- Drink&Food2025/08/25 21:33
MSCジャパン、「MSCジャパン・アワード 2025」の授賞式を開催、海のエコラベル付き水産物の普及に貢献した事業者を表彰

持続可能な漁業とMSC「海のエコラベル」を推進する国際的な非営利団体MSC(海洋管理協議会)の日本事務所であるMSCジャパンは、日本においてMSC「海のエコラベル」(以下、MSCラベル)付き水産物の普及に貢献した事業者を表彰する「MSCジャパン・アワード 2025」の授賞式を8月21日に開催した。今年のアワードでは、昨年に引き続き消費者向けMSCラベル付き製品の販売重量の実績に基づいて決定する小売部門、メーカー部門、フードサービス部門の3つのカテゴリーに加え、コミュニケーション部門、特別賞を新たに設け5部門で表彰が行われた。

授賞式に先立ち、MSCアジア太平洋地域ディレクターのパトリック・カレオ氏が挨拶。「『MSCジャパン・アワード』は、海洋の健全性を改善し、将来の世代のために持続可能な漁業を推進するというMSCのミッションのために著しい活躍を遂げたパートナーを称える賞となる。広大な海は、地球上の生命と生物多様性の大部分を支えている一方で、海洋汚染や過剰漁獲、持続不可能な慣行などにさらされている。その中で、世界有数の水産物市場であり主要な漁業国である日本は、ポジティブな変化をもたらす重要な役割を担っている。今回表彰される事業者は、そうした期待に応え、持続可能性とビジネスの両立が可能であることを実証している」と、日本でアワードを開催する意義を語る。「受賞事業者は、MSCラベル付き製品を販売することで、科学に基づくMSC漁業認証規格を満たす漁業を支援すると共に、消費者には健全な海に貢献する選択肢を提供している。MSCラベルは単なるマークではなく、グローバルな運動の象徴であり、消費者に持続可能な漁業を支援するシンプルで効果的な手段を提供し、多くの漁業に対して慣行の改善を促している。豊かで生命にあふれた海と将来にわたってシーフードの供給を守っていくためにコミットメントしてくれた受賞各社に感謝している」と、受賞事業者への感謝の想いを述べた。

続いて、MSCジャパン プログラム・ディレクターの石井幸造氏が、MSC認証の概要について紹介した。「MSCでは、『MSC漁業認証』と『MSC CoC(Chain of Custody)認証』の2つの認証を展開している。『MSC漁業認証』は、環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業(天然)に対する認証。一方、『MSC CoC認証』は、MSC認証水産物が非認証水産物と混ざることなく消費者に届くようにすることを目的にした認証で、製品にMSCラベルを付けて最終包装されるまでに当該水産物の所有権を持つすべての企業が取得できる。各認証の取得には独立した審査機関による審査が必要になる」とのこと。「『MSC漁業認証』は、昨年3月31日時点で572漁業が認証を取得しており、世界63ヵ国の漁業がMSCプログラムに参加。日本でも認証取得漁業が増加している。『MSC CoC認証』の取得事業者数は、今年7月31日時点で、世界では6067件、日本では399件まで拡大している。また、2024年度に日本で販売されたMSCラベル付き製品の重量は約2.1万トン、品目数は657品目に達している」と、MSCラベルの付いた水産物は日本でも着実に広がってきているとアピールした。

ここで、「MSCジャパン・アワード 2025」の受賞事業者が発表され、小売部門はイオン、メーカー部門はニッスイ、フードサービス部門は日本マクドナルドが受賞した。MSCラベル付き水産物を消費者により知ってもらう取り組みに関するコミュニケーション部門は日本生活協同組合連合会・コープデリ生活協同組合連合会が、特別賞は日本で初めて宿泊施設運営会社としてMSC CoC認証を取得し国内複数の施設でMSCラベル付き水産物の普及に貢献したオリックス・ホテルマネジメントが受賞した。

