Omdia、スマートフォン市場に関するメディアラウンドテーブル開催、デバイス・5G通信・半導体の市場動向について解説

OMDIA コンサルティングディレクターの杉山和弘氏

英国ロンドンに本社を構えるテクノロジー業界に特化した大手調査・アドバイザリーグループのOmdiaは、スマートフォンの市場動向と今後の展望について説明するメディアラウンドテーブルを5月22日に開催した。今回は、激化するスマートフォン市場について、最新の市場分析と共に、今後のさらなる普及が予想される高度な通信環境の現状や、スマートフォンの性能・機能を支えるために不可欠な半導体の市場動向について深堀り解説した。

Omdia Senior Research Manager, Wireless DevicesのJusy Hong氏

まず、スマートフォン(デバイス)の市場動向について、Omdia Senior Research Manager, Wireless DevicesのJusy Hong氏が韓国からリモートで説明した。グローバルにおけるスマートフォン市場はここ数年厳しい状況が続いており、2023年も前年比マイナス3%を見込んでいる。この大きな要因が中国市場で、2016年から2022年の6年間で急速に出荷台数が減少した」と、中国市場がスマートフォン市場に大きな影響を及ぼしているのだと指摘する。「スマートフォンの出荷台数が減少している理由としては、デュアルSIMカードのスマートフォンが世界的に普及したことが挙げられる。これによって、2台持ちをする必要がなくなった。また、デバイスのパフォーマンスが向上し、長期間使えるようになったことに加え、新製品を買わずに修理して使ったり、中古品を使うユーザーも増えている」と、市場が伸び悩んでいる背景を述べた。

「来年からは、グローバルのスマートフォン市場は回復に転じると予測している。その要因としては、特に新興国において人口増加やガラケーからスマートフォンへの切り替えなどによって、新たな需要が生まれるとみている」と、新興国でのスマートフォンの普及が市場拡大のカギを握っていると分析する。「折り畳みスマートフォンの市場に注目すると、メーカー別ではサムスンが8割近いシェアを占めている。しかし、折り畳みスマートフォン全体の市場シェアは非常に低いのが現状である。それは、このカテゴリにアップルが参入していない影響が大きい。そのため、2028年までの将来予測でも、引き続きニッチなポジションにとどまると考えられる」と、折り畳みスマートフォンの市場動向についても言及していた。

OMDIA リサーチアナリストのMaosen Xia氏

続いて、OMDIA リサーチアナリストのMaosen Xia氏が、5Gを中心とした通信の市場動向について中国からリモートで解説した。「5G通信の市場は、サービス開始から安定的に成長していくことが見込まれている。テクノロジーのシェアも2027年末には70%まで達すると予測されている。この要因としては、今後5Gの通信プランおよび対応端末の価格が下がることに加え、PHSや3Gの通信サービスが終了すること、5G専用アプリが増加していくことなどが挙げられる」と、5G通信の市場は順調に拡大していくとの見解を示す。「5G通信の普及は、スマートフォンのデバイス側の負荷を軽減することにもつながる。例えばクラウドゲーミングでは、5G通信の接続性を活用することで、デバイスの性能に依存せずに、ハイエンドのプレイ体験ができるようになる。また、中国の省庁では、5G通信を利用して、クラウドコンピュータ上ですべての業務を行っている」と、5G通信がもたらすデバイスへのメリットを説明した。

「一方、スマートフォンの性能が向上したことで、5G通信をサポートした新たなアプリケーションも生まれてきている。例えば、AR(拡張現実)を活用したオンラインショッピングやリモートワーク、VR(仮想現実)を活用したゲームやコンサート、MR(複合現実)を活用したバーチャルツアーや教育・トレーニング、野外ライブの高画質ストリーミングなどが実現可能になる」と、スマートフォンの進化と共に5G通信の可能性はさらに広がっていくと強調する。「日本における5G通信の料金プランは、ここ数年で急速に低下している。また、5G対応スマートフォンのデバイス価格も下がってきており、今まで以上に5G通信を手軽に楽しめるようになってきた」と、日本でも5G通信を利用しやすい環境が整いつつあると訴えた。

最後に、電子機器および半導体市場の動向について、OMDIA コンサルティングディレクターの杉山和弘氏が解説した。「電子機器市場は、今年も厳しい状況が続いているが、通信インフラや車載が需要をけん引すると共に、前年大きく落ち込んだPCやデータセンターが回復し、2023年も前年比プラス成長を維持するとみている。しかし、世界的な経済不安やインフレ、ロシアのウクライナ侵攻に加え、中国市場の回復不安から強い成長は見込んでいない」と、今年の電子機器市場はプラス成長を維持すると予測する。「半導体市場については、世界的な経済不安の影響によって、2023年はマイナス成長になるとみている。この要因としては、PC、スマートフォン、データセンター、民生市場の重要が大きく減少したことが挙げられる」と、今年の半導体市場はマイナス成長となる見込みで、全般的に在庫消化が進むと説明した。

「スマートフォンの生産予測は2022年Q4以降さらに下方修正しており、2023年Q3から回復するとの見方は変わっていない。スマートフォン向け半導体も大幅な下方修正を行い、2023年Q2まで前年比2桁の減少が続くという厳しい見方となった」と、スマートフォン市場は厳しい状況が続いていると指摘する。「実際に今年2月のスマートフォンの販売状況を見ても、ワールドワイドが前年同期比14,5%減、中国が同9.9%減、米国が同3.1%減、欧州が同22.4%減と世界的に販売が低迷している。これによって、チャネル在庫の調整も想定通りに進んでいない。在庫調整の完了にはもうしばらく時間を要すると思われ、部品発注の回復は早くとも今年Q3以降になるみている」と、スマートフォン・PC向け半導体市場も前年割れになる可能性が高いとの見通しを示した。

Omdia=https://omdia.tech.informa.com/


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