富士経済、セルフヘルスケア関連の国内市場調査、2030年は疲労回復関連が2024年比10.0%増の1兆4200億円と予測

疲労回復関連のセルフヘルスケア市場

総合マーケティングビジネスの富士経済は、医療費削減の解決策として注目されることに加え、市場ポテンシャルの高さから多種多様な業界から参入が相次いでいるセルフヘルスケア関連の国内市場を調査した。その結果を「セルフヘルスケア市場の最新トレンドデータ 2025」にまとめた。トピックスとして、2030年市場予測(2024年比)では、リカバリーウェアが好調。2025年に参入が相次ぎ、各社が差別化に注力。今後更なる成長が期待できる疲労回復関連が1兆4200億円(10.0%増)に達する見通しであることがわかった。また、健康・機能食品は食習慣が定着している層も多く、お試しでの利用のしやすさもあり、堅調で、腸内環境検査サービスは健康経営を進める企業や自治体による利用が増加している腸内環境改善関連が4181億円(6.4%増)に達するものとみられる。

この調査では、20のコンセプトを対象にセルフヘルスケアを目的とした一般用医薬品・医薬部外品、健康・機能食品、化粧品、生活用品、機器・その他用品、サービスの市場を分析した。また、新たに予防、回復・修復、インナーケア、ボディメイク、ココロケア、検査・測定など、使用目的別に市場を把握した。

疲労回復関連のセルフヘルスケアは、疲労回復を訴求した食品やドリンク類、サプリメントなどの健康・機能食品、一般用医薬品・医薬部外品、温熱シート・パッドなどの生活用品、マッサージ関連製品を中心とした機器・その他用品、マッサージや温浴施設などのサービスを対象とする。

マッサージや温浴施設といったサービスが5割以上を占めており、性別、年齢を問わず手軽に利用できる疲労対策として定着している。マッサージでは新型コロナウイルス流行の落ち着きによって来店意欲が高まり、温浴施設では“ととのう”ブームで増加したサウナ利用者を取り込む施設が増えたことで、プラス成長が続いている。健康・機能食品はサプリメントが低調なものの、エナジードリンクがゲーム中や動画鑑賞中など飲用シーンの広がりがみられ、堅調である。

近年伸長しているのが機器・その他用品である。リカバリーウェアが“着るだけで疲労を回復できる”という手軽さと一般医療機器という信頼感もあり、好調である。芸能人を起用したCMの大量投下に加え、マスコミでも数多く取り上げられたことからブームに火が付き、アスリートのみならず一般ユーザーまで年齢を問わず需要が増えている。参入が相次ぎ各社差別化に注力していることから、今後さらなる成長が期待される。

腸内環境改善関連のセルフヘルスケアは、整腸効果を持つ胃腸・消化器官用薬や漢方処方エキス製剤といった一般用医薬品・医薬部外品、腸内細菌叢を整える食品やドリンク類、サプリメントなどの健康・機能食品、腸内環境検査サービス(検査結果に基づいたサプリメントなどの提供も含む)を対象とする。

健康・機能食品が市場の8割近くを占める。ヨーグルト、ヨーグルトドリンクなどは食習慣が定着している層も多く、かつ、お試しでの利用が多いことから、堅調な需要がある。またサプリメントでは酪酸菌などによる便通改善ニーズの開拓や、徐々に注目度が高まってきているタンサ脂肪酸など新商品の展開が市場の活性化に繋がっており、市場の成長を支えていくとみられる。

一般用医薬品・医薬部外品は新型コロナ流行の落ち着きによって外食や飲み会などが増加し、使用機会が増えていることや、外国人観光客が戻ってきたことによってインバウンド需要も獲得している。

腸内環境検査サービスは、パイオニア企業のサービス開始から10年が経過し、サービスとして定着しつつある。また、個人利用のほかにも健康経営を目指す企業や自治体による利用が増えている。加えて、明治が検査サービスとその結果に基づいたパーソナルドリンクの提供を開始するなど大手食品メーカーの参入により更なる市場活性化が期待される。

睡眠サポート関連のセルフヘルスケアは、睡眠サポートを訴求した食品やドリンク類、サプリメントなどの健康・機能食品、睡眠鎮静剤、温熱シートやアイマスクなどの生活用品、マットレスや枕といった寝具などの機器・その他用品、スマートフォンなどのアプリを用いた睡眠改善支援サービスを対象とする。健康・機能食品や機器・その他用品のウェイトが高い。

市場の5割以上を占める健康・機能食品は、睡眠の質の重要性が認知されたことや「Yakult1000」(ヤクルト本社)をはじめとするドリンク類が、医薬品と比べた利用のしやすさにより今後も拡大を続け、2030年には1000億円を突破すると予測される。一方で、カテゴリー内での競合が激化しており、各社は独自性、簡便性、習慣化のしやすさなど生活者のニーズに刺さる差別化が必要となる。

機器・その他用品ではエアウィーヴなど科学的な製品機能の裏付けをもつ機能性寝具が人気となっている。また、サービスは発展途上の段階にあるが、センサーやアプリなどのITやAIを活用し、睡眠状態を分析するスリープテックは技術進化によって、今後さらに市場参入が活発化するとみられる。利用者の増加やスリープテックの浸透によって市場は拡大が予想される。

セルフヘルスケア関連の国内市場は、セルフヘルスケアの領域は広範囲にわたり、健康・機能食品や一般用医薬品、化粧品やケアをサポートする生活用品、機器といった製品からサービスまで、これらを合計した国内市場は、2024年で7兆6840億円となった。

使用目的別には、生活者がなりたい身体になることが目的であるボディメイクが市場の34.6%を占め、最も大きい。次いで体力回復や皮膚や傷の修復や再生させることが目的である回復・修復が22.5%、身体の内側から健康と美容のサポートを目的としたインナーケアが21.8%と続く。

生活者における健康意識の高まりや新たな製品・サービスの登場によって、2030年の市場は8兆1510億円が予測される。使用目的別では、ココロケア、検査・測定は現在小規模であるが、ストレス社会の深刻化、AI活用、IoT化の進展によって今後大きな拡大が期待される。特に、パーソナライズ化が進むことで、他との相乗効果や融合による成長も期待される。

生活者の健康意識はここ数年確実に高まっており、セルフヘルスケアに取り組む生活者は増加している。しかし、途中離脱してしまうことも多く、忙しい現代人にとって“手軽さ”は継続する上で非常に重要な要素となっている。

また、ヘルスケア領域は比較的参入障壁が低く、あらゆる業界からの参入が活発化し、関連製品・サービスが溢れていることから、多くの選択肢の中から視認され選択してもらうためには“新奇性”が不可欠な要素となっている。

さらに、ウェアラブルデバイスによってデータの収集が可能となっており、AIやIoTといったデジタル技術の進化によって、生活者の嗜好、体質や体調にきめ細やかに対応するセルフヘルスケアの“パーソナライズ”化がさらに進展すると予想される。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]8月~10月
[小売価格]
書籍版:19万8000円
書籍/PDF版セット:23万1000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):25万3000円
ネットワークパッケージ版:39万6000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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