人間にさまざまな感情があるのはなぜ? 狩猟時代から受け継がれてきた命をつなぐプログラム

私たち人間には、喜び、不安、怒り、悲しみなどさまざまな感情(心)があります。感情があることによって、友人との会話を楽しんだり、旅行の計画を立ててワクワクしたり、仕事で評価されてうれしくなってもっと頑張ろうと思えたり、人生を豊かにしてくれます。一方で、人間関係や経済情勢などで不安を感じ、心を病んでしまう場合もあります。ポジティブな感情だけが湧いてくればいいのにと感じることもあるかもしれません。では、なぜ私たちには、さまざまな感情があり、それに左右されるのでしょうか。

感情の意義を知るためには、私たちの体の進化の歴史を知る必要があります。人間の体は1~2万年前の狩猟採集民族であった状態とたいして変わっていないといわれています。ある種に大きな変化が生じるには、何万年、何十万年とかかるからです。狩猟採集民族にとって生きることの理由はただ一つ、生き延びて子孫を残すことであり、そのために体や脳が進化を遂げてきました。そして、命をつなぐためには、さまざまな感情が必要だったのです。

狩猟採集民族が生き延びるには、飢餓を乗り越え、野生動物などから身を守っていくことなどが必要です。そのため、身に及ぶ危険に対して著しく反応する人は、生き延びる確率が高かったということが考えられます。例えば、草むらでガサガサと音がしたら、猛獣が潜んでいるかもしれないと警戒する。そうやって生き残ってきた人々の子孫である私たちには、強い警戒心(不安や恐怖の感情)が根強く備わっているそうです。つまり、進化の過程で命をつないでいくために、不安や恐怖という感情を持つようにプログラミングされてきたのです。

また、木にたくさんのバナナが実っていたとします。エネルギーを早急に必要としているのであれば、空腹感と勇気が湧いて、高い木を必死に登ろうとするでしょう。しかし、エネルギーが満たされているのであれば、ケガをするなどの危険性があるため、恐怖や満腹感といった感情が脳内で湧き、木に登らないという決断に至ります。あまりにも危険を冒しては、転落死などのリスクがありますが、過剰なまでに慎重になっては、今度は飢え死にしてしまいます。こうした食事をするという行為1つにおいても“生き延びるために”選択を誤らないよう状況に応じてさまざまな感情が沸き立つようになっているのです。

その他に、狩猟採集民族であった私たちは、集団で行動をしていたため、集団から外れてしまうことは、食料の確保ができず生命危機につながってしまう可能性もありました。そのため、集団から外れる「孤独」への不安、悲しみ、また仲間と一緒にいられる喜び、安心感、幸せなども強く感じるようになっているとのこと。感情は、ないほうが楽だと思うこともあるかもしれませんが、私たちが生き延びていくために、脳が感情を使ってその人の行動を指揮し、背中を押しているといえます。さまざまな感情は、私たちの祖先が遺伝子として残してくれた命をつなぐための大事な生命線なのです。(監修:健康管理士一般指導員)


ヘッドライン

HeadLineNews
【新着】今日のマイライフニュース

連載中コラム

健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!
マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー
健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!

マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー

カテゴリ