- Study&Work2025/10/08 20:32
コグ二ザントジャパン、国内のAI推進を支援する「東京ラボ」の展開について発表、マルチエージェント型AIの実装事例も紹介

テクノロジーソリューションパートナーのコグ二ザントジャパンは、国内企業のAI推進を支援する拠点「コグニザントジャパン 東京ラボ」(以下、東京ラボ)において、10月7日にメディア向け取材会を開催した。取材会では、「東京ラボ」の設立背景や今後の展開などについて説明した他、同社が展開するエンタープライズ向けマルチエージェント型AIソリューションの特徴や導入メリット、および海外拠点における実装事例を紹介した。
「米国に本社を置くコグニザント テクノロジー ソリューションズは、1994年に設立し、現在は37ヵ国にオフィスを持つグローバルカンパニーとなっている。従業員は約33万人、そのうちインドが約7割を占めており、グローバルでの売上規模は3兆円を超えている。日本法人は2008年に設立され、当初は日本市場での製品デリバリーを主に展開していたが、近年ではパートナービジネスにも注力している」と、コグニザントジャパン 常務執行役員 製造・流通・通信事業統括兼 AI事業リードの五十嵐毅氏が挨拶。「当社のアウトソーシングサービスでは、業界・業種ごとに実装された既存のAIエージェントを横展開して顧客のAI活用を加速している。ビジネスコンセプトとしては、サービス提供後も最新テクノロジーを積極的に活用することで、顧客のコスト削減・効率化を継続的に支援する。そして、想定以上の削減分が出た場合には顧客と当社で利益分配する仕組みを導入している」と、アウトソーシングビジネスのコンセプトについて説明した。

「これまで当社がグローバルプロジェクトで策定・導入してきたAIエージェントは、すべて資産として管理されている。そのため、ゼロから作らなくても、この資産を参考・出発点にすることで効果的・効率的にAIエージェントを構築することができる。また、新規業務設計においては新しいアイデアの発現にもつながる」と、豊富なAIエージェントが資産として蓄積されているのだと強調する。「AIエージェントの導入にあたっては、通常はMicrosoft CopilotやSalesforce Agent forceなどのツールの機能検証になりがちだが、当社では『業務とAIテックの知見』『データ整備』『ガバナンス』の3軸での同時検討が必要だと考えている。これによって、多くの日本企業が抱えているAI導入の課題解決を支援していく」と、AIエージェントの導入支援に向けたアプローチについても言及。「今年5月には、AIインテグレーションサービスを提供するJTPと、AIエージェント開発で業務提携を行った。AIコンサルサービスで多くの実績を持つ当社とJTPが連携することで、ビジネス固有のAIエージェントの導入と利用を促進していく」と、DXの遅れや労働力不足などの社会課題解決に向けた取り組みを本格化していく考えを示した。

続いて、同社 グローバルソリューションアーキテクチャ 兼 AIテクノロジーリードの山口尚己氏が「東京ラボ」の概要について紹介した。「当社では、AIを戦略的成長分野と位置づけ、グローバルで2024年から2027年にかけて1000億円以上の投資を計画している。特に生成AI、マルチエージェントAI、進化的AIなどの研究開発を進めており、『Neuro AI Multi-Agent Accelerator』などのAIプラットフォームを企業向けに提供すると共に、AIを活用した業務自動化・分析サービスを他業種に展開している。また、AI技能保有者の育成にも力を注いでいる」と、全社的にAI分野への投資を拡大しているという。「その中で、日本市場向けのソリューション開発ハブとして、AIなどの最先端技術を活用した顧客体験の場を提供するべく『東京ラボ』を開設した。同ラボでは、米国シリコンバレーを拠点としたAIリサーチラボを中心に、世界各国に展開するAI技術ラボの機能やパートナーネットワークと相互に連携。ラボでのワークショップを通じて、日本の顧客が抱える個別課題に対するソリューションの具現化を支援する。さらに、ローカルでの知的・人的資産の蓄積とグローバル活用を目指していく」と、「東京ラボ」の開設に至る背景と狙いを述べた。
「AI技術の研究・開発を担う米国のAIリサーチラボでは、これまでに59件の米国発行AI特許を取得し、70件の査読付き出版物を発表している。また、学術機関との共同研究や業界コンソーシアムとの協業も積極的に行っている。『東京ラボ』でも、こうしたAI関連のリサーチ活動をサポートしていく」とのこと。「今後の展開としては、グローバルのAI技術・ノウハウ・人材とローカルの知見を融合し、日本の課題に即したソリューションを構築。日本ローカルにアセット化することでラボ能力を強化し、長期にわたるサステナブルな体制を実現する。見て・聞いて・体験する『東京ラボ』を拠点として、新たなAIエージェントのインスピレーションからアイデア創出、研究・実証、アセット化までのサイクルを確立していきたい」と、「東京ラボ」が目指す将来像を発表した。

