ライフ&ワークス、常時時短勤務+フルリモートワークでも正社員雇用を実現、ITコンサル業界で女性活躍の新たな道を切り拓く

左から:ライフ&ワークスの秋葉尊社長、ライフ&ワークス 執行役員の菅佐都美氏

近年、日本の人口は減少の一途をたどっており、少子高齢化の影響による将来の労働力不足が深刻な課題となりつつある。この課題に対して、未来を担う新たな労働力として期待されているのが「女性」「シニア」「外国人」だ。特に女性については、2016年に「女性活躍推進法」が施行されことを機に、企業における就業率も高まってきている。一方で、女性就業者の多くは非正規雇用で働いているのが実状で、出産・育児などで離職を余儀なくされるケースも少なくない。こうした中、ITコンサルティング事業を手がけるライフ&ワークスでは、常時時短勤務や週休3日でリモートワークを希望する女性を正社員として採用し、女性活躍の新しい道を切り拓いている。そこで今回、ライフ&ワークスの秋葉尊社長に、同社を設立した目的や意義、これまでの歩み、今後の展望を聞いた。

ライフ&ワークスは、世界有数のERP(統合基幹業務システム)ベンダーであるSAP社のITソリューションを使った人事専門コンサルティング会社・オデッセイを母体にして2017年に設立した。ライフ&ワークスの大きな特徴は、オデッセイと同等のコンサルティング事業を手掛けながら、時短勤務やリモートワークによる柔軟な働き方で、今まで“働きたくても働けなかった”女性を正社員として雇用している点にある。

ライフ&ワークスの秋葉尊社長

ライフ&ワークスの秋葉社長は、「当時は『働き方改革』が提唱され始めた頃で、『長時間労働の見直し』や『働きやすい環境づくり』、『女性の活躍』、『シニアや外国人の雇用促進』などが課題として挙げられた。しかし、言葉だけが先行して、実態がともなっていないと感じていた。こうした状況の中で、人事専門のITコンサルティング会社として成長してきたオデッセイが、働き方改革推進のために何か貢献できることはないかと考えたのが、ライフ&ワークスを立ち上げるきっかけになった」と、会社設立に至る経緯を語る。「もともとITの世界は、人材不足が長年の課題となっていたが、その中でもオデッセイが事業展開しているSAP業界は、需要の伸びに技術者の育成が追いつかず、人材不足が深刻化していた。そこで着目したのが、『女性の復職支援』。SAPのコンサルティング経験がありながら、時間の制約などで復職できない女性は多いのではないかと感じ、そうした人たちに正社員として働ける場を提供するべく、ライフ&ワークスが誕生した」と、働く時間にとらわれずに女性が活躍できる会社がライフ&ワークスなのだと力を込めた。

「会社設立にあたっては、時短勤務の社員とフルタイムの社員が同じ制度のもとで働くことは難しいと考えた。そのため、ライフ&ワークスは、オデッセイと同等のSAPコンサルティング業務を担いながら時短勤務やテレワークなど当時普及していなかった新しい働き方に対応した、通常の会社にはない制度を整えている。例えば、実働日数、実働時間、仕事量も社員自身が1ヵ月単位で設定できようにしたり、子どもの通院や、保育園の送り迎えなどで中抜けすることが可能なフレックス制度も導入している。さらに、完全テレワークにも対応しており、時間と場所を選ばず柔軟に働くことができるようになっている」と、一般的なコンサルティング企業とは人事制度が大きく異なっていると強調する。

「時短勤務者が、フルタイム勤務者と同じ職場で働いたときに課題になりがちな評価制度については、オデッセイで培ってきた生産性をベースにした評価システムPIMS(Project Information Management System)を採用している。以前からオデッセイでは、業務の生産性を数値化し、それを元にコンサルタントを評価するシステム(PIMS)を導入しており、実際に30%以上の生産性向上を実現している。ライフ&ワークスでも、このPIMSを活用することで、それぞれが異なる勤務時間の中でも業務の生産性を基に公平な評価を行い、JOB型人事制度に基づきその成果に見合った正社員としての報酬を支払う仕組みになっている」と、時短勤務・リモートワークでありながら、なぜ正社員として雇用できるのかという疑問に答えてくれた。

