サントリー、サントリー登美の丘ワイナリーの見学ツアーを一部刷新、栽培・醸造・熟成の一貫したつくりのこだわりを体験

左から:サントリー 登美の丘ワイナリーチーフワインメーカー 篠田健太郎氏、サントリー ワイン本部 日本ワイン部長 宮下弘至氏

サントリーは、サントリー登美の丘ワイナリーの見学ツアーを、一部リニューアルし、9月4日から予約開始、9月19日から一般公開する。9月3日に行われた見学ツアー体験会では、さまざまな魅力をもつワインの原酒づくりを可能にする新たなものづくり施設「FROM FARM醸造棟」や熟成庫を巡り、「サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州 2023」および「サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 2022」などのティスティングも体験。テロワールの魅力とより洗練されたワインづくりを体験できる見学ツアーに刷新されたことをアピールした。

サントリー ワイン本部 日本ワイン部長 宮下弘至氏

「ワインの世界に新しい地図を描くべく、世界に誇るジャパニーズワインを提案。こうした取り組みによって、世界の五大ワインのひとつとして日本ワインが世界的な評価を獲得している」と、サントリー ワイン本部 日本ワイン部長 宮下弘至氏。「当社は、世界品質を目指すものづくりを実現するべく、日本の自然、風土と畑から向き合い、技と愛情を込めて、作り上げたワイン提供している。こうした当社のものづくりが、世界で花開いている」と、日本ならではのオリジナリティを発揮しながら世界へ挑戦し、新たなジャパニーズワイン文化を創造しているのだと訴える。「近年、当社の日本ワインは世界的なコンペティションで受賞。日本ならではのオリジナリティを発揮し、高品質な日本ワインを提供できている。2030年には、日本ワインで10万ケースの出荷を目指し、ものづくりと顧客接点の質を向上していく」と、質・量ともに、日本を代表するワインメーカーとして、国内外に向けた日本ワインの価値最大化を図ると話していた。

FROM FARM醸造棟 外観

「世界品質を目指すさらなる進化を実現するべく、畑と向き合うものづくりを体現できる新たな施設『FROM FARM醸造棟』を8月29日に竣工した。ぶどうの個性を最大限に活かす小ロットによる丁寧な仕込と多彩な原酒のつくり分けが可能になった」と、新施設について説明する。

ぶどう畑
熟成庫 内部

「9月4日から申込を開始する『FROM FARM』新ツアーでは、広大な自園の畑でぶどうが育ち、匠の技でワインが仕込み、醸されて時がワインを熟成する過程を体験できるツアーとなっている」と、新たなツアーでは細かな工程を見てもらえるようになると力説する。

眺望台からの景色

「9月27日~28日には『FROM FARM ワイン フェスティバル 2025』と題し、日本ワインの価値を体験してもらえるイベントを実施する。11月8日は『登美の丘ワイナリー 収穫感謝祭 2025』を実施。今年は天候にも恵まれただけに、すぐれたヴィンテージを届けられると考えている」と、登美の丘ワイナリーでは様々なイベントも行っていくと発表した。

サントリー 登美の丘ワイナリーチーフワインメーカー 篠田健太郎氏

次に、同 登美の丘ワイナリーチーフワインメーカー 篠田健太郎氏が、登美の丘ワイナリーでのワインづくりや「FROM FARM醸造棟」について紹介した。「当社では、世界に肩を並べる『ジャパニーズワイン』を実現するべく、テロワールを追及し、高いレベルで表現することをミッションに掲げている」と、世界に誇るワインづくりを実践していると意気込む。

ぶどう畑
ぶどう畑(甲州)

「登美の丘ワイナリーでは、栽培・醸造・熟成の各工程において、登美の丘テロワールと品質を追及したものづくりを行っている」と、栽培・醸造工程にこだわりをもっているとのこと。「栽培におけるこだわりでは、複雑な地形が生み出す様々な土壌の特徴を見極め、25haの畑を約50の区画に細分化。各区画ごとに最適なぶどう品種を植え付けている」と、畑を理解し、ぶどうを理解することが大切なのだと訴える。

