ライオン、口腔・睡眠・運動器の3つの機能を「同時に」トレーニングする「健口眠体操」を介護施設向けゲーム機「TANO-LT」に搭載

「TANO-LT」を使って健口眠体操を行う様子

ライオンは、昨年に腰痛治療・運動療法の第一人者で、Tailor Made Back pain Clinic院長、福島県立医科大学医学部疼痛医学講座特任教授の松平浩先生と共同で、口腔・睡眠・運動器の3つの機能を「同時に」トレーニングする「健口眠体操」を開発した。そして、高齢の人に、体操を無理なく楽しく続けてもらうため、TANOTECHと松平先生の協力のもと「健口眠体操」をバーチャルゲームプログラム化して介護施設向けゲーム機「TANO-LT」に搭載、販売を開始した。5月22日に行われた「健口眠体操/TANO-LT メディア体験会」では、「健口眠体操」をはじめとした「TANO-LT」搭載ゲームの体験に加え、開発背景や関連研究について、共同開発メンバーの松平先生を迎えてライオン研究員とのクロストークも行った。

ライオン 研究開発本部 牧利一氏

「当社は、一般用消費財事業が約6割を占め、その他は産業用品事業と海外事業で構成されている。2030年の経営ビジョン実現に向け、パーパスを起点とし、『サスティナビリティ重要課題への取り組み』と『3つの成長戦略』を相乗的に推進し、サスティナブルな社会への貢献と事業の成長を目指している」と、ライオン 研究開発本部 牧利一氏が挨拶。「口から全身の健康とQOL向上を支える『オーラルヘルスケア』を実現するべくオーラルヘルス領域と、多様な暮らしにフィットした『新しい家事習慣』の創出を目指すスマートハウスワーク領域、あらゆる場で感染症のリスクと向き合う『衛生ソリューション企業』を目指すインフェクションコントロール領域、心と身体の『トータルヘルスケア・サービサー』を実現するウェルビーイング領域という4つの価値を提供するべく、研究活動を行っている」と、より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する基礎研究、開発研究、新研究活動を行っているのだと説明する。「この起点となるのが、『LION R&D』で職域における歯科検診導入の有用性検証や健康ビッグデータを用いた健康寿命延伸に向けた検討、歯科医向け唾液検査システム開発、衛生習慣定着に向けた実証実験、ルイボスエキスの乾燥改善効果検証を、ステークホルダーとの共創によって研究を推進している」と、現在進められている研究活動について言及してくれた。「研究によって明らかになった知見は、サービス領域にも拡大。口のフィットネス『ORAL FIT』や『おくちプラスユー』、『TANO-LT』として消費者に届けている」と、提供価値領域から誕生したサービスなどについて紹介した。

ライオン 研究開発本部の物井則幸氏

次に、ライオン 研究開発本部の物井則幸氏が「健口眠体操」プロジェクトについて説明した。「認知症予防の観点でも、口腔内を衛生に保つことが大切であるとされている」と、論文データを示しながら、口腔と全身健康の関係について解説。「一方、睡眠は脳と身体の休息や記憶の整理・定着、免疫機能の調整、ホルモン分泌の調整といった役割がある」と、睡眠と全身健康の関係について紹介する。「睡眠は脳の機能に深く関わりがあり、寝付くまでに時間がかかる入眠困難や熟睡できていない浅い睡眠、途中で何度も目が覚める中途覚醒といった睡眠不具合によって全身健康に多大な影響を及ぼしている」と、睡眠がいかに重要なのかを説く。「そして、2025年には、日本国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上になる」と、2025年の日本の高齢者人口は、約2200万人に達すると力説する。「さらに、高齢者の5人に1人が認知症になるとされている」と、高齢者人口が増えることは認知症患者も増えることになると強調する。「認知症による要介護者が急増する一方で、介護人材の不足が懸念される」と、介護人材は約32万人不足するといわれているのだという。「超高齢化によって、人口と労働力のバランスが崩れ、医療や介護現場も困難を極めると同時に、年金など税制面においても課題が顕在化するとみられる」と、健康寿命の延伸が急務なのだと警鐘を鳴らす。「健康寿命延伸には、適度な運動が効果的であることは明らかではあるが、習慣化に向けては課題が残る状況となっている」と、運動習慣があることで要介護重症化リスクが減り、生涯介護費用が減るのだと指摘する。

