- 健康管理!教えて!!2025/07/14 18:43
「COPD」が肺に及ぼすダメージとは? 「口すぼめ呼吸法」を身につけて肺の機能維持を

近年、肺に関わる病気「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の患者数が急増し、新たな生活習慣病として注意が呼びかけられています。以前は、肺の疾患である「肺気腫」と、気管支の疾患である「慢性気管支炎」に分かれていましたが、たばこが原因であるという共通点があることや両者が合併することが多いことから、2つを合わせてCOPDと呼ぶようになりました。COPDは、たばこの煙など有害な粒子や、ガスの吸入による慢性的な炎症が原因とされています。
COPDが肺に及ぼすダメージとしては、肺胞の壁が破壊されてしまいます。一度に全部が壊されてしまうわけではありませんが、壊れた場所が隣どうしでつながってしまい、表面積が減少し、呼吸効率が落ちることで肺の機能が低下し、息切れを起こしやすくなります。また、その肺胞がつながった部分に空気がたまり、膨らみきった風船のようになることで、酸素と二酸化炭素の入れ替えがうまくできなくなってしまいます。この肺胞が壊れた状態を「肺気腫」といいます。
さらに、たばこの煙は気管支にもダメージを与えます。たばこの煙によって長期にわたって刺激を受け続けることで炎症を起こし、痰の量が増え、痰の絡んだ咳が続くようになります。これがいわゆる「慢性気管支炎」です。
COPDが進行すると、少し動いただけでも息切れを起こし、日常生活もままならなくなります。さらに進行すると、呼吸不全や心不全を起こす命にかかわるリスクがあるため、早期発見、早期治療が重要となります。
COPDによって、一度ダメージを受けた肺胞はもとに戻ることはできませんが、効果的な呼吸法を身につけて肺の機能を維持し、健康増進につなげることは可能とのこと。そこで今回おすすめするのが「口すぼめ呼吸法」です。やり方は、まず、お腹を膨らませながら、鼻から息を吸い込みます。軽く口をすぼめて、ゆっくりと時間をかけて口から息を吐き、最後まで吐ききります。このとき、お腹はへこませます。
COPDなど炎症によって気管が狭くなる病気では、歩行などで呼吸が速くなると、息を吐いている途中で気管支がつぶれてしまうようになります。そして、肺の中に吐き出せなかった空気がたまり息苦しくなります。口すぼめ呼吸法では、口をすぼめることで、狭くなった気管支の内側に圧をかけ、気管支の中を広げるため、息が吐きやすくなるのです。息切れを予防するためにも、日頃から意識してこの呼吸法を取り入れてみてください。(監修:健康管理士一般指導員)