマに、アストラゼネカの大河原氏が基調講演を行った。大河原氏は、同社が取り組む異業種とのコラボレーション事例として、自動車業界においてトヨタ紡織と進めている「モビリティ×ヘルスケア」の検討を紹介。この取り組みでは、車内外のセンサーや気象データ、バイタル情報を活用し、快適かつ安全な移動空間の提供を目指しているという。大阪・関西万博で展示されたコンセプトカー「MOOX」では、最先端のウエルネス体験が提案され、移動時間を健康増進に活用する未来のモビリティの可能性を示した。疾患の早期発見・早期治療介入に寄与する新たなテクノロジーや、異業種の融合による新たな価値創出を通し、社会課題解決に向けてヘルスケア業界全体で目指していくと語った。

次に登壇した小野薬品工業の三戸氏は、「小野薬品の共創活動の中から」をテーマに基調講演を行った。これまで同社では、プロスタグランジン、オプジーボと、オープンイノベーションで新薬を生み出してきた。現在の創薬活動に加え、新規事業や人材育成の活動も引き続き重要視しており、ベンチャーへの出向、提案、投資、共創活動などにも取り組んでいる。特にベンチャー出向では、帰任後にスピード感の違いを口にする社員が多く、その発言と行動が周囲に好影響をもたらしているという。三戸氏は、オープンイノベーションの前提はWin-Winが成立していることにあり、自社視点だけでなく相手側の視点を持てるかが重要であるとの考えを示し、今後もそうした視点を持った社員を育てていきたいと述べていた。

塩野義製薬の三春氏による基調講演では、「SHIONOGIのDXにおけるオープンイノベーション」をテーマに、具体的なオープンイノベーションの取り組み事例について説明した。同社では、新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出すことを目指しており、その実現にはデジタル分野でのオープンイノベーションが必要不可欠となる。製薬とテックの協働には、規模や文化、意思決定のスピードなど多様な違いが存在する。それだけに、「オープンかつフェア」であることを重視しているという。講演では、この理念に基づいたオープンイノベーション事例として、米Akili社のデジタル治療用アプリ「ENDEAVORRIDE」の国内販売、FRONTEOとの「あたまの健康度」判定Webアプリケーション「トークラボKIBIT」の共同開発、ピクシーダストテクノロジーとの「ガンマ波サウンド」の共同開発などの取り組みを紹介した。

最後に行われたパネルディスカッションでは、中外製薬 デジタルトランスフォーメーションユニット デジタルソリューション部長の小原圭介氏がモデレーターを務め、基調講演に登壇した中外製薬の水井氏、アストラゼネカの大河原氏、小野薬品工業の三戸氏、塩野義製薬の三春氏が、セッションテーマ「異分野融合が拓くDX最前線」を基に、業界の枠を超えた共創が新たな価値を生み出す可能性について意見を交わした。各社が発表した事例を踏まえて、異業種との共創を進める中で直面した課題や、それを克服するための取り組みなどを、それぞれの立場から語り合った。

パネルディスカッションを終えて中外製薬の小原氏は、「異分野との共創を進めるためには、お互いの企業ビジョンを共有すると共に、リーダーシップを発揮することが大切であると感じた。また、社内のバイアスや業界特有の法規制を乗り越えていくためには、社内外の信頼関係が重要になることも示された。そして、各社それぞれ得意領域や目指す方向性が異なる中でも、製薬会社として“患者中心”という価値観は同じであることを再認識することができた。このセッションをきっかけに、ヘルスケアに関わる社会課題の解決やイノベーション創発に向けて、新たな共創が広がっていくことを期待している」とまとめた。
中外製薬=https://www.chugai-pharm.co.jp/
CHUGAI INNOVATION DAY 2025=https://digital.chugai-pharm.co.jp/
創業100周年特設サイト=https://www.chugai-pharm.co.jp/100th/
- #CHUGAI INNOVATION DAY 2025
- #My Action宣言
- #アストラゼネカ
- #イノベーション
- #イベント
- #カンファレンス
- #デジタル
- #パネルディスカッション
- #ヘルスケア
- #ライフサイエンス
- #中外製薬
- #共創
- #創業100周年
- #塩野義製薬
- #小野薬品工業
















