- Drink&Food2025/05/21 19:31
矢野経済研究所、国内のパン市場に関する調査、2023年度の国内パン市場規模は2019年度の水準を超え再成長の局面に

矢野経済研究所は、国内のパン市場を調査し、パン商品別や小売チャネル別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、2023年度の国内パン市場規模は2019年度の水準を超え、再成長の局面にあることがわかった。価格や利便性・簡便性を志向する、食卓パンや菓子パン、惣菜パンなどの需要に応える多様な商品展開が市場成長の鍵になるとみられる。
同調査では、食パンや食卓パン、菓子パン、惣菜パン、デニッシュ、フランスパン、調理パンの7種のパンを対象として市場規模を算出している。2023年度の国内パン市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比104.8%の1兆6629億円であった。
パン市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少で、一時的な市場縮小が見られたものの、回復基調の局面にあり、パン需要は再成長している。
商品別に市場をみると外出機会の増加により、手軽に購入・喫食可能な菓子パンや惣菜パンの需要が活性化している。また、継続する物価上昇を背景に、価格に敏感な消費者層ではコストパフォーマンス重視の傾向が強まっており、袋入りでお得感のある食卓パンが支持されている。
一方で、コロナ禍の在宅時間の増加や高級食パンブームによって一時的に拡大した食パン市場は、高級食パンブームの終焉に伴い成長が鈍化した。
小売チャネル別にみると、社会活動の正常化に伴う人流の回復を背景に、外食チェーン等の飲食店向けのパン需要が持ち直しており、訪日外国人客数や旅行消費額などインバウンド需要の回復もあって、ホテル向け需要も堅調に推移している。これらは、コロナ禍を経た後のパン消費の構造変化を示しており、今後のパン業界においても、「価格志向」と「利便性・簡便性」を軸に、消費者ニーズへの対応力が市場成長の鍵を握ると考えられる。
カレーパンや焼きそばパン、ツナマヨパンなど多様な商品が展開されている惣菜パンは、ボリューム感や食欲をそそる見た目が特徴である。具材を挟んだり、包んだりした個包装の携帯タイプが常温販売され、市場競争は激しい。ベーカリー(パン製造小売事業者)では、ホールセールメーカー(工場で製造工程の大部分を機械化して大量生産を可能とする製パンメーカー)の惣菜パンとの差別化を図り、焼きたて感や少量多品種への対応力で惣菜パンを強化している。ベーカリー店舗では具材に工夫を凝らし、フレッシュ感のある商品づくりが図られている。2024年以降、コメの供給不足や価格高騰を受けて、コンビニエンスストアや量販店で販売されるおにぎりの価格値上げが相次いでいる。これを受けて、おにぎりの代替需要獲得を目指し、惣菜パンを強化するベーカリーやホールセールメーカーが見られる。
少子高齢化が進行する日本では、パン市場は今後も引き続き低成長を予測する。また、新興国での需要拡大や世界的な天候不順の影響によって、小麦粉や油脂類などの原材料は供給不足や価格高騰が懸念される。一方で、高品質かつ高単価な付加価値商品の投入や、ヒット商品の登場、さらにフランスパンやバラエティブレッドといった食パンや食卓パンなど食事用途のパン需要拡大等、市場成長を後押しする要因も複数存在する。こうした要素を勘案し、国内パン市場規模は今後も微増傾向で推移する見通しである。2028年度の国内パン市場規模は、2023年度比113.7%の1兆8903億円になると予測する。
[調査要綱]
調査期間︓1月~3月
調査対象︓パン・調理パンの製造メーカー・卸事業者、主要リテールベーカリー(パン製造小売事業者)等
調査方法︓同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
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