- Study&Work2025/12/03 13:25
山梨県、「日本創生に向けた人口戦略フォーラム」を関東で初開催、各分野のキーパーソンが集結し人口減少対策について議論

山梨県は、全国知事会「地方創生・日本創造本部」の幹事県として、人口が集中する都市部と流出が進む地方部が共存する、全国でも稀有な地域構造を持つ関東地方において、人口減少という日本最大の課題に正面から向き合い、地方創生の新たな道筋を探る「日本創生に向けた人口戦略フォーラム in やまなし」を11月23日に、山梨県・YCC県民文化ホールで開催した。同フォーラムは、鳥取県、宮城県に続く第3回目で、関東では初の開催となる。

「日本創生に向けた人口戦略フォーラム in やまなし」では、「若者・女性にも選ばれる地方になるために」をテーマに、関東10都県の知事などをはじめ、政府関係者、経済界、若者世代、女性リーダーなど、各分野で活躍する人々が一堂に集結。「希望の未来を叶える住まいと住環境の整備」、「女性が地方で活躍する社会を創るために」、「人材希少社会における人的資本経営」の3つのシンポジウムに、多様な立場のキーパーソンが集まり、人口減少対策について議論を交わした。また、オープニングセレモニーでは、山梨県・富士河口湖町を拠点に活動するダンスチーム「Super Squad」によるダンスパフォーマンスを披露。同チームは、世界大会で2度連続優勝の実績を持つ強豪チームで、関東初となるフォーラムの開幕を華やかに彩った。

開会の挨拶に立った山梨県知事の長崎幸太郎氏は、「現在日本が直面している人口減少問題は社会構造的な課題であり、このまま人口減少が進むと2100年には日本の人口が半分になるとの予測も出ている。その中で、今を生きる我々には、将来世代に持続的な未来を引き継ぐ責務があると考えている。山梨県で開催される今回のフォーラムでは、産・官・学・金・労・言の各界から、地域の未来を担う多くのキーパーソンが集まってもらった。若者や女性が将来に向けて希望を持てる地域社会をどのように実現していくのか、関東から全国に向けて力強く発信していきたい」と、フォーラムへの意気込みを語った。

続いて、未来を選択する会議 共同代表・議長で、日本製鉄 名誉会長の三村明夫氏が挨拶。「日本は本格的な人口減少時代に突入している。2024年の出生率は1.15と過去最低を記録し、出生数も70万人を下回り、人口減少数は約90万人に達している。このまま放置すれば、経済は縮小を続け、自治体の多くが消滅の危機に陥ることになる。また、個々人の生き方も選択の幅が極端に狭められる社会になってしまう恐れがある」と、日本の人口減少は深刻な問題なのだと訴える。「こうした未来を変えるべく、10月27日に『未来を選択する会議』が発足した。同会議では、人口減少を緩和させると共に、多様性と成長力を兼ね備えた持続可能で活力のある社会を構築することを目指している。人口減少問題は、今を生きる現世代の行動で必ず改善できると信じ、多くの人々と危機意識を共有することで解決につながると考えている」と、人口減少を食い止め、ひとり一人が豊かに安心して暮らせる社会づくりに向けて取り組んでいると強調した。

そして、「希望の未来を叶える住まいと住環境の整備」をテーマに最初のシンポジウムが行われた。このテーマのシンポジウムは今回が初めてとなり、未来を選択する会議 共同代表/野村総合研究所 顧問の増田寛也氏がコーディネーターを務め、パネリストには、関東地方知事会の知事および副知事が集結した。参加したのは、山梨県知事の長崎氏、神奈川県副知事の首藤健治氏、群馬県副知事の津久井治男氏、東京都副知事の松本明子氏、栃木県知事の福田富一氏、長野県知事の阿部守一氏、千葉県知事の熊谷俊人氏、茨城県副知事の岩下泰善氏、埼玉県副知事の堀光敦史氏、静岡県副知事の平木省氏の10名。シンポジウムでは、各県における子育て支援や住環境整備の取り組みなどを紹介すると共に、東京都を含む都市部と山梨県など地方部の連携・協力によって、人口減少の課題を乗り越えていく未来に向けて議論を交わした。

