- Drink&Food2025/06/30 22:49
サントリー、6月に竣工を迎えたサントリー大阪工場内の新たな「スピリッツ・リキュール工房」を視察、新蒸溜器の見学など体験

サントリーは、創業以来「洋酒文化の創造・発展」に挑戦し、80年以上にわたりジンづくりに取り組んできた。現在、ジン市場の創造・拡大に向け、活動を強化している。6月26日には、6月に竣工を迎えたサントリー大阪工場内の新たな「スピリッツ・リキュール工房」を視察できる取材会を開催。新蒸溜器の見学や360度シアターを備えたセミナールームでの「サントリージャパニーズクラフトジンROKU〈六〉」の構成原酒の試飲など、「サントリージンのものづくり」のこだわりを体感した。

「サントリー大阪工場は、鳥井信治郎の夢『国産の洋酒づくり』のために、創業の地、大阪近郊の築港エリアに1919年に建設した」と、サントリー 大阪工場 工場長 矢野哲次氏が、大阪工場の歴史と成り立ちについて語る。「国内外の原料を仕入れ、製品を送り出すのに適した場を求め、海運水運が発達していた大阪築港エリアに工場を建設した」と、築港エリアに建設した理由について説明する。


「大阪工場では、ベーススピリッツ製造を行い、原料酒製造およびブレンドを行った後、瓶詰を行う。多彩な厳選素材と熟練のブレンド技術のかけ合わせがスピリッツ・リキュール工房のものづくりの特長となっている」と、素材とブレンド技術で生まれる製品にはこだわりが詰まっていると強調する。


「この大阪工場 スピリッツ・リキュール工房をつくる、伝える場として合計65億円の設備投資を行った」と、大規模な設備投資で、生産能力の増強だけでなく、品質向上にも寄与する工場へと生まれ変わったのだという。

「今回の設備投資では、新たにスピリッツ・リキュール工房を建設。浸漬タンク8基の新設によって生産能力が向上した他、蒸溜器4基の機能向上によって品質も向上している。また、スピリッツ・リキュール工房内に開発担当部署のラボを併設。パイロットディスティラリーも新設した」と、生産能力を2.6倍に拡大し、美味品質のさらなる向上も図ったのだと強調する。


「これまで、蒸溜釜内で浸漬し、蒸溜していたが、今夏の設備投資によって、タンクで浸漬し、蒸溜釜へ移送することで、1日2回の蒸溜が可能となり生産性が向上。浸漬温度・時間・攪拌を制御し、より高品質なものづくりを実現させた」と、タンクで事前に浸漬して、蒸溜釜では蒸溜のみを行えるようになったと訴える。

「また、スピリッツ・リキュール工房を公開。ものづくりの魅力を伝える見学ツアーも開始。来年春頃から一般公開を予定している」と、待合スペースや新蒸溜釜を見渡せるデッキ、セミナールームなどを通じて日本のものづくりを体感してもらえるようになると訴えた。


この後、新蒸溜釜を見渡せるデッキと360度スクリーンに没入感のある映像が映されるセミナールーム「クリエイションルーム」を見学。「クリエイションルーム」では、同 スピリッツ・ワイン開発本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長の伊藤定弘氏が、「ROKU〈六〉」のものづくりについて紹介した。

「当社では、1936年以来、挑戦し続けてきた『ジン』。日本におけるジンカテゴリの価値創造に挑み続けるべく、80年以上にわたるものづくりの歴史と消費者に支持される美味品質を貫き、多くのジンを上市してきた」と、ジンの歴史とものづくりについて語る。

「『ROKU〈六〉』は、日本の四季に育まれた6種の和素材を旬の時期に収穫し、素材の良さを活かしながら浸漬・蒸溜。日本人の繊細な感覚で完璧なバランスを追及してつくられた本格的なジャパニーズクラフトジンとなっている」と、サントリーの洋酒づくりの歴史と伝統によって生み出されたジンなのだと力説する。

「『ROKU〈六〉』には、日本の自然が育んだ、四季の6種の和素材として、春は神奈川県産の桜花と静岡産の桜葉、夏は京都産玉露と鹿児島産煎茶、秋は和歌山産山椒、冬は愛媛産柚子(2024年10月時点の主産地)を使用している」と、「ROKU〈六〉」の由来でもある6つの和素材を使っているとのこと。

「6種の和素材と8種の伝統的な素材を使用して、ジンに重要な3つの香味をバランスよく設計した」と、繊細から複層的、完璧な調和を追及した国産ジンなのだと説明する。「一般的なジンの製法は、原料を一括で浸漬・蒸溜するのに対し、『ROKU〈六〉』では、原料ごとにつくりわけ複数の原酒をブレンドしている」と、同社だからこそできるジンのつくり方なのだと訴える。「一言で例えるならば“和食”。日本、そしてサントリーの歴史・伝統・文化を背景とした素材と道具(設備)と技術で生まれる『The Japanese Craft』。それが和食と例える所以でもある」と、炊き合わせの考え方を例に「和食」と表現した理由を紹介した。

