キリン、飲みごたえや香味を高めるコーヒーチェリー由来の発酵素材を開発、素材使用の「麒麟特製 みかんサイダーサワー」を発売

左から:「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」をPRする、キリンホールディングス R&D本部 飲料未来研究所 辻さや香氏、キリンビール マーケティング本部 マーケティング部 商品開発研究所中身開発グループ RTDチーム 宮崎雅大氏

キリンホールディングス(以下、キリン)の飲料未来研究所は、コーヒーチェリー(コーヒーノキに実る赤い実で、種子がコーヒーの原料となる)由来の発酵素材の開発に成功した。果肉や果皮部分が多く廃棄されるコーヒーチェリーを価値ある素材として活用することで、コーヒー農園の持続性と環境負荷軽減に寄与していく。また、飲みごたえや香味を高める特長から、ノンアルコールや低いアルコール度数の飲料の飲用満足度を高める可能性が示唆された。キリンビールは、この独自技術である「コーヒーチェリー由来の発酵香料素材」を使用した「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」(350ml缶、500ml缶)を11月25日から発売する。10月29日に行われた発表会では、コーヒーチェリー由来の発酵香料素材の研究開発について説明した他、新商品「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」の味わいや特徴について紹介した。

キリンホールディングス R&D本部 飲料未来研究所 辻さや香氏

「飲料未来研究所では、廃棄するしかないコーヒーチェリーの果肉果皮に着目。キリン独自のブドウの果肉・果皮を乳酸菌と酵母で発酵させ香りの前駆体(香り成分に変化する前の物質)を増やす『ワインの香気増強技術』を、コーヒーチェリーに応用。飲料に新たな価値をもたらす発酵素材を開発し、『麒麟特製』の一部に採用した」と、キリンホールディングス R&D本部 飲料未来研究所 辻さや香氏が今回の発表の主旨について解説。「コーヒーチェリーとは、コーヒーノキに実る赤い実のこと。実の中にある種子がコーヒー豆の原料となり、実の約4割が果肉果皮となっている。廃棄される果肉果皮は世界で年間約2000万トン(キリン調べ)ともいわれている」と、私たちが普段コーヒーとして飲用するのは、コーヒーチェリーの種子の部分だけで、果肉果皮は廃棄されてしまっているのだという。「廃棄される果肉果皮はカフェインやポリフェノールなどの成分を多く含むため、生態系への影響、水質・土壌汚染などの環境負荷が懸念される」と、廃棄されるしかないコーヒーチェリーは環境問題を引き起こすのだと警鐘を鳴らす。「また、コーヒー価格の不安定性、農業インフラの未整備による生産性の低さ、コーヒーチェリーの廃棄に対する環境税負荷(コロンビア)、農家に利益が行き渡らない仕組みといったコーヒー農園の貧困問題の課題解決を目指すべく、有効活用の検討を開始した」と、研究の背景および目的について言及する。

「まず、発酵素材の開発として、キリン独自の『ワインの香気増強技術』を応用し、コーヒーチェリーを搾汁・濃縮したエキスを乳酸菌と酵母で発酵。さまざまな飲料をおいしくする発酵素材を開発した。そして、この発酵素材をビール、ノンアルコール、RTD(Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料)、清涼飲料などのさまざまな飲料に添加。官能評価訓練を通過した研究員による官能評価で、それぞれの飲料の香味や体感の向上を確認した」と、コーヒーチェリー由来の発酵香料素材を開発し特長について把握することができたという。「また、ダマセノン(香気成分のひとつ。『フルーティ』『フローラル』『はちみつ』などの香りが特長)が顕著に増加し、フルーティで甘い蜂蜜様の香りが出現。コーヒーチェリー特有の土臭さがなくなった。さらにキリンレモンに添加して試飲したところ、果実感とコクが増強した」と、コーヒーチェリー由来の発酵香料素材の新たな価値を発見したと力説する。「温感、発酵感などの増強に寄与する成分の増加も確認した。ノンアルコールに添加し試飲したところ、温感がアルコール飲用時の感覚と似ていることを発見した」と、アルコール関連の社会課題に対応する素材としての可能性も示唆された。「そして、コーヒーチェリー由来の発酵香料素材を添加したRTDおよび、ノンアルコール飲料の香味印象は、いずれも添加していない飲料を上回った」と、嗜好調査においても香味を向上させる効果がみられたと説明した。

麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)