同社が展開するエンタープライズ向けマルチエージェント型AIソリューションについて、引き続き山口氏が説明した。「AI技術は、予測AIから生成AI、エージェント型AIへと急速に進化しており、今後はマルチエージェント型による汎用AI、さらには超知能へと進化を遂げると予想されている。AI技術がもたらすビジネスインパクトとしては、現在は個別業務の代替からオペレーション変革の段階に来ており、これからはビジネスモデル変革、産業・社会変革まで影響が広がると考えられる」と、AI技術の進化はビジネスに大きなインパクトを与えるのだと訴える。「従来のAIエージェントは、単一エージェントがアクションを実行するため、専門性の不足や処理集中によるボトルネック、柔軟性の欠如といった課題を抱えていた。マルチエージェント型AIでは、複数のエージェントが協働・協調することでこれらの課題を解決し、より複雑なアクションを実行することができる」と、次の進化段階であるマルチエージェント型AIの概要について解説してくれた。
「エンタープライズ向けのマルチエージェント型AIシステムに求められる技術要素としては、『大規模言語モデル(LLM)と小規模・専門特化型モデル(SLM)の混在利用』、『エージェント間の通信・オーケストレーション』、『外部ツール・システムとの連携』、『共通の知識・メモリの管理、共通のガードレールなど技術的課題への考慮』といった点が挙げられる。当社では、こうした技術要素を網羅したマルチエージェント型AIソリューションとして『Neuro AI Multi-Agent Accelerator』を提供している」とのこと。「当社のソリューションは、ノーコード対応で、自然言語で簡単にエージェントネットワークを構築することができる。どんな言語でも、そのコンテキストを理解し、必要なエージェント群と、それらを最適につなぐネットワークを瞬時に自動構築。AIが、複数のエージェントがどう連携するかをすべて推論し、マルチエージェントネットワークを生成する」と、専門知識がなくてもマルチエージェント型AIを容易に導入・活用できるとアピールした。
そして、海外拠点における同社ソリューションの実装事例として、人事領域と医療領域でのユースケースを紹介。「人事領域では、マルチエージェント型AIを活用した採用プロセスのオーケストレーションを実現。人間の採用担当者によるバイアスを軽減し、候補者のソーシング、スクリーニング、面接、採用までを自動化している。一方、医療領域では、7種類の専門特化型AIエージェントを活用して医療画像診断を実現。専門特化型エージェントは、コンプライアンス観点で画像を解析するグループと、画像の診断を担当するグループに分かれており、医療画像をアップロードすると各エージェントが対話を行い、その解析結果を病院管理エージェントに送信する」と、デモ動画を交えながらマルチAIエージェントの実際の動きについて説明してくれた。
最後に山口氏は、「当社のマルチエージェント型AIソリューションは、AI技術だけでなく、データ管理機能とガバナンスモデルにも強みを持っている。データ管理機能については、データ検証、データクレンジング、データプロファイリング、データ監視の4つの柱をすべてカバーしており、顧客のデータ整備にかける時間を大幅に削減する。また、当社のガバナンスモデル『Responsible AI』の原則は、安全性、信頼性、人間中心性、持続可能性に基づいて策定されたCognizant Trustフレームワークで表現されている。このフレームワークでは、当社が責任を持ってAIを設計・構築・提供する方法をあらかじめ定義している」と、導入後のデータ管理やガバナンスまで包含したトータルソリューションを提供できるのも同社の強みなのだと訴えた。
コグ二ザントジャパン=https://www.cognizant.com/jp/ja/
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