- Leisure&Travel2025/12/16 18:16
矢野経済研究所、アウトドア用品・施設・レンタル市場に関する調査、2025年度は前年度比9.2%増と5059億5000万円に拡大

矢野経済研究所は、国内のアウトドア用品・施設・レンタル市場を調査し、市場分野別の動向、参入企業動向を明らかにした。その結果、2024年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は前年度比5.2%増の4634億2000万円と推計、2025年度は同9.2%増と更に拡大する見通しであることがわかった。キャンプブームは沈静化も、アウトドアアパレルの拡大が市場をけん引していくとみられる。
2024年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場規模は前年度比5.2%増の4634億2000万円と推計した。2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、旅行や観光などのレジャーへの消費支出が戻り、キャンプブームは沈静化、新規参入者層(エントリー層)や一回限りのキャンプ体験層が減少した。
内訳をみると、キャンプ関連用品の販売停滞もあり、アウトドア用具(登山・クライミング用品、テント・タープ類、シュラフ、照明器具、調理器具・食器類、コンロ・燃料類、テーブル・チェア類、クーラー・ジャグ類、その他用品)市場は減少した。一方、アウトドアアパレル(アウトドアウエア、シューズ、ザック・バッグ類)市場は拡大を続け、2024年度のアウトドア用品(アパレル・用具)市場は拡大に転じた。とくにアウトドアウエアは機能性に加えデザインや着回しの良さが日常着として定着し、消費が広がっている。インバウンド(訪日外国人客)需要回復と円安も追い風となり、日本ブランドの高機能製品への需要拡大が顕著になっている。
2025年度のアウトドア用品・施設・レンタル市場規模は前年度比9.2%増の5059億5000万円を見込む。内訳をみると、キャンプ関連用品販売は2025年度には底打ちして、アウトドア用具市場も回復を見込む。アウトドアサービス(施設・レンタル)市場も拡大に転じる見込みである。アウトドアアパレル市場が引き続き市場全体をけん引することで、アウトドア用品・施設・レンタル市場はさらなる成長を続ける見通しである。
アウトドア用品・施設・レンタル市場は今後も着実に拡大する見込みである。特にライフスタイル分野が成長の中心に位置づけられており、アウトドアアパレル(アウトドアウエア、シューズ、ザック・バッグ類)が日常着として定着していることが、アウトドア用品・施設・レンタル市場拡大の主因である。アウトドアウエアは防風・撥水・軽量といった高機能性に加え洗練されたデザインが評価され、幅広い年代と用途で消費者の支持を集めている。加えて、円安による訪日外国人客による購買が追い風となり、インバウンド需要がアウトドアアパレル市場を後押ししている。
キャンプブームの沈静化でアウトドア用具市場は需要が落ち着く一方で、アウトドアレンタル市場では、自治体との連携による滞在型観光との融合が新たな需要を生む可能性がある。登山は富士山入山規制や登山者高齢化の課題を抱えるが、地方山岳が再評価されて登山ツーリズム(観光客)が平日利用や通年営業により分散化しており、さまざまな地域の活性化に寄与する見込みである。総じて、需要構造の変化に対応した商品・サービス設計が適切に行われることが、今後のアウトドア用品・施設・レンタル市場の成長を左右すると考える。
アウトドア用品・施設・レンタル市場は今後も着実に拡大していく見通しである。市場は2024年度から2030年度までの年平均成長率(CAGR)が4.9%で推移し、2030年度のアウトドア用品・施設・レンタル市場は6189億3000万円に達すると予測する。今後もアウトドア業界は多様なニーズに応えながら成長を続けると考える。
[調査要綱]
調査期間:5月~7月
調査対象:アウトドア用品メーカー、卸売業、小売業、アウトドア関連施設、サービス企業・団体、その他業界団体等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
















