神戸市、全国最大規模の予算で推進する「空き家対策」と全国初のOECM登録を目指した「里山保全」の取り組みを発表

「空き家対策」について発表する神戸市 建築住宅局建築指導部の東和恵部長(空家空地指導担当)

神戸市は、「社会課題解決に向けた神戸市の挑戦」と題したメディアラウンドテーブルを8月2日に開催した。今回のラウンドテーブルでは、神戸市が今最も力を入れて取り組んでいる「空き家対策」および「全国初のOECM登録を目指した里山保全」の2点にフォーカスを当て、最先端の施策や今後の展開などを紹介した。

まず、神戸市 建築住宅局建築指導部の東和恵部長(空家空地指導担当)が、神戸市ならではの「空き家対策」の活動内容について説明した。「総務省の『住宅・土地統計調査』によると、日本における居住目的のない空き家数は、1998年(182万戸)から2018年(349万戸)の20年間で1.9倍に拡大しており、2030年にはさらに増加し470万戸になると予測されている。その中でも神戸市は、戦後の山麓部開発や、その後のニュータウン開発などで人口増加に対応してきた歴史があり、今後、空き家数が急増することが懸念されている」と、神戸市が空き家対策に注力している背景を語る。「2018年時点で、神戸市の空き家率は13.3%、居住目的のない空き家数は3万5000戸となっている。このうち問題となるのが、老朽・破損のある戸建て・長屋の空き家5000戸である。これに対して神戸市では、『使える空き家』と『使えない空き家』の2つの戦略を展開しており、2023年度の予算総額は全国最大規模となる6億7200万円を計上している」と、市を挙げて空き家対策に取り組んでいるのだと訴えた。

神戸市 建築住宅局建築指導部の東和恵部長(空家空地指導担当)

「『使える空き家』に向けた戦略としては、『空き家おこし協力隊』が所有者を訪問して課題の解決から活用までをサポートする。また、建築家と協働の空き家活用支援として、建築家の設計によって空き家を魅力的に再生し、活用事例を発信している」とのこと。「一方、『使えない空き家』については、解体と跡地の利用を促進するため、法や条例による指導および技術的援助を行う他、神戸市独自の老朽空家等解体補助制度も用意している。さらに、すべての空き家に対して、神戸市が常設する『すまいるネット』の空き家等活用相談窓口や地域利用バンクを通じて、所有者の意向に沿った情報提供を支援している」と、具体的な取り組み内容を説明した。

「また、神戸市では、国の対策に比べて早期の積極的アプローチを行い、予備軍の段階で所有者への適切管理を依頼することで、周囲に悪影響を及ぼす特定空家等を未然に防いでいる。2021年度は、早期解決への指導を101件、指導に先立つ改善依頼を449件行っており、こうした取り組みによって、2016年から2022年度で約7割の特定空家等が改善に至っている」と、空き家対策の成果を発表。「早期解体を促進する老朽空家等解体補助制度の実績としては、2019年度の制度開始から4年間で2400戸以上の空き家を解体しており、今年度は過去最高の1000戸を予定している。解体された空き家の跡地は、すでに約7割が活用され、街の佇まいも変化してきている。例えば、個人が相続した空き家の共同住宅は解体後、保育事業所兼保育送迎ステーションとして活用されている」と、空き家の解体および跡地の活用も進んでいるとアピールした。

神戸市 環境局自然環境課の岡田篤課長

次に、神戸市 環境局自然環境課の岡田篤課長が、「全国初のOECM登録を目指した里山保全」の取り組みを紹介した。「生物多様性保全の観点から、2030年までに各国の陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する世界目標『30by30目標』が、昨年開催されたCOP15で採択された。この目標達成に向けた取り組みとして、農業や企業活動によって生物多様性が保全されている場所をOECM(Other effective area-based conservation measures)として登録し、保全を推進していく動きがある」と、OECMについて解説。「神戸市は、市街地から約30分に位置する北区山田町に広大な里山エリアが広がっている。この神戸市が誇る財産である里山を、全国初のOECM登録を目指して取り組みを開始した。OECM登録には、まず環境省の自然共生サイトの認定を得る必要がある。そして、OECM登録が実現すると、生物多様性が保全されている場所として、神戸市の里山が国連のデータベースに登録されることとなる」と、OECM登録を目指す意義を述べた。

「北区山田町の里山は、今年1月に生物多様性の保全が図られている区域として環境省からOECMの候補地である自然共生サイトの『認定相当』と判定された。5月には正式認定に向けた申請を行っている。約183ha(東京ドーム約40個分)の広大な里山には、ベニイトトンボやセトウチサンショウウオ、モリアオガエル、ミカワタヌキグモ、キキョウ、オカグルマなど希少種の動植物も確認されている」と、OECMの有力な候補地なのだと力説する。「OECM登録を目指した里山保全の取り組みとしては、無農薬の稲作・畑作や希少種の保全活動、環境DNA調査など、市民団体や学生、大学などが参加した先駆的な活動を展開し、成功事例を発信してきた。また、今年1月には『KOBE里山SDGs戦略』を策定し、市民・企業・学校・NPO・行政まで、あらゆる主体の参画によって、神戸の財産である里山を守り育てていく方針を掲げた。この戦略に基づき今後、全国初のOECM登録を目指すと共に、里山の保全活動をさらに拡大していく」と、神戸市の里山と豊かな生態系を永続的に保全していく考えを示した。

神戸市=https://www.city.kobe.lg.jp/


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