- 健康管理!教えて!!2025/08/04 22:02
ストレスに関わる脳領域の反応とは? ストレッサーを大脳皮質でキャッチして各器官で対処

私たちの体には、日々さまざまなストレッサーがかかっています。ストレスのメカニズムは、完全には解明されているわけではありませんが、ストレスは外部からの刺激に対する「脳の過剰反応」であることが知られています。では、ストレッサーを脳のどこで認知し、「嫌だ・不快だ」という情動を起こし、どのように対処しているのでしょうか。
人間はストレッサーを受けると、まず脳の一番外側の大脳皮質で刺激をキャッチします。表面部分にある大脳皮質は、生物の進化の過程では後になって発達してきた部分で、「新しい脳」と呼ぶことができます。ここでは、思考や判断といった「知性」に関することをコントロールしています。
大脳皮質の内側にある扁桃体では、快・不快や喜怒哀楽などの「情動」を認識します。この情動という感覚は、人間を含めた動物の本能的な行動や感情に関わっており、例えば「強い敵が表れたので不安だから逃げよう」、「自分の縄張りに侵入者がいるので戦おう」といったときには、扁桃体が活性化していることになります。
快・不快や喜怒哀楽などの情動からくる感情をコントロールする機能や、理性的な判断や思考といったことを行うのが、大脳皮質の中にある「前頭葉」と呼ばれる場所です。前頭葉は、人間やサルのような高度な動物で発達した領域です。例えば、「恐怖映像を観て恐怖を感じても、これはフィクションであると認識しパニックにならずに済む」、「膨大な仕事量を前にして不安になっても、目の前のことから少しずつやっていけばいつかは終わると思い直せる」などと、感情的な状態から冷静さを取り戻すことができるのは、前頭葉が良く働くことによるものだと考えられています。このことから、怒りなどの情動は、偏桃体で生じ、それを前頭葉で抑えるという構図となっています。
視床下部は、脳の一番中心部にある脳幹に位置し、生命維持のために不可欠な血圧や体温、消化・吸収、性機能などの働きを制御している自律神経系と内分泌系の働きを支配する司令塔のような場所です。視床下部で受け取った情報は、脳下垂体と自律神経系へそれぞれ伝達されていきます。(監修:健康管理士一般指導員)