FROM FARM醸造棟 少容量サーマルタンク 固定式

醸造における進化では、「9月から『FROM FARM醸造棟』が稼働する。ぶどうのポテンシャルを最大限発揮させ、区画・畑ごとの多彩な原酒のつくり分けを可能にする設備を整えている」と、仕込用タンク26台(9月時点)で、年間1000ケースの製造能力をもつという。「『FROM FARM醸造棟』では、今まで以上に“ジェントルハンドリング”(ぶどうとワインを丁寧に扱う同社のワインづくりの思想に基づくアクション)を実現し、登美の丘らしい高品質なワインを生み出す。具体的には、プレス機『グラヴィティ フロー』システムを導入し、高品質な果汁を得る。少容量サーマルタンク(固定式&移動式)では、ぶどうに合わせた最適な仕込が可能。小ロット用新瓶詰ラインでは、酸素接触を低減した瓶詰ができる」と、「FROM FARM醸造棟」の役割や実現できることについて教えてくれた。

FROM FARM醸造棟 少容量サーマルタンク 固定式

「新プレス機の導入で、果汁の温度変化を抑え(低温を維持)、酸化を防いだクリーンな果汁を獲得する。新『グラヴィティ フロー』システムは、ぶどうの搬送に導入。ぶどうへの物理的負荷を軽減し、ぶどうのポテンシャルを残したまま発酵させることができるようになった」と、ぶどうをより丁寧に扱うことで、ぶどうのポテンシャルを最大限活かすことが可能になったと述べていた。

FROM FARM醸造棟 少容量サーマルタンク 移動式

「ぶどうに合わせた最適な仕込を実現する小型タンクの導入で、区画・畑の個性が活きたワイン原酒を生み出し、“登美の丘らしさのある、さらに高品質な”ワインづくりを可能にした」と、畑区画に応じた小ロット仕込によって、各原酒の特徴を活かしたアッサンブラージュワインができると語っていた。

ぶどう畑(甲州)

新ツアーについて、再び宮下氏が説明した。「新ワイナリーツアーは、9月3日から予約を開始し、9月19日からツアーを開始する。注力する甲州の畑の見学とともに、栽培・醸造・熟成の一貫したつくりのこだわりを体感できるツアーへと刷新した」と、新ツアーでは、甲州畑、醸造棟、熟成庫を巡る「FROM FARM 登美の丘ワイナリーツアー」と眺望台、甲州畑、醸造棟、熟成庫を巡る「FROM FARM 登美の丘ワイナリーツアー<プレミアム>」が新設されると教えてくれた。

眺望台
眺望台からの景色

この後、「FROM FARM 登美の丘ワイナリーツアー<プレミアム>」を体験。同ツアーは、登美の丘ワイナリーの豊かな自然環境を感じながら、つくり手の技、ものづくりにかける情熱と挑戦を体感できるようになっている。案内係と広大な敷地内をバスで移動しながら、まず甲府盆地を見渡せる眺望台からの景色や、ぶどう畑を見学。その後、「FROM FARM醸造棟」や熟成庫で、実際の仕込工程の現場を間近で見学した。

熟成庫 外観
熟成庫 内部

見学後は、同 ワイン本部経営戦略部 シニアスペシャリスト 柳原亮氏によるヴィンテージテイスティングが行われた。「『甲州』の特徴は、欧州系品種に比べて、糖度が上がりにくい。また、アタックに凝縮感があり、密度が高い」と、糖度が上がりにくい「甲州」で、品種の良さを活かしつつ、いかに凝縮感を高めるかが世界の白ワインと肩を並べる鍵であると訴える。「そこで、世界品質の『甲州』を目指すべく2014年から適した圃場を選ぶことからスタート。2015年から適した系統を選んで植えた。2020年から完熟ぶどうだけを収穫している」と、自家ぶどう園の強みを最大限活かし様々な取り組みに挑戦していると語気を高める。

