矢野経済研究所、国内の住宅設備機器市場に関する調査、主要住宅設備機器の市場規模は2030年度に2兆2010億円を予測

矢野経済研究所は、国内の住宅設備機器市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。その結果、主要住宅設備機器の市場規模は2030年度に2兆2010億円に達すると予測した。住宅用太陽光発電システムなど、創エネ関連設備機器が市場拡大を牽引するとみられる。

2024年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器、水まわり関連設備機器、創エネ関連設備機器の3分野計)の市場規模は、前年度比2.8%増の2兆433億円と推計した。内訳は、水まわり設備機器が同2.9%増の1兆827億円、水まわり関連設備機器が同7.2%増の5809億円、創エネ関連設備機器が同3.3%減の3797億円である。

水まわり設備機器は資材価格の高騰に伴う価格改定によって微増した。水まわり関連設備機器では、政府による給湯省エネ事業(「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」)などの実施が好材料となり、なかでも家庭用給湯器市場が拡大した。創エネ関連設備機器では、「DR(デマンドレスポンス(DR)とは、蓄電システムや電気ヒートポンプ給湯機などのエネルギーリソースを制御し、電力の需要・供給パターンを変化させることである。蓄電システムの場合、昼間に太陽光で発電された電力を蓄電し、夜間の電力使用時に放電する、といった活用例が想定される)対応蓄電池補助金」の実施を受け家庭用蓄電システム市場が拡大した一方、住宅用太陽光発電システム(PV)市場はパネル単価の下落によって縮小した。家庭用燃料電池も価格の高止まりによって出荷が低迷し、創エネ関連設備機器全体の市場規模を押し下げた。

2025年5月、経済産業省は年間のエネルギー収支をゼロ以下とすることを目指したZEH(Net Zero Energy House)の定義を見直し、2027年度以降は「GX ZEHシリーズ」へ移行する方針を示した。GX ZEHシリーズでは、一次エネルギー消費量を基準比で35%以上(現行は20%以上)削減することを求めるなど、基準が強化される。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス︓Net Zero Energy House)とは、断熱性能の向上等によって大幅な省エネルギーを実現させた上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などによって、年間のエネルギー収支をゼロ以下にすることで、カーボンニュートラルの実現に寄与する住宅を指す。

GX ZEHシリーズのうち、戸建住宅の「Nearly GX ZEH」(再生可能エネルギーによるエネルギーの創出分を含め、一次エネルギー消費量を基準比で75%以上削減)、「G X ZEH」(同100%以上削減)、「GX ZEH+」(同115%以上削減)では、住宅用太陽光発電システム(PV)に加えてエネルギーマネジメントシステムと蓄電システム(初期実効容量5kWh以上)の導入が必須となる。PVでつくられた電力に余剰が生じた場合は蓄電システムに蓄え、PVの発電が停止する夜間の電力として活用するといった自家消費を拡大することで、余剰電力を送配電事業者が固定価格で買い取るFIT制度への依存を減らしたい狙いがある。

2030年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器、水まわり関連設備機器、創エネ関連設備機器の3分野計)の市場規模は、2024年度比7.7%増の2兆2010億円を予測する。

国内における人口減少(データ出所︓総務省「令和2年国勢調査」)に伴う新築住宅需要の縮小を受け、水まわり設備機器、水まわり関連設備機器の市場規模は横ばい前後で推移する。一方、創エネ関連設備機器は、住宅トップランナー制度におけるPV設置率目標の設定や、「GX ZEHシリーズ」の一部における蓄電システムの設備要件化が好材料となり、さらなる市場成長が期待される。

住宅トップランナー制度とは、一定以上の戸数を年間に供給する住宅メーカーに対し、基準に比べて省エネ性能の高い住宅を平均して提供することを義務付ける制度。目標年度までに、供給する住宅全体の平均で、省エネ基準を上回る性能を達成する必要がある。

[調査要綱]
調査期間︓5月~7月
調査対象︓住宅設備機器メーカー、関連団体等
調査方法︓同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメール等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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