- Health&Medical2026/02/03 17:33
矢野経済研究所、栄養剤・流動食・栄養補給食品に関する調査、栄養剤や流動食では人手不足を背景に「省力化製品」へシフトが進む

矢野経済研究所は、国内の栄養剤、流動食、栄養補給食品市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、栄養剤や流動食では人手不足を背景に「省力化製品」へシフトが進むことが明らかとなった。医療・介護現場の負担を軽減、業務効率化ニーズが加速するとみられる。
2024年度の栄養剤、流動食、栄養補給食品の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比103.0%の1596億円と推計した。2024年度の内訳を見ると、栄養剤市場は前年度比106.6%の454億円、流動食市場は同100.8%の828億8000万円、栄養補給食品市場は同104.3%の313億6000万円であった。

栄養剤市場は、在宅療養者を中心とした経口摂取(ONS:Oral Nutrition Supplements)需要に対し、少量で効率的に栄養補給が可能な高濃度製品が伸長したほか、胃瘻患者向けの半固形剤も投与時間短縮の利便性が評価され拡大した。
流動食市場では、原材料費やエネルギーコスト高騰に伴う価格改定が単価を押し上げたものの、病院や高齢者施設での予算管理厳格化によって数量の伸びは鈍化した。一方で、医療・介護現場の深刻な人手不足を背景に、詰め替え不要なバッグタイプや高濃度・少量タイプなど、業務効率化に寄与する製品へのシフトが進んだ。
栄養補給食品市場も同様に、調理や介助の手間を削減できるゼリータイプや高濃度製品が評価され、価格改定効果も相まって市場規模が拡大した。全体として、高齢者のフレイル対策や現場の省力化ニーズに対応した高付加価値製品が市場を牽引する構造となっている。
約30年ぶりに、入院時食事療養費が2年連続で引き上げられた。長らく据え置かれてきた入院時食事療養費の基準額は、食材費や水道光熱費の高騰を受けて病院給食部門の収支が悪化していることを背景に、2024年6月に1食あたり30円、2025年4月にはさらに20円引き上げられた。この制度改定は、病院や高齢者施設の経営環境に直接的な影響を与えるものである。
なお、流動食のみを提供する場合の算定額も同様に増額されたが、市販流動食を使用した場合の減額算定規定は撤廃されておらず、依然として医薬品である栄養剤と流動食とのコストバランスや使用選択に影響を及ぼしている。
栄養剤、流動食、栄養補給食品の市場全体との関係性において、この制度改定は流動食や栄養補給食品の購入予算に直結する重要な外部環境の変化である。給食コストの上昇分を補うための公定価格の引き上げは、製品の価格転嫁の受容性や、高付加価値製品(高濃度・バッグタイプ等)の採用可否を左右する要因となる。医療・介護現場ではコスト削減圧力と業務効率化ニーズが拮抗しており、この制度改定が今後の製品選択の方向性を決定づける要素となっていくと考える。
2025年度以降の栄養剤、流動食、栄養補給食品の市場規模は、栄養剤と栄養補給食品で拡大、流動食は微増推移を予測する。市場全体を牽引するのは、高齢者人口の増加に伴う在宅療養者数の拡大である。
栄養剤市場は、在宅療養者における保険適用のメリットと高濃度製品の普及によって、2029年度まで伸長する見込みである。流動食市場は、汎用品の価格競争や使用量の減少が見込まれるものの、経口摂取向けや高付加価値の製品がその減少分を補い、年率1%程度の微増推移を予測する。栄養補給食品市場は、高齢者の低栄養対策としての補食需要が底堅く、年率2~3%程度の成長が続く見通しである。
[調査要綱]
調査期間:2025年10月~12月
調査対象:栄養剤・流動食・栄養補給食品メーカー
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング調査ならびに文献調査併用
[小売価格]38万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
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