カーディナルヘルス、袋井工場で開発・製造した医療用カテーテルの輸出を加速、カナダと日本にフォーカスした戦略転換も

左から:カーディナルヘルスのベンジャミン・ブリンカー国際医療製品・流通プレジデント、カーディナルヘルス 日本法人の野田良社長

中心静脈用カテーテル、経腸栄養用カテーテル、深部静脈血栓症予防用ポンプなどの医療機器の輸入・製造・販売を手がけるカーディナルヘルスが、静岡県袋井市のR&Dセンター・袋井工場で開発・製造した医療用カテーテルの輸出を加速させている。

昨年11月1日から韓国の医療機関向けに新生児用末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテルの販売をスタート。これまでカーディナルヘルスのR&Dセンター・袋井工場で開発・製造されたカテーテルの販売は、日本国内に限定されてきたなか、同社海外拠点からの強い要望で、日本のカーディナルヘルスとして初めてとなる、カテーテル輸出が実現した。韓国での販売開始を皮切りに、アジア太平洋地域へと販路を拡大させていくという。

左から:カーディナルヘルスのベンジャミン・ブリンカー国際医療製品・流通プレジデント、カーディナルヘルス 日本法人の野田良社長

世界的な半導体不足、ロシア侵攻による世界情勢の不安、カーディナルヘルスの本社があるアメリカの分裂など、世界が混沌とする現在、カーディナルヘルスはどう事業を進めていくのか。日本法人の野田良社長と、ベンジャミン・ブリンカー国際医療製品・流通プレジデント(以下、ブリンカー氏)に聞いた。

ブリンカー氏はまず、カーディナルヘルス全体の2022年度の業績が好調であるという。その理由について、「それは新型コロナウイルス感染症の拡大で落ち込んでいた前年と比較しての増ともいえる。ただそこで競合他社を超えるシェアを獲得できた。半導体不足や樹脂不足などのコストインフレによる製造コスト増に加え、人件費・輸送費なども上がり、メディカルセグメントは全体としてコスト増になっている。こうしたコスト増に対し、営業費節約などのコスト削減を徹底し、コスト増を販売価格に反映させ値上げした。さらに、コスト削減や値上げだけではなく、強靭な利益が出せるよう、事業モデルを大きく転換させたことが功を奏した」と語る。

では、その事業転換とは具体的に何か。ブリンカー氏は、直近での事業改革について、「選択と集中」を繰り返し口にし、こう続けた。「当社はここ数年、大きな戦略転換も行い、我々がフォーカスする製品・国に集中させている。このため、いくつかの国は撤退した。撤退した国は40ヵ国にのぼり、たとえばロシア、ウクライナ、アジアの諸外国をはじめ、売上規模が小さいラテンアメリカ圏やアジア圏の小さな国も撤退した。そこで直接的にフォーカスした国は、カナダと日本。この両国は、市場が大きく、我々のビジネスモデルと親和性がある。間接的には中国やフランス、インドで、間接市場では、主に代理店とのパートナー契約でチャンネルパートナーを増やしてきた。また、地域別に組織化するメリットもある。物流などはそのメリットを活かしている。製造も地域別組織で行っている。こうして地域別に組織化すると、その地域の営業担当は、地域特有の患者の状態や、病院や医療従事者の製品の選択基準に従っていくことで、さらなるシナジーを生み出せた」と説明した。

左から:カーディナルヘルスのベンジャミン・ブリンカー国際医療製品・流通プレジデント、カーディナルヘルス 日本法人の野田良社長

またブリンカー氏は、カーディナルヘルスが手がける医薬品と医療機器は、違うベクトルで事業を走らせているという。「当社の医薬品事業は、グローバル展開は考えていない。アメリカの製薬市場は拡大しているが、カーディナルの根幹ビジネスはジェネリック薬剤の流通が中心で、そこは成熟した市場になっている。一方、医療機器はグローバル展開する。製品だけではなく、アメリカを中心としてサービスを海外展開していく。戦略的には、成長軸になっている医療機器事業を拡大させる方向でいる。医療機器事業は、5部門に分かれている。ひとつは、アメリカの医療機器製造販売流通業、次にわたしがリードする国際部門、残りの3つは、病院内部の経営改革支援サービスと輸送・流通サービス、さらに在宅医療に医療機器を提供するサービス。それぞれ共通の成長戦略がある。今後3年間で大きな成長を期待している」と述べる。

最後にブリンカー氏は、このあと出てくる静岡発の新製品についてや、IT投資やM&Aにも意欲を示した。「今後は、生産コストの上昇によって起こるインフレや、物流コスト増といった課題を克服しないと、企業の成長はない。また、冷静にポートフォリオを見直しながら、さらなる選択と集中、効率化を図っていく。ここはこれからも変わらない。R&D部門では、いくつかの製品群から撤退するプロダクトもあるだろう。一方で、ここ数年で出てくる製品のなかで、エキサイティングなものもある。栄養管理の新しいポンプを出す予定で、新技術と革新性があるプロダクトになっている」と語る。

「また、当社は製品だけでなく、ITへの投資も計画している。アメリカ以外への取り組みとしてM&Aも視野に入れている。当社は、事業運営のなかでIT投資に大きなボリュームを割いている。こうしたIT投資やM&Aも積極的に取り組みながら、7つの製品を日本国内で出していく予定だ。そのうち6つの商品は袋井で開発する新製品となる。来年度以降に出てくる革新性のある製品に期待してほしい」と今後の展開について説明した。

カーディナルヘルス=https://www.cardinalhealth.jp/ja_jp.html


ヘッドライン

HeadLineNews
【新着】今日のマイライフニュース

連載中コラム

健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!
マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー
健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!

マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー

カテゴリ