スプリングバレーブルワリー、10月25・26日に「クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat.秋刀魚 in SVB東京」を開催

左から:神奈川大学の学生、神奈川大学 社会連携部 部長 市川洋行氏、宮崎ひでじビール 代表取締役・九州クラフトビール協会 会長・全国地ビール醸造者協議会 副会長 永野時彦氏、日本ビアジャーナリスト協会 代表 京都与謝野ホップ生産者組合 副組合長 藤原ヒロユキ氏、スプリングバレーブルワリー 社長 井本亜香氏、SPRING VALLEY BREWERY TOKYO ヘッドブリュワー/開発責任者 辻 峻太郎氏

スプリングバレーブルワリー(以下、SVB)は、ブルワリーとして参画している日本産ホップ推進委員会が約3ヵ月間にわたり開催している「クラフトビール ジャパンホップ フェスト2025」のメインイベントを、東京・代官山にあるビアレストラン「スプリングバレーブルワリー東京(以下、SVB東京)」で10月25日・26日に開催する。9月30日には、発足10周年の日本産ホップ推進委員会と共同でプレス発表会を実施した。発表会では、日本ビアジャーナリスト協会代表 藤原ヒロユキ氏やブルワリー・ホップ生産関係者から、日本産ホップ推進のこの10年間の取り組みの他に、最近のトピックス、未来への想いについて発表した。「クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat. 秋刀魚 in SVB東京」に関する発表も行った他、初めての試みとなる、複数のホップの品種の香り比べ「利きホップ」体験も実施した。

スプリングバレーブルワリー 社長 井本亜香氏

「日本におけるホップの生産量は減少傾向にある。この要因には、高齢化による農家の減少や後継者・新規就農者の不足、ホップ農業の利益構造、近年の気候変動による不作などが挙げられる」と、スプリングバレーブルワリー 社長 井本亜香氏が日本産ホップ生産における現状の課題を指摘する。「そこで、全国からブルワリーやホップ生産者、醸造家、ビールファンが集まり、交流できるイベントを実施。今年で開催10年目を迎える。日本産ホップで醸造したクラフトビールを体感してもらえる機会の創出に務めている」と、日本産ホップの生産減少を食い止めるべく、様々な活動を行う。

日本ビアジャーナリスト協会 代表 京都与謝野ホップ生産者組合 副組合長 藤原ヒロユキ氏

日本産ホップの現状はどのようになっているのだろうか。日本ビアジャーナリスト協会 代表 京都与謝野ホップ生産者組合 副組合長 藤原ヒロユキ氏が日本産ホップ推進委員会の取り組みについて語る。「10年前は『地ビール』なのに、原料はすべて輸入。国内のホップ栽培メーカーと契約した農家のみという状況もあった。また、独立系のホップ農家が必要で、日本ならではのビアスタイル創造には原料そのものからの見直しが必要となっていた」と、10年前の日本産ホップ生産を取り巻く状況を紹介する。「そこで、日本産ホップの魅力化、日本ならではのビアスタイルの確立、消費者が日本産ホップビールを飲む歓びの伝播を目的として2015年に日本産ホップ推進委員会を創立した。様々な分野の人々が賛同・参画し、日本産ホップの拡大に向けてホップ生産者・ビール醸造家・飲食店に情報提供や技術支援・情報発信を行っている」と、ホップ生産者、醸造家、飲食店・愛飲者に向けた「日本産ホップセミナー」の定期開催やホップ収穫体験などの企画、日本産ホップに関わる情報発信、ジャパンホップフェストの主催を主な活動とする。「ジャパンホップフェストの初回は、6社のブルワリーが参加。今年は203社のブルワリーが参加する」と、10年間で規模が大きく伸長。「2017年からは、ホップ生産者、ブルワリー、販売者同士がディスカッションできる場としてホップサミットも開催。さらに、年2回のホップセミナー、ジョアンホップフェスト、官能評価会を開催。年間を通じた活動へと拡大・進化している」と、関係者が学ぶ場の提供も行う。「この10年間で、自社製造ビールのための自社栽培や、地域のコミュニティによるホップ栽培など、多種多様な生産者が増加している」と、日本産ホップ推進委員会賛同ホップ生産者が拡大していると語っていた。