「このコーヒーチェリー由来の発酵香料素材をキリンビール商品開発研究所へ提案し、同研究所での処方設計を経て、今年4月から『麒麟特製』シリーズに採用。『麒麟特製』らしい上質感のある豊かな味わいとしっかりとした飲みごたえを実現。余韻が楽しめる味わいにブラッシュアップも行った」と、発酵素材が「麒麟特製」ブランドに採用され、これまでに「麒麟特製 クリアサワー」(現在は終売)、「麒麟特製 メロンソーダサワー」、11月25日から期間限定発売の「麒麟特製 みかんサイダーサワー」で使用されたのだと教えてくれた。

「研究で苦労した点は、コロナ禍での海外原料調達や情報収集の他、廃棄原料の活用にともなう品質、衛生問題、現地加工体制の未整備、輸入条件を満たす原料の不在が挙げられる。そこで、コーヒーチェリー発酵素材のサプライチェーンを構築することで、問題点を解決することができた」と、2017年から開発がスタートし、製品化まで6年の歳月がかかったのだと語る。「この素材の活用は、農園の土壌汚染・産地の水質汚染問題解決、農園の収入支援(果肉果皮の買取による農園収入の向上)、無糖商品の香味価値向上、満足度の高いノンアルコール・低アルコール商品の開発といったキリンが掲げるCSV(Creating Shared Valueの略。消費者や社会と共有できる価値の創造)コミットメントのすべてにアプローチ可能だと考える」と、多面的なCSVの実現に寄与する素材なのだと強調する。

「今年度は『麒麟特製』への採用によって約400kgのコーヒーチェリー果肉果皮を使用する予定。そして、廃棄するしかないコーヒーチェリーを価値ある素材として活用することで使用量の拡大を図り、コーヒー農園の収入向上による持続性や、廃棄物削減による環境負荷の軽減に寄与していく。さらに素材の持つ『飲みごたえ強化』、『香味向上』などの特長によってノンアルコールやアルコール度数の低い飲料の飲用満足度を高められることが示唆されたことから、アルコール関連の社会課題解決への有効なアプローチ策としてノンアルコールや低アルコール商品などへの採用を探索する」と、今後の展望について語ってくれた。

キリンビール マーケティング本部 マーケティング部 商品開発研究所中身開発グループ RTDチーム 宮崎雅大氏

キリンビール マーケティング本部 マーケティング部 商品開発研究所中身開発グループ RTDチーム 宮崎雅大氏が、11月25日発売の「麒麟特製 みかんサイダーサワー」について説明した。「『麒麟特製 みかんサイダーサワー』は、上質で複層的なみかんの風味と余韻、報酬感あるほのかな甘み・心地よい炭酸感が楽しめる飲み飽きないうまさとなっている」と、いい気分で一日を締めくくりたい日に楽しんでほしいとのこと。「コーヒーチェリー由来の発酵素材を使用することで、上質な飲みごたえのある味わいを実現した」と、上質に仕立てた、これしかないうまさの特製サワーに仕上がったと胸を張った。「おいしさのこだわりについては、まず、爽やかなみかんの香り、お酒らしい満足感のある飲みごたえ、報酬感のあるみかんの甘味が感じられる。そしてコーヒーチェリーによる効果として、お酒とみかんと調和した複雑なうまみと苦みを抑えた心地よい余韻が楽しめる」と、香味骨格のイメージ図を示しながら、「麒麟特製 みかんサイダーサワー」のおいしさについて言及してくれた。

麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)

今回発売する「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」は、上質で複層的なみかんのおいしさで、冬の気持ちを捉える季節限定の特製サワー。限定商品を発売することで、消費者に“今しか飲めない特別感”を提供し、既存の消費者はもちろん、これまで「麒麟特製」を飲んだことのない人にも「上質なうまさ」を届け、飲用機会の拡大を図る。

コーヒーチェリー由来の発酵香料素材入りとなしの「麒麟特製 みかんサイダーサワー」の飲み比べを実施

同品は、上質で複層的なみかんの風味と余韻、報酬感あるほのかな甘み・心地よい炭酸感が楽しめる飲み飽きないうまさの特製サワー(無果汁)。キリンの独自技術である「コーヒーチェリー由来の発酵香料素材」を使用することで、飲みごたえのある味わいを実現した。

パッケージについては、丁寧に仕立てた上質さをまといながら、冬の気持ちを捉える季節感・特別感と、ふくよかなみかんの味わいへの期待が感じられるデザインに仕上げている。

[小売価格]オープン価格
[発売日]11月25日(火)

キリンホールディングス=https://www.kirinholdings.co.jp
キリンビール=https://www.kirin.co.jp


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