- 健康管理!教えて!!2025/10/21 20:47
潰瘍性大腸炎の新薬「オザニモド」とは? 1日1回の投与で炎症を抑え患者の負担軽減

潰瘍性大腸炎は、臓器特異的自己免疫疾患の一つで、大腸の粘膜の比較的浅い層に慢性的な炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる疾患です。炎症は直腸から始まり、連続的に腸全体に広がっていきます。詳しい原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因や食事や喫煙などの環境因子の他、腸内細菌の異常が関与していると考えられています。発症年齢のピークは20代ですが、若年層から高齢層まで発症します。
主な症状には、腹痛や下痢、粘血便などがあり、重症の場合は発熱や貧血、体重減少などがみられます。症状がひどい時は、1日10~20回以上の下痢が出たり、便は出ずに血液のみが出たりする場合もあります。また、炎症が悪化し慢性的に続くと合併症につながる可能性が高くなります。合併症には、腸管からの大量出血や中毒性巨大結腸症、狭窄、閉塞、大腸がんなどの「腸管合併症」、眼症状や口内炎などの「腸管外合併症」があります。
潰瘍性大腸炎は完治できる治療法がいまだ確立されておらず、治療は薬物療法を基本とし、目的は炎症を抑えることにあります。そのような中でも、治療法は日々進歩しており、一定の効果が期待できる新薬が次々に登場しています。
一番新しく登場した薬は、今年3月から発売された「オザニモド(ゼポジア)」です。これは、中等症から重症の患者(既存治療で効果が不十分な場合に限る)に適応される経口治療薬となっています。
現在、薬物療法の基本となっているのは「5-ASA(アミノサリチル酸)製剤」であり、これは直接腸管粘膜に作用して、活性酸素の除去や炎症物質を抑制することで炎症を抑えています。一方、新薬のオザニモドはリンパ球の受容体に作用し、リンパ球が体内循環するのを抑制します。これによって、リンパ球が病巣部へ浸潤することを防ぎ、炎症を抑えています。
オザニモドは、今までの薬剤とは異なり、新しい作用機序を持つと注目されている薬剤です。さらに、1日1回の投与で済むため、患者の負担軽減にもつながると期待されています。(監修:健康管理士一般指導員)