宮崎ひでじビール 代表取締役・九州クラフトビール協会 会長・全国地ビール醸造者協議会 副会長 永野時彦氏

自社圃場2ヵ所と契約栽培2ヵ所の計4ヵ所でホップを栽培する宮崎ひでじビール 代表取締役・九州クラフトビール協会 会長・全国地ビール醸造者協議会 副会長 永野時彦氏が、栽培と醸造の二刀流ブルワリー 宮崎ひでじビール「ホップオーナー制度」について説明した。「宮崎ひでじビールは、1996年の規制緩和によって地ビールの醸造を開始。第一次地ビールブームの終焉と共に、親会社からビール事業部廃止を通告されるも、地元の有志に支えられ、従業員による会社買収(EBO)で会社を再興し、2010年に宮崎ひでじビールとして再出発した。再生時の目標は、オール宮崎の原料でビールを造るを掲げ、2016年からホップ栽培を開始。現在、自社圃場2ヵ所と契約圃場2ヵ所の計4ヵ所でホップを栽培している」と、概要を紹介する。「ホップの栽培が難しいといわれている温暖な気候の宮崎県で、ホップ栽培に挑戦。ホップ苗の生育を見守りながら、完成ビールを受け取れる育成応援企画として、ひでじビール『ホップオーナー』制度をスタート。ビールに欠かせないホップの成長、収穫、そしてビールが出来上がるまでの一連の流れを一緒に体験できる制度になっている」と、ホップの年間オーナーになることができるのだとアピールする。「九州でのホップ栽培は、気候的に無理と大反対されながらも、ホップオーナー制度は大好評。しかし大凶作に見舞われるなど一筋縄では行かなかった。だが、今年は過去一番の豊作となり、収穫祭は大盛り上がりをみせた」と、苦労や課題を経て、ひでじビールが誕生したのだと熱く語る。「収穫したホップは、フレッシュビールとなってオーナーの元へ届けられた。今後も九州での収量を上げられる研究を続け、クラフトビール文化を広げていく」と訴えた。

神奈川大学 社会連携部 部長 市川洋行氏

日本産ホップの栽培とコミュニティ活動について、神奈川大学 社会連携部 部長 市川洋行氏が紹介した。「当大学の横浜キャンパス3号館とみなとみらいキャンパス6Fテラスでホップ栽培プロジェクトをスタート。新たな学びの機会や、屋上緑化による農業体験実習、地域コミュニティのつながりを目的とした」と、学生に人気のプロジェクトになっているという。「プロジェクト名は、ビール生産プロジェクトではなく、ホップ栽培プロジェクトとし、味決めや生育状況の確認を経て、ビール名の決定、ラベルデザイン、売れる仕掛けづくりを行っている」と、ホップ栽培プロジェクトの流れについて言及する。「プロジェクトは、学生、自治体、周辺企業等ともにホップ生育から収穫を行い、生産者の立場で参画。学生目線で飲むシーンを想像しながら、“どのような味”“どのようなラベル”がよいかを考えて、商品開発やデザインを進行。味やデザインが決定したら、醸造を行う。そして、実際にお店などで販売することを想定し、どのような手法でどのようにアピールすれば売れるのかなど、アピールポイントやPOPなど売れる仕掛けを考える」と、栽培・収穫体験から商品開発・デザイン、マーケティングまで学生が関わるプロジェクトになっている。「昨年、横浜キャンパスのビールは、『KU Laugh to Beer 2024(クラフトビア2024)』と命名。フレーバーはペールエールで、プロジェクトタイトルは神大麦酒(ばくしゅ)計画と名付けた。みなとみらキャンパスのビールは、『ROUD BREW -2024 My Fist Lager-』と命名。スタイルはラガーで、プロジェクトタイトルは、HOP!STEP!BEER!と名付けた」と、ビールラベルのデザインとともに、どのようなビールを造ったのか教えてくれた。

