赤ちゃんはどうやって免疫を獲得している? 母親から子どもに受け継がれる「母子免疫」

私たちの体には、細菌やウイルスなどの病原体、がん細胞といった異物から体を守る「免疫」という仕組みが備わっています。では、生まれたての赤ちゃんは、どうやって免疫を獲得しているのでしょうか。赤ちゃんは、実は生まれる前に、胎盤を通じて母親から免疫を受け取っています。また、生まれてからは、授乳を通して、母親から赤ちゃんへ免疫が移行していきます。この仕組みのことを「母子免疫」といいます。

「母子免疫」の中でも、母親から赤ちゃんへ移行する抗体のことを「移行抗体」といい、一時的に赤ちゃんを感染症から守る役割を果たしており、赤ちゃんにとって重要な防御手段になります。まず、妊娠後期(妊娠28週以降)になると、母親が獲得した免疫(抗体)は、胎盤を通じて赤ちゃんに移行する時期になります。胎盤からの移行抗体で重要となるのが「IgG抗体」です。IgG抗体は、細菌やウイルスなどの異物を排除する働きがあり、感染症を防ぐために重要な役割を担っています。

IgG抗体は、唯一胎盤を通過できる抗体であり、赤ちゃんは母親が獲得したIgG抗体を受け継いでいます。そのため、生まれた時は母親と同じレベルのIgG抗体を持っているともいわれています。しかし、IgG抗体は妊娠後期に移行するため、早産で生まれきた赤ちゃんは十分な量の移行ができておらず、免疫が弱い傾向にあります。

また、移行抗体という仕組みは、妊娠中のワクチン接種(インフルエンザや百日咳など)が推奨される理由にもつながります。母親が妊娠中にワクチンで得た抗体が赤ちゃんに移行することで、母体だけではなく赤ちゃんを守ることになるからです。このように、母親からのサポートを受けることで、赤ちゃんは生まれる前から感染に備えた免疫機能を持ち始めることができるのです。

移行抗体のもう1つの経路が母乳です。そして、母乳からの移行抗体で重要となるのが「IgA抗体」です。IgA抗体は、赤ちゃんの腸粘膜にとどまり、細菌やウイルスの侵入を防ぎ、体の粘膜を保護する働きがあります。IgA抗体は、母乳に多く含まれており、特に産後1~3日間に分泌される「初乳」に豊富に含まれています。初乳の分泌は少量ですが、IgA抗体などが含まれており、赤ちゃんの免疫機能を高めるために重要な役割を担っています。その後母乳は、抗体の含有量など子どもの成長にともなって3段階に変化していきます。

また、母乳は赤ちゃんの腸内環境を形成するうえで、重要な役割を担っています。母乳には、オリゴ糖やラクトフェリンなどの善玉菌を増やし、腸内環境を整える成分が多く含まれています。これらの働きによって、生後間もない母乳栄養児の腸内フローラは、善玉菌の一種であるビフィズス菌が多くを占めています。このように、善玉菌が優勢な環境が形成されることで、免疫機能が健全に発達しやすくなるといわれています。(監修:健康管理士一般指導員)


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