- Drink&Food2025/05/12 20:07
矢野経済研究所、国内の飲料受託製造市場に関する調査、市場は加工賃単価上昇で拡大も製造量では微増

矢野経済研究所は、国内の清涼飲料の受託製造市場を調査し、エリア別、製品カテゴリー別の動向、参入企業動向、将来展望等を明らかにした。その結果、飲料受託製造市場は加工賃単価上昇で拡大も製造量では微増で、パッカーの受託機会減少と設備投資効率化が大きな課題であることがわかった。ブランドオーナーとパッカーの戦略的パートナーシップと設備投資による競争力強化が成長の鍵とみられる。
2023年度における国内の飲料受託製造市場規模(受託製造事業者売上高ベース)は前年度比107.1%の5600億円に達し、2024年度の同市場も同101.8%の5700億円と4年連続での成長を見込む。新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的に大きく落ち込んだ市場は、2024年度にはコロナ禍前の2019年度水準まで回復の見込みである。
2023年度の市場規模高成長の要因としては記録的な猛暑による飲料需要の拡大もあるが、より大きな影響を及ぼしたのは、加工賃単価の引き上げが多くの飲料メーカー(以下、ブランドオーナー)から容認されたことにある。そのため、金額ベースでみると飲料受託製造市場は大きく拡大したものの、実質的な製造数量の増加は限定的で、数量ベースでは飲料市場規模と同様に微増に留まっていると推察する。
現在の飲料市場でペットボトル製品は主力を占めており、ブランドオーナー、飲料製造受託企業(以下、パッカー)の双方にとって設備投資の中心的存在となっている。そのため、ブランドオーナーが製造する製品の多くがペットボトルであることから、受託製造を担うパッカー側においてもペットボトル対応の製造ラインを強化する動きが主流となっている。
大手ブランドオーナーは物量およびコスト削減、軽量化などの観点からアセプティック(無菌充填)ラインへの設備投資が主流であるのに対し、パッカーではホットパック(高温充填)ラインを有しているケースも多い。大手ブランドオーナーからの受託量を拡大するにはアセプティックラインの導入が求められるが、その設備は高額であるため、導入できるパッカーは限られているのが現状である。
ブランドオーナーは品質やコスト、供給リスクを考慮して、自社工場での内製化を進めているが、全製品の内製化は困難であり、パッカーの存在は不可欠である。特に品目の変化対応力や柔軟な生産体制が求められる製品ではパッカーとの密接な連携が重要で、PB(プライベートブランド)製品の増加もパッカー側の受注機会を広げている。将来的には、ブランドオーナーとパッカーの関係が戦略的パートナーシップに進化し、専門性と役割分担が市場での競争力強化の鍵になると考える。
[調査要綱]
調査期間:1月~4月
調査対象:飲料受託製造企業(パッカー)、飲料メーカー(ブランドオーナー)等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
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