スーパー残暑が暖房利用にも影響、全国的に暖房利用が遅い傾向

パナソニックではエオリアユーザーのデータから、今冬の最新のエアコン利用状況を調べるとともに、冬場の換気・加湿について調査を実施。また、冬場に実践したい暖房を使いながらの換気や、効果的な加湿方法、さらに部屋を暖めながら換気ができる最新エアコン情報をパナソニック エアーマイスターの福田風子氏が解説する。

パナソニックは、エオリアアプリに接続したエオリアユーザーの利用データをもとに、今冬の「エアコン暖房利用率ランキング」を作成。今シーズンすでに一度でも利用したユーザーの割合を表すエアコン暖房累計利用率を算出し、全国47都道府県で比較した。

スーパー残暑ともいわれる暖冬の影響を受けて、今冬のエアコン暖房利用率は47都道府県すべてで昨年を下回り、今冬は全国的に暖房の利用開始が遅れていることがわかった。

11月6日時点で、最も暖房利用率が高いのは1位 青森県、2位 秋田県、3位 岩手県、4位 北海道、5位 山形県と続き、いずれの地域も暖房利用率が50%を超えている。

しかし、これらの地域は昨年同日時点でいずれも約60%以上の利用率だったことから、寒冷地域においても暖房利用が遅れていることがわかる。

また、昨年差に注目すると、最も利用開始が遅れているのは1位 千葉県(33.1%)、2位 埼玉県(31.9%)、3位 茨城県(31.4%)、4位 群馬県(30.0%)、5位 東京都(29.6%)、6位 神奈川県(29.2%)と、関東地方が上位になった。これらの地域は、昨年同日時点ではいずれも約50%~60%の暖房利用率となっていたが、今年は20%以下のエリアもあり、最も暖冬がエアコン利用に影響を与えている地域といえそうだ。

パナソニックは、20代~60代の男女530名に冬の換気・加湿について調査を行った。冬の換気方法としては、「窓を開ける」(78%)が最多の結果になった。また、「換気はしない」と回答した人も1割弱いた。

冬場は寒さのため換気の回数も少なくなりがちだが、厚生労働省は感染症対策のためにも30分に1回以上の窓開け換気を推奨している。一方、冬の換気の頻度についての質問では、実際に「30分に1回程度」を実施している人はわずか7%にとどまる結果となった。

実際には僅かな差ながら「1日に1回程度」(23%)が最多となり、続いて「半日に1回程度」(22%)、「3時間~4時間に1回程度」(21%)、「1時間~2時間に1回程度」(19%)という結果に。「30分に1回程度」の換気の頻度は、なかなか実現できていない実態が明らかになった。

また、窓を開けて換気をするときのエアコンの使い方については、46%が「エアコンを消して換気する」と回答。しかし、これは電気代が高くなってしまうNGな使い方だという。「わからない」(5%)を含めると過半数が正しく理解しておらず、「エアコンをつけたまま換気する」と正しく利用しているのは半数以下の49%という結果になった。

24時間換気システムについても調査を実施。「改正建築基準法」が施行された2003年7月以降、すべての住宅に導入が決定した24時間換気システム。2時間に一度、家の中の空気をすべて入れ換えるように設計されているが、これをオフにすると換気が十分に行えなくなる。しかし、「常に使用する」がわずか21%と正しく活用されていないのが現状だ。また、現在ではすべての住宅に導入されているにも関わらず、「24時間換気システムがない」と回答をしている人も56%と多く、認知度の低さも回答からうかがえる。

「コロナ禍を経て、自宅での換気は習慣になりましたか」という質問では、「定着した」(36%)の一方で「定着していない」(35%)とほぼ同数になった。まだまだ換気の習慣が身についていない人が多くいるようだが、その理由はやはり換気時の“寒さ”かもしれない。

「冬の換気をガマンしてしまうことがあるか」という質問では、63%の人があると回答しており、もっと換気をしたいと考えている人が多いようだ。

換気をガマンする原因としては、82%の人が「部屋が寒くなる」と回答している。

続いて、冬の加湿についても調査を行った。エアコン暖房使用時に乾燥して困ると感じる人は62%と、多くの人にとって暖房時の乾燥は悩みのタネのようだ。加湿対策として最も多かったのが、「加湿器を使う」(39%)で、続いて「特にない」(33%)、「部屋干しをする」(29%)という結果になった。加湿器を使う家庭が多いものの、一方で特に加湿対策をしていない人も多いことがわかった。

では、冬場に部屋を暖めつつ効率的に換気や加湿をするにはどうすればよいのだろうか?風とエアコンのプロフェッショナルであるパナソニックのエアーマイスター福田風子氏が、冬場の効率的な換気・加湿術を伝授してくれるという。

パナソニック エアーマイスターの福田風子氏

家の中の空気中には、多くの有害物質が浮遊している。たとえば、花粉やダニ、ホコリ、ハウスダスト、カビなど。また、私たちの身の回りのモノの大半である工業製品からの化学物質も、屋外へ逃がしたいもののひとつ。化学物質と聞いてもピンと来ないかもしれないが、わかりやすいのがニオイ。たとえば、本のインクやビニールもニオイがあるし、消臭剤の香りなどもすべて化学物質、これらの濃度を下げられるのも、換気の大きなメリットとなる。