授賞式では、MSCアジア太平洋地域ディレクターのカレオ氏から受賞事業者に、リサイクルガラスを使用した特製トロフィーが授与されると共に、各事業者の担当者がMSCラベル付き水産物の取り扱い等に関するプレゼンテーションを行った。イオンリテール 食品本部 水産商品部 部長の岸岡清和氏は、「当社では、2006年からMSCラベル付きのサステナブルシーフードの取り扱いを開始した。現在は、カテゴリーの主力製品として『減塩一口たらこ』と『減塩一口明太子』を展開しており、MSC認証原料を使うことで、持続可能な漁業の支援を推進している。販売数も徐々に拡大し、顧客のリピートも増えている。今年第1四半期には、前年同期比で1.8倍の伸びを記録した」と、MSCラベル付き製品のニーズが急速に高まってきていると訴えた。

ニッスイ サステナビリティ推進部 部長の西昭彦氏は、「当社が実施した『ニッスイグループ取り扱い水産物の資源状態調査』によると、2022年に取り扱った水産物のうち約83%が管理の仕組みがある漁業からの調達で、約75%が適切に維持管理できている資源であることがわかった。また、前回2019年の調査で、調達した水産物に絶滅危惧種に該当する魚種が含まれることが判明したことから、『ニッスイグループ絶滅危惧種(水産物)の調達方針』に基づき、MSCをはじめとした認証漁業品の調達を推進してきた。その結果、2022年の調査では、取り扱ったMSC認証魚種数が前回の55種から72種に増加し、調達重量についても約4%増加した。今年秋・冬シーズンに向けても新商品をリリースしていく」と、MSC認証の魚種数が大幅に増加していると説明した。

日本生活協同組合連合会 ブランド戦略本部 サステナビリティ戦略室の松本哲氏は、「当連合会では、2007年秋からMSC認証を採用し、同年10月に商品を販売開始した。今年7月時点で、66品のMSCラベル付きコープ商品を展開している。また、MSCラベル付き製品に関して、『コープのエシカル』ブックやウェブサイト、動画を通じ、会員生協での組合員・職員のコミュニケーション活動を支援している。こうした取り組みによって、生協組合員のアンケート調査でも、MSCラベル付き製品の認知度は年々高まっており、2022年の30.5%から、昨年のアンケートでは39%まで向上した」と、会員生協と積極的に連携してMSCラベルに関するコミュニケーション活動をサポートしていると話していた。

コープデリ生活協同組合連合会 宅配誌面・EC編集部 部長の家近路子氏は、「当連合会の宅配事業では、現在、54品のMSC認証品を取り扱っており、そのうち半数の27品がコープブランドとなっている。また、メイン媒体の宅配カタログ『ハピ・デリ』に加えて、2017年にはナチュラル&オーガニック媒体『VieNature』を創刊し、毎週約100万部を発行している。同カタログのさかなページには、MSCやMELなどの認証品のみを掲載しており、毎年4回程度は表紙でMSC認証品を大きく紹介するようにしている。さらに、カタログ以外に、インターネット注文サイトにもMSC認証品のコンテンツを掲載している」と、宅配カタログを通じてMSCラベル付き製品を組合員に訴求していると述べた。

オリックス・ホテルマネジメント 営業本部 施設運営部 部長の千葉陽二郎氏は、「当社は、2023年8月にMSC CoC認証を取得し、今年4月からMSC認証4魚種を使用した認証メニューの提供を開始した。そして、当社のサステナビリティ推進におけるテーマの1つである『環境へのおもいやり』に則り、直営12ヵ所のホテル・旅館でMSCラベル付き水産物を取り扱っている。また、サステナブル・シーフードの周知活動としては、ブッフェコーナーなどに、共通の周知パネルを設置すると共に、各メニューの品名カードにMSCマークを表示するようにしている。今後も、MSC CoC認証の取り組みを先導する宿泊事業者として、業界全体のサステナビリティ推進にも貢献していきたい」と、MSC認証品のさらなる取扱の拡大に向けて意欲を見せていた。
MSCジャパン=https://www.msc.org/jp
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