大阪・関西万博で注目を集めた「心筋シート」とは? iPS細胞から作られた薄い膜状の心筋細胞

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに昨年開催され、大きな話題を集めた大阪・関西万博。その中でも、再生医療の分野において、世界をリードする日本のiPS細胞の研究成果として注目されたのが「心筋シート」です。これは、失われた心臓の機能を再生させる可能性を持つ革新的な医療技術であり、いのちを救う科学という万博のメッセージを象徴する存在として、多くの関心を集めました。会場では、最先端医療の展示やシミュレーションを通じて「科学がいのちをどう支えるか」という問いを、社会全体で考える機会が提供されました。

心筋は、損傷すると自力での回復が難しい組織であり、治療における大きな課題となっていました。この課題に挑み、世界で初めて心筋シートを開発したのが、大阪大学の澤芳樹教授らの研究チームです。心筋シートとは、心臓の筋肉である心筋細胞を培養して作られた薄い膜状の組織であり、狭心症や心筋梗塞など重症の虚血性心疾患や心不全の患者に対して、外科的に心臓の表面(心筋が壊死した部分)へ移植する治療に使用されます。

移植されたシートは心臓に接着し、わずか10~15分で固定され、移植から6時間後には患者の心臓の表面からシートの中へ血管が伸びていきます。シート側からサイトカインなど回復に役立つ物質が放出され、心筋は徐々に収縮機能を取り戻し血流が改善されることで、弱った心筋細胞に栄養素が行きわたり、心機能の回復につながります。心筋シートは、国内外で臨床研究が進み、移植後の心機能改善やQOL(生活の質)の向上が確認されており、将来的にはより安全で効果的な再生医療として確立され、実用化のさらなる進展が期待されています。

そして、心筋シートの発展に欠かせないのがiPS細胞(人口多能性幹細胞)です。iPS細胞は、皮膚や血液などの体細胞に特定の遺伝子を導入することで、様々な組織や臓器の細胞へと分化できる能力を持たせたものです。体細胞から多能性を持つ細胞を作り出せるようになったことで、応用的な治療法の可能性が大きく広がりました。また、患者自身の細胞を利用できることから移植時に起こりやすい拒絶反応を減らすことが期待されています。(監修:健康管理士一般指導員)


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