また、私たちが吐き出す二酸化炭素は、換気が不十分だと室内にどんどんたまっていくもの。極端に濃度が上がれば頭がぼうっとするなどの不調につながりかねないので、定期的に換気をして新鮮な空気を取り入れる必要がある。また、窓を開けての自然換気は、気分転換にも役立つ。

“外の空気は汚れているのでは”と、思う人もいるかもしれないが、一般的には家の中よりもキレイだとか。もちろん、近くに幹線道路があったり、花粉や黄砂の飛来が激しかったりすればこの限りではないものの、家の中の空気は汚れやすいものと心得よう。

まず、24時間換気システムは常に稼働させておくことが前提。アンケート結果でも、常に使用している人は21%のみだったが、快適な空気を逃したくないからいって24時間換気システムを切るのはやめよう。「光熱費がもったいない」と思うかもしれないが、自身の健康を守るためにも必ずつけたままにしておいてほしいという。

その上で窓開け換気を行うわけだが、時間や回数は、部屋の広さや窓の数など、条件によっても変わるもの。前述の通り、厚生労働省は30分に1回以上の窓開け換気を呼びかけている。かなり頻繁と思う人もいると思うが、以前に比べて家族で在宅する時間が増えた人も多いことを考えると、これからのスタンダードになるかもしれない。

暖房時に換気する際、暖房は切らずに窓を開けるのがおすすめ。エアコンは立ち上がりのときが最も負荷がかかるため。換気によって大幅に下がった室温を元の快適な温度に戻すために、余計に電力を消費してしまうので、暖房はつけたまま換気しよう。

同時に気をつけたいのが開ける窓の場所。エアコンが外の冷たい空気を吸うと部屋が暖まっていないと感知して暖めるパワーを上げて運転するため、できるだけエアコンから離れた窓をあけ、エアコンに冷たい外気を直接吸い込ませないようにすることで、節電に繋がる。また、暖房をつける際は暖かい空気は上がっていくため、エアコンの風向きは一番下の足元に向けるのがおすすめだとか。

冬場の窓開け換気は、時間や回数は、部屋の広さや窓の数など、条件によっても変わるものの“1時間に5分~10分ほど×2回を目安に”といわれている。寒さや電気代のアップが気になる場合は、部屋の温度低下を抑えるために、“1時間に2.5分×4回”など、短時間で回数をあげる方法もある。

冬に悩む人も多い結露。その正体は室内の空気に含まれた水分。空気は温度が高いほど水分を蓄えることができるので、暖房で暖められた室内の空気が壁や窓ガラスで冷やされ、水分を蓄えることができなくなって水滴に姿を替えるのだとか。換気で定期的に空気を逃がすことで結露を抑えられる。

湿度が10%上がれば、体感温度は1℃上がるといわれている。湿度が低いと体感温度が下がる理由は、体表から水分が奪われるから。私たちの体に備わる体温調節機能は、汗が蒸発する際に熱を奪っていく作用を利用している。冬は空気が乾燥していることで体表の水分が奪われやすく、同時に熱も持って行かれるため、結果として寒く感じてしまうのだという。

また、私たちの鼻や喉、気道の粘膜は繊毛と呼ばれる細胞に覆われている。これは、体内に侵入した異物を排除する働きがあるもの。でも、湿度が低いと乾燥して働きが弱まってしまうため、加湿を心がけよう。

加湿空気清浄機の場合

加湿機からの加湿された空気を、エアコンの風に乗せて部屋中に行きわたらせるイメージで、加湿機から吹き出す空気にエアコンの風が当たる場所に置く。湿度センサーの誤認を避けるために、加湿する機器本体に直接エアコンの風があたることがないように設置しよう。加湿空気清浄機は、エアコンの風とぶつかってしまうと部屋の空気の循環の妨げとなってしまうため、ぶつからないように対面や対角線の壁に、加湿機の場合はエアコンの下に置くと効果的だという(超音波式など水滴を飛ばす加湿方式に関しては、水滴やカルキがエアコン内部に付着する可能性があるため、エアコン付近への設置は避けるように)。

加湿機の場合

低温の空気は下にたまりやすく、また温度が低いと空気中に含める水分の量が下がる。加湿機を低い位置に設置すると、湿度センサーが高い湿度を検知した場合うまく働かないことがある。また、水を超音波によって霧状にして噴出する超音波式や、ヒーターで水を加熱し蒸気をだすスチーム式の場合は、水の粒子が大きく、下に落ちてきやすいのも、床に置くのを避ける理由のひとつ。ただし、気化式やハイブリッド式はファンを搭載して自ら気流を起こせるので、その限りではない。製品ごとに適した置き場所は取扱説明書にも記載されているので、設置前に目を通しておこう。

加湿された空気が窓に当たると、冷やされて結露になってしまう。特に、気密性の高い住宅は窓と室内の寒暖差がでやすいため注意が必要だ。このほか、水の粒子の大きい超音波式の場合、家具の近くに置くと、湿気によって傷んだり歪んだり、水道水のカルキが加湿した空気と一緒に放出され、家具などを白く汚すこともある。購入の際は、加湿機の方式も合わせて検討しよう。

なお、「2023年 冬の換気と加湿に関する実態調査」概要は、調査地域が全国で、調査期間は10月6日~10月11日。調査方法はインターネット調査で、調査対象は20~60代の男女。有効回答は530名(男性:275名、女性:255名)となっている。


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