富士経済、機能性成分を添加・強化した健康志向食品(明らか食品やドリンク類)の国内市場の調査、前年比7.5%増の1兆6433億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、新型コロナウイルス感染症に関連する特需は収束したものの、消費者の健康意識は確実に底上げされており、今後もライトな健康対策需要を取り込んでいくと期待される健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)の国内市場を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧2024No.2-健康志向食品編-」にまとめた。トピックスとして、2023年(2022年比)では、人流回復によるCVS来店客数の増加、猛暑によって止渇需要拡大、商品投入も相次いだ脂肪・コレステロール値改善市場が3138億円(9.9%増)を見込む。

この調査では、機能性成分を添加・強化し、それを訴求する一般加工食品(明らか食品、ドリンク類)を健康志向食品とし、29の訴求効能別に市場を分析した。なお、「同 No.1」では27の訴求効能別にサプリメント市場を調査・分析し、その結果の概要については2023年10月19日に公開している。また、「同 No.3」では保健機能食品市場を調査・分析し、「同 総括編」ではそれまでの調査・分析結果を総括する。

H・Bフーズとは、健康(Health)の維持増進・回復や美容(Beauty)を目的に飲食する何かしらの効能・効果(機能性)を期待できる・期待されるイメージをもつ食品としている。

脂肪・コレステロール値改善は、茶カテキンや難消化性デキストリン、乳酸菌類、ウーロン茶重合ポリフェノールなどの成分を含み、脂肪やコレステロールの低減などを訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「恵megumiガセリ菌SP株ヨーグルト」(雪印メグミルク)、ドリンク類では「お~いお茶 濃い茶」(伊藤園)、「伊右衛門 特茶 TOKUCHA」「サントリー烏龍茶 OTPP」(いずれもサントリー食品インターナショナル)、「からだを想うオールフリー」(サントリー)などがある。

2022年の市場は、2019年に機能性表示食品としてリニューアル発売された「お~いお茶 濃い茶」の躍進が続いたほか、「伊右衛門 特茶 TOKUCHA」の復調、機能性表示食品としてリニューアル発売された「サントリー烏龍茶 OTPP」や新商品の「伊右衛門 濃い味」(サントリー食品インターナショナル)の上乗せによって急拡大した。2023年は人流回復によるCVS来店客数の増加、猛暑により止渇需要が増えたことなどが市場の追い風となっている。また、飲料メーカーを中心とした値上げは、販売数量は落ち込むものの、販売金額ではプラスとなるケースが多く、ドリンク類の中では濃い系緑茶が伸びている。商品投入も相次ぎ、市場は前年比9.9%増の3138億円が見込まれる。

商品投入が活発であり、中高年の生活習慣病予防に留まらず、脂肪対策やそれに付随するベネフィットの提案によってダイエットや美容ニーズなども取り込むなど、今後も市場は堅調な推移が期待される。

睡眠サポートは、乳酸菌類、テアニン、GABAなどを主成分とし、睡眠の質の向上・改善などを訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「メンタルバランスチョコレートGABAフォースリープ」(江崎グリコ)、ドリンク類では「Yakult1000」、「Y1000」(いずれもヤクルト本社)などがある。

市場は2015年の機能性表示食品制度の開始によって“睡眠の質向上”などの機能を明確に表示できるようになり、商品投入が進んだことで形成された。2022年の市場は、前年に全国発売となった、睡眠の質向上などを訴求する「Yakult1000」、「Y1000」の大ヒットにより急伸した。コロナ禍による生活リズムの乱れなどによって睡眠に対して悩みを抱える消費者が増加したことから、睡眠の質向上に対する関心が高まり、多くのメディアから睡眠対策情報が発信されたことで需要が顕在化した。2023年は、睡眠に対する意識が引き続き高く、食品・飲料での睡眠対策が消費者に浸透しつつある。「Yakult1000」、「Y1000」の好調が続いているほか、新商品投入も活発であることから、市場は前年比47.7%増の768億円が見込まれる。

今後も市場は拡大するが、一般用医薬品からも睡眠対策を訴求した小瓶タイプの商品が展開されており、剤形も近いことから、より機能を求めるユーザーは一般用医薬品へシフトする懸念もある。

ビタミン・ミネラルチャージは、ビタミン、ミネラルといった成分を含み、各種栄養成分の補給やバランス維持を訴求した商品を対象とする。主な商品として、明らか食品では「塩分チャージタブレッツ」(カバヤ食品)、ドリンク類では「C.C.レモン」シリーズ、「グリー ン ダ・カ・ ラ」(いずれもサントリー食品インターナショナル)、「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ)、「キレートレモン」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)などがある。

2022年は、7月の気温が高かったことから熱中症対策としての需要が増加した。また、コロナ罹患時やワクチン接種時にパウチゼリー飲料を飲用するといった特需が発生したことで、市場は前年比二桁増となった。2023年は、記録的猛暑によってドリンク類、タブレット型商品の多くが大幅に伸びている。パウチゼリー飲料の、前年までの特需が落ち着いていることから、市場の伸びは前年より鈍化するものの、前年比7.1%増の1467億円が見込まれる。

特需は収束したものの、消費者の基礎栄養補給の意識継続に伴い、今後も市場は拡大が予想される。一方で、対象とした商品は有糖が多いが、消費者の無糖飲料志向が高まっていることから、需要シフトも懸念される。また、近年の値上げで商品によっては販売数量が減少しており、今後も値上げが実施されれば買い控えも懸念される。

健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場の2022年は、リニューアルや新商品展開によって脂肪・コレステロール値改善が躍進したほか、社会的に注目が集まった睡眠サポートや人流増加によって市場環境が好転した滋養・強壮、ビタミン・ミネラルチャージも高い伸びとなり、市場は前年比7.5%増の1兆6433億円となった。2023年は、人流増加が本格化したことに加え、猛暑による後押しを受けてドリンク類を中心に需要が活性化した。脂肪・コレステロール値改善や睡眠サポート、ビタミン・ミネラルチャージなどが引き続き需要を取り込み、市場は前年比4.9%増の1兆7,243億円が見込まれる。

明らか食品は機能系ヨーグルトの需要減退がみられるが、オーラルケア食品の需要回復などプラス要因もみられる。ドリンク類は乳酸菌飲料や、人流増加や猛暑を背景に高カテキン訴求の濃い系緑茶、止渇性の高いビタミン・ミネラル配合の商品が需要を獲得し続伸している。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]9月~11月
[小売価格]
書籍版:14万3000円
書籍/PDF+データ版セット:18万7000円
ネットワークパッケージ版:28万6000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


ヘッドライン

HeadLineNews
【新着】今日のマイライフニュース

連載中コラム

健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!
マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー
健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!

マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー

カテゴリ