この後、ジン原酒のテイスティングが行われた。「テイスティングでは、まず濁りや色を見て、グラスを軽く回す。香りを試してみた後、そのまま少し口に含んでみる。少し加水し、グラスを軽く回す。香りを比較してみて、口に含んでみる」と、テイスティング方法の流れを説明した。


「ジン原酒はジュニパーベリーを中心に、伝統的ボタニカルをしっかりと感じられ、華やかでボディのある原料酒となっている」と解説を受けた後、原酒をテイスティングした。「『ROKU〈六〉』は、桜や柚子などの日本の四季を感じられる華やかな香りが特長となっている。爽快感と優しさをあわせ持ち、階層的でスムースなバランスに優れた味わいが特長。ジン特有のキレに加えて、玉露、桜など和素材ならではの優しい甘みをほのかに残す余韻も楽しめる」と、テイスティングノートについて説明した。

「『ROKU〈六〉』のおすすめの飲み方は、ソーダ割とカクテル。ソーダ割はすっきりと飲みやすく、6種の和素材の香りが際立つように、『ROKU〈六〉』1・ソーダ4で楽しんでほしい。カクテルは、サントリーリキュール『KANADE〈奏〉』と合わせる『ROKU〈六〉』と桜の『テイクオフ』や『ROKU〈六〉』と柚子の『ホワイトレディ』がおすすめ」と、「ROKU〈六〉」の楽しみ方について言及していた。

最後に、同 スピリッツ本部 リキュール・スピリッツ部 部長の新関祥子氏が「ROKU〈六〉」のマーケティングについて説明した。「ジンのグローバル市場では、この10年で大きく伸長。当時から約2倍のおよそ2兆円規模にまで成長している。『ROKU〈六〉』は、本格的なジンでありながら、日本を感じさせる味わいやデザインが評価され、発売から8年で世界第2位のプレミアムジンへと成長した」と、ジン市場がグローバルで拡大する中、「ROKU〈六〉」も多大な評価を受けて急速な伸長を遂げていると訴える。「ロンドンの著名なバーテンダーからも桜や柚子等日本的な香味が評価され、美味しさが認められている」と、飲食店においても高評価を得ていると語る。「在日外国人からも好評で、ジンや日本文化の人気が後押しし、トレンドとみる人も多数いる」と、海外で「ROKU〈六〉」の人気が高い理由について説明した。「国内事業についても、ここ5年で飛躍的に成長。特に国産のジンが大きく伸長している」と、居酒屋での取り扱いが増えている状況や手軽な完成品の登場で接点が拡大。クラフトジンの製造場も約140が稼働中だという。

「こうした市場環境の中、『ROKU〈六〉』の今年のマーケティング方針としては、ブランドの魅力である6種の和素材とJapanese Craft、香りを訴求。積極的なマーケティング投資でさらなるトライアルへとつなげる」と、限定品の発売や、ブランド初のTV-CMの投入、体験接点の拡大を図っていると述べる。「『ROKU〈六〉OSAKA BRILLIANCE EDITION』が、The World Gin Awards 2025 Classic Gin部門でCountry Winnerを受賞した」と、すっきな味わいが高い評価を受けているとのこと。「日本国際博覧会(大阪・関西万博)内レストラン『水空 SUIKUU(すいくう)』で、『ROKU〈六〉OSAKA BRILLIANCE EDITION』や『ROKU〈六〉』を含む大阪工場にゆかりのある製品のカクテルを提供している」と、万博会場でも「ROKU〈六〉」の魅力を伝えているとアピールする。「6月18日から来年6月30日まで、グランドプリンス高輪で、『茶室BAR ROKKAN by ROKU GIN』をオープン。『ROKU〈六〉』の魅力を体感してもらうコンセプトショップになっている」と、「ROKU〈六〉」が味わえるだけでなく、その世界観が堪能できる場も提案していると紹介する。「『ROKU〈六〉』を取り扱う飲食店の数も、当初の年間計画を上回るペースで増えている。また、関西のバーでは、アンバサダーが『ROKU〈六〉』を推奨する『ROKU〈六〉なにわアンバサダー』が『ROKU〈六〉』カクテルを提供している」、関西94店舗のバーやホテルバーで四季を感じられるカクテルが楽しめると訴えた。
「『ROKU〈六〉』の1~5月の販売実績は、マーケティング活動やインバウンドの好調によって、前年同時期比133%と大きく伸長している」と、2025年の年間計画では、前年比143%を目標としており、計画達成に向けて順調な滑り出しを見せているとのこと。「当社では、旬の素材や浸漬・蒸溜といった技術を通じて、日本の感性を閉じ込めたジャパニーズジンを、国内外に向けて大阪工場から届けていきたい」と、大阪工場から日本のジンの魅力を発信していく考えを示した。
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