矢野経済研究所、パン市場に関する調査、2021年度の国内パン市場規模はコロナ禍を経て一転プラスに

矢野経済研究所は、国内のパン市場を調査し、パン商品や小売チャネル別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、2021年度の国内パン市場規模はコロナ禍を経て一転プラスに転じた。変動性のある消費者需要に対応した商品開発・運営の取り組みも見られる。

2021年度の国内パン市場規模は、前年度比101.0%の1兆5354億円(メーカー出荷金額ベース)であった。

コロナ禍で、外食や宿泊施設、ブライダルなどの業務用パン需要の減少と、在宅勤務や大学のリモート講義などによる都市部のコンビニエンスストアを中心とした消費者のパン需要の減少などが市場に大きな影響を与え、2020年度は苦戦を強いられていたが、2021年度は行動制限が段階的に緩和されるなか、徐々に一部で経済活動や社会生活が元に戻り始めたことでパン需要が回復し、前年度比でプラスに転じることとなった。

2021年度のパン市場は、マリトッツオ(パンにクリームを挟んだイタリア発祥の伝統的な菓子)やフルーツサンドといったパン商品のブームなどが注目されたが、こうした変動性のある消費者需要をうまく調整する取り組みも見られた。

マリトッツオはブームの最中から、一過性で終わることを想定し、マリトッツオ用のバンズを応用した商品を提案するなど、その先を見越した戦略を立てる事業者も見られた。また、企業の社会的な貢献としてSDGsが注目されるなか、フードロスを抑制するため、消費期限の短いフルーツサンドも販売見込みよりも少なく生産したリテールベーカリー事業者も見られた。変動性のある消費者需要を調整できるよう、慎重な商品開発、事業運営が行われた。

昨今の原材料価格高騰によって、ホールセールメーカー(工場で製造工程の大部分を機械化して大量生産を可能とする製パンメーカー)やリテールベーカリー(パン製造小売事業者)は、企業努力だけでは価格維持が難しく、2022年度以降に多くの事業者で値上げを実施している。値上げ実施後は、売上数量の伸長がそのまま売上金額の伸長に及ばないケースが見られる。今後もパンの価格が上昇し続けることが想定されることから、一部消費者のパン離れ、またはより安価なパン消費へ移行することが懸念される。

こうしたなか、今後は主に高級食パンに代表される高付加価値のパンを求める消費者と、値上げを受け入れながら従来品を購買し続ける消費者、値上げにより従来品から離反する節約志向の消費者に大別されるとみる。

なかでもホールセールメーカーは、商品価値と価格に見合う消費者を対象に、商品展開を行い、消費者層を取りこぼすことなくあらゆる顧客層を囲い込むことで、売上拡大をめざすものと考える。

こうした市場背景を考慮すると、パン市場は今後も微増で推移し、2026年度の国内パン市場規模は1兆6090億円(メーカー出荷金額ベース)と1兆6000億円台になると予測する。

[調査要綱]
調査期間:1月~3月
調査対象:パン・調理パンの製造メーカー・卸事業者、主要リテールベーカリー(パン製造小売事業者)等
調査方法:同社専門研究員による直接面談、電話等によるヒアリング、郵送アンケートならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/


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