サントリー ワイン本部経営戦略部 シニアスペシャリスト 柳原亮氏

「2019年から『登美 甲州』の収穫時の糖度を見てみると、年を追うごとに糖度が増していき、2023年は初の糖度20度を達成。無補糖で醸造できた」と、糖度の高い「登美 甲州」が収穫できているのだと述べていた。「『登美 甲州』と『登美の丘 甲州』を分けるポイントは、世界の舞台に立って遜色のない“ボディ・果実の強さ”と、複雑で上品な香り(柑橘だけでなく、多彩な果実、花、スパイスを含む)、甲州のフェノリックス(渋さ)を持ちながら、エレガントと感じさせる質感と余韻であり、系統選抜(ウイルスフリー)の苗が成園化したことで実現し、新しい仕立てへの取り組み(垣根+一文字短梢)になる」と話していた。

ぶどう畑(甲州)

「ぶどうの品種『タナ』はフランス南西地方の地ぶどう。タンニンの語源となった。渋味の強さと色の濃さが特徴になっている。『マルスラン』は1961年南フランスで交配。カベルネ・ソーヴィニヨン×グルナッシュ・ノワールで、近年世界で注目度が上昇している。この2品種は、小粒で果皮が分厚いため、病気に強く、濃い色調のワインになる。『タナ』の個性は、暑さへの耐性としっかりしたボディで、『マルスラン』の特性は、暑さへの耐性と果実の甘さと品の良さとなっている」と、温暖化に対応し、暑さへの耐性がある品種も栽培していると述べていた。「『プティ・ヴェルド』は、晩熟で、特に夜温が下がる10月以降に一気に成熟する。登美の丘の気候に合っている品種といえる。小粒で品種特性として、強い風味を持っているため、日本の気候でも強さを保つ。一方で、タンニンが強く、粗くなるリスクもある。また薄い果皮のため、玉割れのリスクもある」と、近年栽培比率が高まっている「プティ・ヴェルド」の強みについて言及した。

熟成庫 内部

「温暖化がぶどうの品種に悪影響を及ぼす課題に対して、ぶどうの成熟期をより冷涼な晩秋に移行させる新たな栽培技術『副梢栽培』に取り組んでいる。技術特許を持つ山梨大学と協働研究の形でチャレンジを続けている」と、夏にぶどうの副梢を利用する前処理を行い、収穫期を40日遅らせているとのこと。「早熟タイプの品種であるメルロとシャルドネで実施している」と、気候変動に対応した新たな栽培方法にもチャレンジしているのだと教えてくれた。

左から:「サントリーフロムファーム 登美 赤 2021」「サントリーフロムファーム 登美 甲州 2023」「サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 2022」「サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州 2023」

今回のティスティングで用意されたワインは、「サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州2023」「サントリーフロムファーム 登美 甲州 2023」「サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 2022」「サントリーフロムファーム 登美 赤 2021」の4種。なお、「FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー<プレミアム>」のティスティングでは、「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2022」「同 登美の丘 赤 時のかさね」など、計4種のワインを楽しめるとのこと。テイスティングするワインは変更になる場合がある。

FROM FARM醸造棟 少容量サーマルタンク 固定式

「FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー」は、ショップからほど近いぶどう畑を見学した後、「FROM FARM醸造棟」や熟成庫で、実際の仕込工程の現場を間近で見学できる。見学後は、熟成庫内にあるテイスティングルームで、「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2022」「同 登美の丘 赤 時のかさね」の計2種のワインを楽しめる。なお、テイスティングするワインは変更になる場合がある。

眺望台からの景色

[見学ツアー概要]
FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー<プレミアム>
 所要時間:120分
 参加費:8000円(税込)
 実施曜日:金・土・日・祝
FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー
 所要時間:80分
 参加費:3000円(税込)
 実施曜日:水を除く毎日
見学開始日:9月19日(金)
予約開始日:9月4日(木)

サントリー=https://www.suntory.co.jp


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