体内でエネルギーを生み出す「ミトコンドリア」って何? 後編~エネルギー産生のメカニズム

前回は、ミトコンドリアの構造について説明しました。では、ミトコンドリアが行うエネルギー産生の方法はどのような点で優れているのでしょうか。今回はそのメカニズムについて、詳しく紹介します。ミトコンドリアのエネルギー産生方法が解糖系と大きく異なるのは、酸素を利用するという点です。酸素のある状態で行う代謝のことを「好気的代謝」と呼びます。ミトコンドリアでは、「TCA回路(クエン酸回路)」と「電子伝達系」という2つの経路で好気的代謝が行われ、エネルギーのもとであるATPが産生されています。

TCAとは回路の最初の反応産物でもあるクエン酸(Tri-Carboxylic Acid)の頭文字です。そのためTCA回路は、別名「クエン酸回路」とも呼ばれているそうです。TCA回路では、解糖系によってできたピルビン酸がアセチルCoAとなり、TCA回路に入ります。TCA回路に入ったアセチルCoAは最終的に二酸化炭素と水素に分解されます。ここまでがTCA回路での反応となり、この回路ではATPが2分子つくられます。

一方、電子伝達系は、TCA回路を引き継いで多くのATPをつくり出すシステムです。TCA回路によってつくられた水素が、電子伝達系に運ばれて酸素と反応し、水をつくります。この過程においてATPがつくられるのですが、その数はなんと34分子。つまり、ミトコンドリアで行われる好気的代謝では、TCA回路でつくられる水素をもとに、電子伝達系において今までに考えられないほどのATPをつくることに成功したのです。

嫌気的代謝のみのATP産生では、解糖系でATPが2分子増えるだけでしたが、酸素を使った好気的代謝を行うことができるようになったことで、さらにTCA回路で2分子、電子伝達系で34分子のATPがつくられるようになりました。最初に解糖系で増えるATP2分子を含めると、合計38分子にもなります。ミトコンドリアによって編み出された好気的代謝が、エネルギーのもとになるATPをつくるうえで、いかに効率の良いものであったが理解できると思います。

今回は、ミトコンドリアのエネルギー産生メカニズムについて学んできました。解糖系によりブドウ糖が分解され、ピルビン酸、そしてアセチルCoAとなり、ミトコンドリア内のTCA回路、そして電子伝達系へと入っていくという流れです。つまり、TCA回路が働くためには、その前に解糖系が働いている必要があります。この最も原始的なエネルギー産生経路である解糖系は、今もほとんどの生物の中にあり、そのバトンを受け継ぐ形で、ミトコンドリアでの酸素を用いたTCA回路や電子伝達系がさらに多くのATPを産生しているのです。(監修:健康管理士一般指導員)


ヘッドライン

HeadLineNews
【新着】今日のマイライフニュース

連載中コラム

健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!
マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー
健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!

マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー

カテゴリ