スプリングバレーブルワリー東京

再び、井本社長が登壇し、今年の日本産ホップ推進活動について発表した。「SVBは、2015年開業以来、『日本産ホップ推進活動』に参画し、全国のホップ生産者への情報提供や、ビール醸造家への技術的支援、さらに消費者の飲用体験創出などを行っている。SVBも一賛同ブルワリーとして、日本産ホップを使用したビールの拡大に取り組んでいる」と、日本産ホップ推進の取り組みにおける同社の役割について語る。「SVB創業10周年特別企画第5弾『ENJOY! CRAFT 恵みJAPAN 2025』では、日本の実りの秋に注目し、日本の恵みを活かしたクラフトビールと日本の食文化の新たな魅力を体験できる企画を展開。特に秋は、ビール醸造に欠かせないホップが収穫され醸造される、日本産ホップビールの最旬でもあることから、当企画を通じて、日本産ホップビールの魅力を届ける」と、イベントの主旨について発表した。

「クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat.秋刀魚 in SVB東京」のPOP

「フレッシュホップを使用したクラフトビールとして、SVB東京限定『フレッシュホップ~最優秀圃場IBUKI~』とSVB京都限定『フレッシュホップ~与謝野の息吹~』を10月に発売する」と、同じ品種だが、異なる圃場で収穫されたホップの違いがポイントとのこと。「また、『恵みJAPAN BEER FLIGHT(飲み比べセット)』を10月31日まで販売する。日本各地のブルワリーの創意工夫が詰まった日本産ホップを使用したビールを含む、ビアクラフトとなっている」と紹介。「さらに、日本産ホップ使用のビール官能評価会を実施する。11月28日に開催予定で、参加ブルワリーは11社。事前に各社製造品をキリンの研究所で数値分析し、数値の結果のフィードバックや、ブラインドテイスティングなどを行いながら、技術面の意見交換を行う」と、醸造技術向上のための分析・ディスカッションを行う。

苦苦ホップパウダーのフリフリポテト

「ホップ関連の食材等を使用したフードを開発し提供。10月25日、26日限定の『クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat.秋刀魚 in SVB東京』では、ホップ関連の調味料を用意。秋刀魚の付け合わせに『オリジナル ホップ七味』や、苦いもの好きにはフリフリポテトに『ホップパウダー』を用意している」と、10月1日~31日までの期間限定で、SVB東京では「牛タン2種の味わい グリル&煮込み」、SVB京都では「京丹波高原豚ロースのローストポーク」を提供すると教えてくれた。

牛タン2種の味わい グリル&煮込み

「クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat.秋刀魚 in SVB東京」では、「秋が日本産ホップを楽しむ旬であることを知ってもらうために、季節を代表する食と記憶に残る体験内容を行う。10月25日、26日の2日間、17ブルワリーが参加し、最大20種の日本産ホップを使用したクラフトビールを提供する」と、自社でホップの栽培と醸造を行う二刀流のブルワリーや、ホップの生産者とコラボして醸造したブルワリーなど全国の注目ブルワリーが集結する。

10月25日、26日の限定メニュー「秋刀魚の一本焼き」とクラフトビールのペアリング

「食連動として、秋の代表格である魚『秋刀魚の一本焼き』とクラフトビールのかけ合わせが体験できる。さらに、複数種類のホップの香りの嗅ぎ比べができる『利きホップ』体験も行う」とのこと。「その他、ブリュワリー・ホップ生産者によるトークセッションや、バルーンアート、シンガーソングライターによる生歌披露、秋の味覚が当たるSVB東京料理長とのじゃんけん争奪戦などを行う」と、様々なコンテンツで空間を盛り上げるとアピールした。

SPRING VALLEY BREWERY TOKYO ヘッドブリュワー/開発責任者 辻 峻太郎氏

そして、「クラフトビール ジャパンホップ フェスト 2025 feat.秋刀魚 in SVB東京」で行われる「利きホップ」チャレンジが行われた。「ホップは、アサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物の一種で、時計回りにつるを巻き付けながら伸びていき7~8mほどの高さまで成長する」と、SPRING VALLEY BREWERY TOKYO ヘッドブリュワー/開発責任者 辻 峻太郎氏。「ビールづくりに用いられるのは、受精していない雌株の果実部分のみ。緑色の松ぼっくりのような見た目で毬花(まりばな)と呼ばれる」と、ホップについて説明する。「毬花に付着する花粉に似た黄金の物質ルプリンがビールに苦みと香りを付与し、泡の安定化や保存性を高める働きをしている。ドイツのホップ農家たちはそんなルプリンの効能を讃えて“Das grune Gold(緑の黄金)”と呼んでいる」と、苦みと香りの源、ルプリンについて解説した。