2つ目のシンポジウム「女性が地方で活躍する社会を創るために」では、ヒトスパイス 代表取締役の野本知里氏がコーディネーターを務め、パネリストとして、山梨専門インフルエンサーのMomoka氏、山梨県障害者文化展で2年連続最優秀知事賞を受賞した画家の田中千晶氏、YSK e-com 第一ソリューション部 課長の勝美希氏、ササキ 代表取締役の佐々木啓二氏が参加。地方でも自由に自分らしい人生を歩んでいるMomoka氏、令和4年度「女性のチャレンジ表彰」を受賞するなど多方面で活躍している田中氏、女性(母)としての立場と企業管理職としての立場を両立して充実した生活を送る勝氏、女性活躍や子育て支援に積極的に取り組む佐々木氏が、それぞれの立場から、地方の女性が希望を持って人生を謳歌するためのヒントを伝えた。

最後のシンポジウム「人材希少社会における人的資本経営」では、人口戦略分野の第一人者である内閣官房全世代型社会保障構築本部 総括事務局長の山崎史郎氏がコーディネーターを務め、パネリストとして、旭陽電気の金山雄一郎氏、山梨経済同友会 代表幹事/はくばく 代表取締役社長の長澤重俊氏、山梨中央銀行 代表取締役頭取の古屋賀章氏、日本労働組合総連合会 山梨県連合会 会長の杉原孝一氏、インディードリクルートパートナーズ 上席主任研究員の宇佐川邦子氏が参加。過去2回のフォーラムでは「働き方改革」に焦点を当てていたが、今回は「働く人」にフォーカスし、人的資本経営の専門家、先駆的な取り組みを進める企業経営者、企業をバックアップする経済団体・金融機関、そして、労働組合の代表者が一堂に会して、地方においても「人が足りない時代」を戦略的に生き抜く方策について議論を行った。

すべてのシンポジウムが終了すると、フォーラム参加者・関係者がステージ上に集まり、人口減少問題の克服および日本創生に向けた「やまなし宣言」を行った。山梨県知事の長崎氏は、「人口減少対策は国全体で取り組むべき喫緊の課題となっている。我々は、ここ関東ブロックから日本を変えることを誓い、日本創生に向けた人口減少問題を克服するための国民的運動をさらに進めていくことを宣言する。人口減少の深刻な影響について理解を深め、誰もが安心して子どもを産み育てることができる地域、そして多様性と成長力を備えた持続可能な地域に向けて積極的に行動していく。また、人口減少問題解決のカギを握る若者や女性の声に耳を傾け、産・官・学・金・労・言の各界が一体となって、誰もが希望を持って挑戦できる環境づくりに取り組み、若者や女性に選ばれる魅力ある地域社会の構築に向けて行動を起こしていく。さらに、人口減少問題に目を背けることなく、ひとり一人が自分事としてとらえ、日本創生の実現に向けて行動していく」と、高らかに宣言し、フォーラムを締めくくった。
「日本創生に向けた人口戦略フォーラム」の今後の展開について、未来を選択する会議 共同代表の増田氏は、「今回は、10月に『未来を選択する会議』が発足後、地方と連携した初めてのフォーラムとなったが、子育て支援や女性活躍、住環境整備など人が豊かな生活を営むための様々な要素についてシンポジウムで議論された。そして、そこに国や自治体がどれだけの選択肢を提供できるかが、若者や女性に選ばれる地方になるために重要だと感じた。今後は、12月に長崎県、来年1月には高知県でフォーラムを開催する予定となっている。人口減少の克服に向けて、これからも全国の各地域で積極的に議論を重ね、国の政策などに反映させていきたい」と意欲を見せていた。
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