- マイライフストーリー2025/05/12 22:26
ダイキン工業の夏場の熱による体調不良に関する全国調査、体に溜まった「熱」による体の不調「熱あたり」の経験者は64.6%

ダイキン工業は、全国47都道府県に住む20歳以上の男女1万4100人を対象に、夏の暑さが人々の健康的な暮らしに与える影響を探る「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」を実施した(調査主体:ダイキン工業、調査方法:アンケート調査(インターネットによる)、調査期間:3月14日~3月18日、調査対象:全国47都道府県の20歳以上の男女1万4100人(1都道府県あたり、20代・30代・40代・50代・60代以上の男女それぞれ30人ずつ、計300人を均等割付)。
人は体内で生み出した「熱」を使って体温を維持し、過剰な「熱」を体の外へ逃がしながら暮らしている。こうした体の仕組みは、健康的な暮らしにおいて大切で、「熱」を逃がしづらい暑さの中では体に溜まった「熱」にあたって、人は様々な体調不良を引き起こすことがある。これらは、広く知られている熱中症に至る前から現れ、私たちの暮らしに影響を与えている。また、近年の気温上昇を背景に、「熱」による不調を感じる人が増加傾向にあるともいわれている。

こうした中、同社は、「熱」と人体に関連する専門家の意見も踏まえ、「熱」による身体的な不調全般を「熱あたり(「熱あたり」は、体の外に「熱」を逃がし続けることで蓄積する疲労や、体に「熱」が溜まりすぎることで起こる熱中症など、体が「熱」に「あたる」ことで起こる身体的な不調全般を総称する言葉として位置付けている。同社が同調査を実施するにあたり、有識者の監修も受けながら、独自に定義したもの)」と定義し、熱中症だけではない「熱あたり」の実態について、全国調査を行った。その結果、全国の20歳以上のおおよそ3人に2人にあたる64.6%が、2024年の夏に日頃のパフォーマンスの低下や熱中症の発症など、何らかの「熱あたり」を経験した可能性があることがわかった。これは、3人に1人(環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」から)ともいわれる国民病・スギ花粉症を上回る割合で、医療機関での診断などを通じて顕在化している熱中症患者は「氷山の一角」であることを示唆している。

同調査を監修した済生会横浜市東部病院 患者支援センター長の谷口英喜先生は、「これほど多くの人が熱あたりを経験していた可能性があることには驚き」とコメントしている。今回の調査結果を通じて、一人ひとりが体に溜まる熱を「自身も意識すべき夏の問題」と捉え、より多くの人が「熱あたり」の対策に取り組むひとつのきっかけとなることを期待している。

今回、熱中症と診断されるような症状から軽い不調までを含めた「熱あたり」の症状を感じた経験がある人を調査したところ、2024年の7月から8月の間に、全国20歳以上男女のうち、おおよそ3人に2人にあたる64.6%が「熱あたり」の状態を経験した可能性があることが明らかとなった。「熱あたり」の症状を感じた人のうち、最も多くを占めたのは熱中症に該当するような自覚症状があったが病院には行かなかった人で、次いで多かったのが日頃のパフォーマンス低下につながるような軽い不調を感じている人だった。病院に行って熱中症と診断された人はごく少数で、医療機関での診断などを通じて従来から明らかにされてきた熱中症患者の規模は、「熱あたり」のうちの「氷山の一角」であることがうかがえる。こうした結果から、熱中症患者として顕在化している規模以上に多くの人が、夏場に熱による体調不良を感じたり、日頃のパフォーマンスが低下したりしている可能性があることが浮き彫りとなった。こうした症状にならないためにも、熱が体に与える影響を知り、対策に取り組むことが大切だといえそうだ。

一般的に高齢者は熱中症になりやすいといわれているが、「熱」による身体的な不調全般を「熱あたり」として捉えなおした場合でも同様なのかを調査した。その結果、世代による大きな差は見られなかった。「熱あたり」症状経験者は全世代で6割を超えており、「熱あたり」は、老いも若きも世代を超えた夏の共通課題といえそうだ。

「熱あたり」症状経験者が感じた体の不調を調査したところ、最も多かったのは「睡眠の質の低下」で(51.4%)だった。次いで「疲れがとれない」(46.0%)、「倦怠感」(30.8%)が続く結果となった。寝た気がしなかったり疲れが取れなかったりするのは軽い「熱あたり」症状で、体が熱を逃がし続けることによる自律神経の疲労などで起こるといわれている。熱中症と診断されるほどではないが、仕事や勉強、スポーツなどのパフォーマンス低下につながる。また、最初は軽い症状でも、そのままにしていると症状が進行してしまうこともある。こうした比較的軽い症状以外にも、「足がつる」、「集中力や判断力の低下」、「大量の発汗」、「頭痛」などの症状が挙げられている。これらは病院に行けば熱中症と診断される可能性のある症状とのこと。今回の調査では比較的軽い症状が上位に挙げられているが油断は禁物。できるだけ涼しい環境で過ごすなど、体に熱が溜まらないように心がけることが大切となる。

「熱あたり」の症状は、熱中症に該当するようなものから、「寝た気がしない」「疲れが取れない」「食欲がわかない」といった比較的軽いものまで様々。こうした症状は、身体的なつらさはもちろんだが、日頃のパフォーマンス低下にもつながる。今回、病院で熱中症と診断された人を除いた「熱あたり」症状経験者が、どの程度のパフォーマンス低下を感じたかを調査した。その結果、「そこそこ低下した」と感じた人が約半数(48.6%)を占め、2割弱の人は「かなり低下した」(14.2%)や「大幅に低下した」(3.8%)と感じていたことがわかった。東南アジアで最も発展した国の一つであるシンガポールの建国の父、故リー・クアンユー元首相は「この100年で最も影響力のある発明はエアコン。シンガポールの発展はエアコンなしにありえない」と語っている。暑すぎて仕事に集中できない環境の中、公務員が働くビルでいちはやくエアコンを導入し、人々の生産性を上げ、効率的な政府を作り上げたとのこと。こうした逸話も踏まえながら今回の調査結果を見ると、「熱」は、個人のパフォーマンスから社会の発展まで、幅広く影響することがうかがえる。

「熱あたり」対策には、体の熱を逃がしやすくすることが大切になる。できるだけ涼しい環境で過ごすことはもちろんだが、暑くなる前の1~2週間ほど、ウォーキングやジョギング、筋トレやストレッチ、入浴などを継続して汗をかきやすい体をつくる「暑熱順化」に取り組むことも効果的。「暑熱順化」の認知率を調べたところ、今回の調査では「意味までよく知っている」は1割以下(7.7%)で、「聞いたことがあるが詳しくは知らない」まで含めても約3割(31.1%)に留まり、あまり認知されていないことがうかがえる結果となった。夏を迎える前の準備として、涼しい環境をつくるためにエアコンが使えることを確認する「エアコンの試運転」が大切だが、自身の体も汗をかけるように準備しておくことが大切となる。

今回の調査で得られた回答をもとに、「熱あたり」症状経験者の割合を全国47都道府県ごとに算出した。最も割合が高かったのは大分県で、次に福島県と広島県が同率で続く結果となった。最も割合が低かったのは、同率で青森県、静岡県、滋賀県だった。一方、各都道府県の「熱あたり」症状経験者の割合の差に着目すると、最も高い県(71.0%)と最も低い県(60.3%)の差は10.7ptということがわかる。どの都道府県でも60%を超え、それぞれが僅差という状況。こうした結果から、「熱あたり」に大きな地域差はなく、自身も意識すべき熱の問題と捉えた方がよさそうだ。