「TANO-LT」搭載ゲームのメイン画面

「当社では、より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献するべく、高齢者が楽しみながら実施できる運動習慣づくりが重要であると考えた。これによって、高齢者が生き活きと暮らす社会の実現につながると思い、『健口眠体操』プロジェクトを発足した」と、プロジェクト誕生の背景について紹介。「加齢とともに、口腔機能、睡眠機能、運動機能が低下する。そこで、当社の口腔科学、睡眠科学研究と専門家との共同研究を行い、口腔・睡眠・運動器の3つの機能を『同時に』鍛えることで、脳機能を高めるライオン独自開発の体操『健口眠体操』を考案した」と、加齢とともに低下する機能を鍛える体操を提案。「健口眠体操は、5分間で21種類の運動を実施可能で、高齢者が安全に実施しやすい、座って行うトレーニングのみを選定した。思わず体を動かしたくなるような明るい音楽を付与している」と、健口眠体操の特長について解説する。「楽しく運動を続けるためにバーチャルゲーム化したTANO-LTは、センサーが体操時の骨格を読み取り、正しい動きと照らし合わせて骨格の一致率を点数化し、リアルタイム表示をしてくれる。点数化することで、高得点を狙ったり、点数を競ったり、ゲーム感覚で楽しく運動を続けられる」と、健口眠体操を続けてもらうために、バーチャルゲーム化したのだと語っていた。

「TANO-LT」搭載ゲームを行っている様子

「TANO-LTには、健口眠体操の他、200種以上のプログラムを搭載。体の動きをセンシングするモーションセンサーによって、トレーニングの様子を可視化し点数化してくれる」と、思わず動きたくなるゲームとしてアップデートしたとのこと。「介護施設に導入した結果、歩くスピードが速くなり、『パ』の発音回数も増えた」と、転倒リスクの低減や唇の開閉能力向上につながるのだと力説する。「介護職員にはレクの準備の手間を削減し、介護施設利用者には、自然に身体が動き、楽しくトレーニングでき、得点がわかりモチベーションアップにもつながる」と、人材不足の介護業界の課題にアプローチできるのではないかと語気を高める。「そして、TANO-LTを最先端テクノロジーの採点『サウス・バイ・サウスウエスト2023』に出展。海外にも健口眠体操プロジェクトを広めていく活動も開始した」と、国内のみならず海外にも健口眠体操を普及させることで、世界中の高齢者のQOLを高めていきたい考えを示した。

Tailor Made Back pain Clinic院長の松平浩先生

この後、Tailor Made Back pain Clinic院長の松平浩先生とライオンの内山千代子氏、同 物井氏によるトークセッションが催された。「筋肉のピークは20代。これ以降は衰えていくと考えてよく、70代を境に大きく減少するともいわれている」と松平先生。「筋肉が衰えると、膝、腰に痛みが生じるという人も少なくない。そこで、こうした痛みを軽減するべく、体操を開発した」と、身体を動かすことで、筋肉の衰えのスピードを緩めようと考え、誰もが楽しめる体操を考案したのだという。「一方で、身体の健康にとって重要とされる口腔についても、考案した体操で鍛えられるようにした。さらに、睡眠にも対処した体操とすることで、運動、口腔、睡眠という3つの機能を効果的に高める体操を目指した」と、身体を動かすというだけでなく、口腔の訓練や、睡眠の質の向上に向けた体操が健口眠体操なのだと訴えた。

ライオンの内山千代子氏

口腔を鍛えることについて内山氏は、「口の中は筋肉の塊。年をとると活舌が悪くなるのは、口の周りの筋肉が衰えてきたことが理由といえる。それだけに、健口眠体操で口腔まで鍛えることは、とても重要なことになる」と、筋肉が多い口腔だからこそ、老化を遅らせるためのアクションは重要になってくると訴えた。物井氏は、「加齢によって睡眠の質が低下する。睡眠の質を向上させるには、しっかり運動することが大切となる」と、運動によって身体が疲れると、理想的な眠りを確保しやすくなるのだと説く。「そして、さらに重要なのは運動を習慣化させること。こうすることによって、毎日理想的な睡眠を確保することができる」と、夜中に目が覚めたり、早起きしてしまうなどのことがなくなると語っていた。

松平先生は、「健口眠体操は高齢者が安全に行えるように、基本的には座って行う体操となる」と、安全性に配慮された体操なのだと説く。「しっかりとした姿勢をキープしなければいけないなど、バランスのよい体操になっており、習慣化してもらうために笑顔で取り組めるようなものにもなっている」と、運動習慣につなげてもらえるのが健口眠体操なのだとアピールした。内山氏は、「口の中の唾液も重要で、唾液の量は年齢とともに減少していく。健口眠体操では、口が渇いていかないように工夫されている」と、口の中が渇かないようになっている点もポイントであると述べていた。物井氏は、「睡眠は、交感神経と副交感神経の切替しから成り立っている。この切替しは自律神経が大きな役割を担っており、この向上を促す体操になっている点も見逃せない」と、睡眠で重要な機能に刺激を与える体操が健口眠体操なのだと訴えた。

最後に松平先生は、「腰痛で悩む人は多く、とことこ歩きの高齢者も少なくない。こうした高齢者をなくすためには、リアルデータを蓄積していき、メディカルな知見を高めていく必要がある。健口眠体操を採り入れてもらうことで、高齢者がポジティブになっていってもらえることを期待している」と、高齢者の悩みを解決するツールとして健口眠体操を広めていきたい考えを示していた。

ライオン=https://www.lion.co.jp/ja/


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