SAPコンサルティング経験者で復職を希望している女性にとっては、まさに理想的な会社ともいえるが、設立当初は思うように人材が集まらず、手探り状態での船出だったという。ライフ&ワークス 執行役員の菅佐都美氏は、「時短勤務でも正社員として働けることを打ち出して、求人サイトに募集を出したのだが、ほとんど反応がなかった。それもそのはず、当時のコンサルティング業界は、残業が当たり前のハードワークのイメージが強く、時短勤務や週休3日で正社員という条件はすぐには信じてもらえない状況だった。また、結婚・育児などでコンサルティング業務を離れた女性は、復職したくても条件の合う会社が見つからず、諦めてパートや派遣などで働いているケースも多く、求人サイトとのミスマッチが発生していた」と振り返る。

ライフ&ワークス 執行役員の菅佐都美氏

「そこで、『時短勤務、フレックス、リモートワークで正社員』といった条件を希望する人を当社に招き、会社説明会を行った。その時、当社を訪れた人の多くは半信半疑の表情をしていたが、実際に会って、当社の設立意義や働き方、評価制度などを説明すると、常時時短勤務で正社員採用という条件が本当であることを理解してもらうことができた。そして改めて、SAPコンサルティングの仕事にやりがいを感じ、子育てをしながらでも復職したいと思っている女性は確実にいるということを実感した」と続けた。その後リクルート活動をきっかけにライフ&ワークスの認知度が徐々に広がり、入社希望者も増えていったという。

設立から6年が経過した現在の状況について、菅氏は、「小さい子どもを育てているママや、受験生の子どもの塾への送り迎えをしているママ、二人目の子どもができて産休・育休を取得後に時短勤務で復職したママなど、子育て中の多くの女性が、自分が使える時間を活用してSAPコンサルタントとして活躍している。また、昨今のコロナ禍を経て、リモートワークが当たり前の環境になったことで、在宅勤務を希望する人も増えている。地方在住でオンライン勤務をする人も出てきており、現在、1名が福岡・北九州の自宅からリモートワークで東京のプロジェクトに参加している」とのこと。「さらに、ライフ&ワークスでは、時短勤務の理由を『子育て』に限定しているわけではないため、趣味の時間のために週休3日で働く人や、介護のために時短勤務で働く人など、社内メンバーの働き方も多様化してきている」と、ダイバーシティやジェンダーレスの潮流が加速する中で、働き方自体が次のフェーズに移りつつあると述べていた。

「働き方の現状を調べるべく、当社が現役コンサルタント・コンサルタント経験者・コンサルタント志望者の女性計約400名を対象に行ったアンケート調査によると、『時短勤務で働きたい』と答えた人は75%を占め、現在も時短勤務のニーズは非常に高いことがわかった。また、時短勤務で働きたい理由を聞くと、トップは『子育て』ではなく、『趣味の時間の確保』だった。2位が『子育て』、3番目は『副業』となり、働く女性の意識が変わってきたことが浮き彫りになった」と、秋葉社長が働き方に関する最新のアンケート調査について紹介。「さらに今回の調査では、時短勤務をしている女性ほど、キャリアアップへの意識が高いことが明らかになった。ライフ&ワークスでは、生産性を基にした評価制度によって、常時時短勤務のままマネージャー職へキャリアップした社員が既に存在しているように、キャリアアップについては、フルタイムや時短勤務といった勤務形態に関係なく、実力があればキャリアアップできる環境になっている」と、能力や意欲がある人にはキャリアアップの道も用意しているとアピールした。

「異なる働き方の人が同じチームでプロジェクトを進めるライフ&ワークスでは、社員同士のコミュニケーションも重要と考えている。そのため、2ヵ月に1回のスパンで、オデッセイの社員も含めて対面での社員会を開催している。社員会の日には、会社に出社してもらい、リアルな場で情報共有を行うとともに、懇親会を通じて交流を深めている」と、オデッセイグループとして社員間のコミュニケーションを活性化する取り組みも進めていると教えてくれた。

「今後は、多様化する社会環境に対応し、採用条件の枠をさらに広げていきたいと思っている。SAPのコンサルティング経験者が理想の条件だが、これにこだわらず、コンサルティング未経験の人でも、SAPエンジニアの経験があれば、活躍できる可能性は高いと考えている。また、常時時短で勤務したいと考えている女性のその他の細かいニーズにもっと応えていく。さらに、ジェンダーレスの流れの中で、主夫をしている男性にも積極的に復職のアプローチをしていきたい。そのために、ライフ&ワークスでは、性別を問わず誰もが時間にとらわれず働きがいのある環境を、これからも追求し続けていく」と、今後の展望を語った。

ライフ&ワークス=https://lw-net.co.jp/


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