Gaudi Clinical、再生医療を高品質・適正価格で提供するプラットフォーム構築へ、地域分散型再生医療流通網の整備を推進

Gaudi Clinical 代表取締役副社長COOの柴田寛之氏

再生医療に関わる細胞加工受託事業を展開しているGaudi Clinicalは、メディア向けのラウンドテーブルを8月28日に開催した。ラウンドテーブルでは、同社の事業概要および再生医療提供プラットフォーム構築に向けた取り組み状況や今後の展開について説明した他、日立グローバルライフソリューションズが設置し同社が管理・運営している細胞培養加工施設「再生医療イノベーションセンタ」の内覧ツアーを実施し、施設内部を公開した。

「当社は、“再生細胞医療のラストワンマイルをつなぐ”をミッションに掲げ、再生・細胞医療の包括支援サービスを医療機関に提供している。2021年の設立から、現在までにシリーズAラウンドを含め累計総額18.1億円の資金調達を行っており、再生医療の提供プラットフォーム構築に向けて事業を推進している」と、Gaudi Clinical 代表取締役副社長COOの柴田寛之氏が会社概要を紹介。「日本には、再生医療を推進する法制度として、保険診療を対象とした『医薬品医療機器等法』(以下、薬機法)と、保険外診療・臨床研究を対象とした『再生医療等安全性確保法』(以下、安確法)の2つが存在する。このうち当社は、『安確法』にフォーカスし、大学・研究機関で安全性・妥当性が評価された再生医療等技術を医療機関や患者に届けるため、細胞製造の受託から搬送、治療のフォローアップまで、医療機関が実施する再生医療関連業務を包括的にサポートするサービスを提供している」と、「安確法」に基づき医療機関で再生医療を提供するために必要となる業務を包括的に支援していると強調した。

細胞培養加工施設「再生医療イノベーションセンタ」の調整室

「再生医療を広く一般に普及させるためには、エビデンスがありQOL向上に資する再生医療を高品質かつ適正価格で、全国に提供できるプラットフォームを構築する必要がある。そこで当社では、細胞培養加工施設とキオスク型細胞調製室による地域再生医療コミュニティを全国各地に展開し、地域分散型の再生医療流通網を整備することを目指している」とのこと。「具体的には、細胞培養加工施設とキオスク型細胞調製室を各地域に設置し、組織採取・製造・輸送・調整・移植・データ取集までを完結できるコミュニティを構築。このコミュニティと医療機関をつなぐ流通情報ネットワークを地域ごとに整備することで、大量製造および近距離輸送での大幅な細胞製造費の低減を図る。さらに、今後は、大学研究機関などの様々な再生医療技術も実装していく」と、同社の構想する再生医療提供プラットフォームの全体像を説明した。

「まずは、原料採取がしやすく、多くの患者がおり、適応も幅広いPRP(多血小板血漿)とASC(脂肪由来幹細胞)を使用した歯科および整形外科における再生医療にフォーカスを当て、その中でも整形外科領域の変形性膝関節症治療から事業に着手している。変形性膝関節症の再生医療では、必要な原料(皮下脂肪)が0.5gほどでよく、低侵襲かつクリニックで実施することができる」と、現在は変形性膝関節症治療において再生医療提供プラットフォームの構築を進めているという。「地域分散型の再生医療流通網の実現に向けて、重要な役割を担うのがキオスク型細胞調製室となる。当社が独自開発したキオスク型細胞調製室は、建物工事不要で、数時間でクリーンブースを組み立てることができ、細胞加工に必要な機能をすべて備えている。このキオスク型細胞調製室を医療機関の近傍に設置し、再生医療のサポートステーションとして活用する」と、再生医療流通網の要衝となるのがキオスク型細胞調製室なのだと訴える。

Gaudi Clinical 代表取締役副社長COOの柴田寛之氏

「また、再生医療コーディネータ(看護師・歯科衛生士等医療資格保有者)という新職種を定義・育成し、キオスク型細胞調製室に配置する。再生医療コーディネータは、原料の回収や用事調製・品質試験、細胞の搬送、行政手続きなど医療機関を包括支援する」と、新たな職種である再生医療コーディネータの役割について紹介。「特に、細胞の搬送では、細胞を融解、調製、洗浄、解凍後の生細胞数をカウントした上で『Ready to Use』の状態で医療機関に届ける。これによって、医師はシリンジに吸って投与するだけで治療を行うことができる」と、再生医療コーディネータが窓口となり、医師の負担を最小化すると述べていた。

「さらに、再生医療診療業務支援システム『NEWTON』を開発した。同システムでは、安確法下で行われる再生医療の『治療データ』、『細胞データ』、『患者主観評価のデータ』を独自に収集・解析し、膨大なリアルワールドデータに裏付けされた堅牢なエビデンスを構築していく」と、再生医療におけるエビデンス不足の課題解決に向けた取り組みにも言及した。今後の展望について柴田氏は、「まずは安確法下の自費診療から事業をスタートしたが、データを蓄積しながら先進医療や治験を経て、将来的には再生医療技術や再生医療等製品としての保険適用を目指す」と、保険診療を最終ゴールとして事業を推進していく考えを示した。

「再生医療イノベーションセンタ」の商談室

この後、同社が管理・運営している細胞培養加工施設「再生医療イノベーションセンタ」の内覧ツアーが行われた。「再生医療イノベーションセンタ」は、日立グローバルライフソリューションズが東京・日本橋OVOLビルに設置した施設で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の許可を取得し稼働している。

「再生医療イノベーションセンタ」の準備・物品保管室

同センタには、商談室、空調機械室、出荷室、準備・物品保管室、保存・検査室、調整室などがあり、各部屋の清浄度に応じてクリーンルームのグレードが設定されている。最もグレードが高い「再生医療用キャビネット」は、細胞を扱う際に、作業室内の清浄度を確保するとともに作業者の安全性と試料保護を保証する装置となっている。作業スペースが大きく、かつ層流構造で構成され、将来の自動化への対応として連結口が設けられている。

再生医療用キャビネット

なお、Gaudi Clinicalでは、新日本橋オフィス至近に、同社株主であるKISCOの新社屋7Fを利用した世界最小の細胞培養加工施設「新日本橋KiOSK」を設置し、11月には稼働する計画。同施設は、ショールームとしての体験設計も行っており、訪問者視点で自然と理解が進み、アクセントのLEDサイネージによって安全性と先進性を同時に伝える機能を持つ動線設計としている。

Gaudi Clinical=https://gaudi-clinical.co.jp/


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