アルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」とは? 昨年9月に厚生労働省が正式に承認

高齢化にともない、認知症の患者数は増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、65歳以上の認知症高齢者は2025年に約675万人(約5人に1人)と推定されています。認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4種類がありますが、中でもアルツハイマー型認知症は認知症発症者の約6~7割を占めており、65歳以上で発症リスクが高まる傾向にあるそうです。

こうした中、昨年9月25日、厚生労働省からアルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」が正式に承認されました。今回の承認は、同年7月の米国での承認に次いで、世界で2ヵ国目になるとのこと。レカネマブは「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる薬で、アルツハイマー型認知症の原因の一つであるアミロイドβに抗体が結合することで、アミロイドβを除去する作用を持っています。特に、蓄積したアミロイドβがかたまりになる前段階のアミロイドβ(プロトフィブリル)を除去することがわかっています。

従来の治療薬は、残っている神経細胞をできるだけ長く働くようにすることで、一時的な症状の改善を図ることはできましたが、神経細胞の破壊を止めることはできず、進行を抑制することはできませんでした。一方、レカネマブは、原因のアミロイドβに直接働きかけることで神経細胞の破壊を阻止し、アルツハイマー型認知症の進行を抑制することができます。そのため、世界で初めて認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることが実証・承認された唯一の治療薬となっています。

投与方法としては、2週間に1度、1時間程度かけて静脈内に投与します。対象となるのは、検査で脳内にアミロイドβが蓄積していると確認された軽度認知障害(MCI)または軽度認知症の患者です。レカネマブを投与しても、一度破壊された神経細胞を再生するのは難しいため、中期以降の症状の進行した患者には投与できないそうです。あくまで、認知機能の低下を遅らせるということに焦点をあて、日常生活に支障のない早期段階の患者を対象としているのが特徴です。

効果については、世界235施設の早期アルツハイマー型認知症患者1795人を対象にした臨床実験の結果によると、記憶力や判断力を評価するスコアの低下を約27%抑制することができたとのこと。これは、症状の進行を約7.5ヵ月遅らせることに相当するそうです。

気になる副作用としては、米国の大学の研究によると、臨床試験を受けたうちの17.3%に脳内出血、13.6%に脳浮腫が報告されています。このことから、投与後に脳内出血の有無を確認することや、血栓を溶かす薬を服用している人への注意喚起が必要であるとされ、浮腫や出血がみられた場合は、投薬を休止または中止となる見込みとなっています。(監修:健康管理士一般指導員)


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