- マイライフストーリー2025/10/28 21:03
気候変動への対応に向けて越冬耐性の強いビール大麦の品種開発をサッポロがスタート

サッポロビールは気候変動への対応に向けて、寒冷地で夏の暑さを避け栽培するために、越冬耐性の強い新たなビール大麦の品種開発を開始した。
同社は、北海道における秋播き二条ビール大麦開発の可能性について国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)と共同研究を行い、9月11日に一般社団法人日本育種学会で研究内容を発表した。近年、地球温暖化等の気候変動によって、農作物の品質の低下や収穫量の減少などが懸念されている(令和5年地球温暖化影響調査レポート(農林水産省))。また極度な高温や乾燥の進行によって、ビール原料の安定供給へ負の影響を及ぼす可能性も示唆されている(Wei Xie et al.(2018)Decreases in global beer supply due to extreme drought and heat.Nat.Plants.4:964-973)。北海道で生産されている現在のビール大麦の秋播きとは異なり、北海道の厳しい冬に対する耐性を持っていないため、春播きで栽培がされている。しかし春播き栽培でも近年、7月上中旬頃の登熟期の局地的な大雨や7月下旬から8月にかけての収穫期の高温の影響を受け、穂発芽や赤かび病の発生、細麦化のリスクが高まっている。

同研究では、さまざまなビール大麦の遺伝資源を秋播き条件にて栽培し、冬季の北海道で懸念される越冬性について調査した。同社および農研機構の保有する152種類のオオムギを秋播きし、水はけの良い/悪い畑、雪中での罹病への対策有無、9月下旬/10月中旬の種まきと、条件を分けて栽培した。その結果、水はけがよく、病気への対策を実施し、9月下旬に播種することで、北海道の秋播きが可能なオオムギを複数見出すことができた。その中には二条ビール大麦も含まれており、秋播きに適性をもつ二条ビール大麦品種が開発可能であることが示唆された。北海道で秋播きが可能なビール大麦を開発することができれば、比較的気象の穏やかな夏季のはじめに収穫を迎えられ、気候変動の影響を軽減できる可能性があると推察している。
今後は基礎研究のパートナーである農研機構と遺伝資源の探索で引き続き連携し、同社にて秋播きが可能なビール大麦の品種開発を進め、2035年までに新品種の登録出願、また将来的には北海道のみならず、気象条件の近い北米などの地域での実用化も検討していく。国内外の消費者に新しい楽しさ・豊かさを発見してもらえるモノ造りを進め、次世代のビールづくりに貢献していく考え。
サッポログループは、サステナビリティ方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」のもとに、サステナビリティ重点課題に対する目標達成に向けて取り組みを進め、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立を目指す。
