ホップ

「岩手県遠野市で収穫したての生ホップを急速凍結して使用する『凍結粉砕ホップ』は、キリンの特許技術となっている。生のまま凍結したホップは、青草や果実のようなフローラルな香りが際立つ。日本で良質なホップが栽培されているからこそ可能な、世界でも例をみないホップの使い方となっている」と紹介する。「ビールは、麦芽・副原料・ホップ・水・酵母という限られたシンプルな素材だけから造られる飲み物。一つひとつの素材の違いが多彩なスタイルと味わいを生み出す。中でも苦み・香り・泡持ち・殺菌効果を担うホップの役割は非常に重要(出典:HOP Master File 基本情報(1st edition 2017oct)」と、ビール造りに欠かせないホップの役割について言及。「ビールになるために、ホップが果たす役割は、苦みを与える、香りを与える、泡持ちをよくする、殺菌効果を与える」と説明した。

「利きホップ」体験

ホップについて理解したところで、「利きホップ」を実施。「利きホップ用資料」に記載している、3種類のホップの特徴を読む。そして、ジッパー付ビニール袋に入ったペレットホップを順に香る。最後に資料の「記入欄」に正解だと思う組み合わせを記入した。

[イベントの詳細]
会場:スプリングバレーブルワリー東京〈全館〉
   東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山内
日程:
(DAY1)10月25日(土)(1)11:00~14:00(2)15:00~18:00(3)19:00~22:00
(DAY2)10月26日(日)(4)11:00~14:00(5)15:00~18:00
※(1)~(5)の各回入替制
※各回ラストオーダーは終了30分前予定
定員
事前予約:各回160名程度(※10月26日(日)(5)15:00~18:00の枠のみ140名程度
当日販売(予定):予約状況に応じて、入場制限を設ける場合がある
※1階・2階ともに半立食・全館フリー席
※当日の来場順に場所を確保できる
参加費用:事前予約 ※売り切れ次第終了
 秋刀魚付きチケット:3500円
 入場料500円+秋刀魚1本焼き+ビール(200ml)・フードと交換できる500円チケット5枚付き
 秋刀魚なしチケット:2700円
 入場料500円+ビール(200ml)・フードと交換できる500円チケット5枚付き
当日販売 ※当日券は、「秋刀魚付きチケット」の販売はない
 秋刀魚なしチケット:3000円(税込)
 入場料500円+ビール(200ml)・フードと交換できる500円チケット5枚付き
数量限定 秋刀魚1匹追加チケット:1000円(税込)※売り切れ次第終了
チケット購入
※開催日ごとにサイトが異なる
<事前予約>※売り切れ次第終了
(DAY1)10月25日(土)=https://tiget.net/events/417738
(DAY2)10月26日(日)=https://tiget.net/events/417817

[「スプリングバレーブルワリー」店舗情報]
店舗名:スプリングバレーブルワリー東京
所在地:東京都渋谷区代官山町13-1 ログロード代官山 内
営業時間:
 月曜~土曜:11:00~23:00(L.O.22:00)
 日曜・祝日:11:00~22:00(L.O.21:00)
※テラス席は22:00まで営業(冬期をのぞく)
※不定休
電話番号:03-6416-4960

店舗名:スプリングバレーブルワリー京都
所在地:京都府京都市中京区富小路通587-2
営業時間:
 月曜~土曜:11:30~23:00(L.O.22:00)
 日曜・祝日:11:30~22:00(L.O.21:00)
※テラス席は22:00まで営業(冬期をのぞく)
※不定休
電話番号:075-231-4960

スプリングバレーブルワリー=https://www.springvalleybrewery.jp


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