矢野経済研究所、食品宅配市場に関する調査、2024年度の市場は外食需要回復の影響を受けるも成長を持続

矢野経済研究所は、国内食品宅配市場を調査し、業態別8分野の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、2024年度の食品宅配市場は外食需要回復の影響を受けるも成長を持続。日常利用が進んで生活に不可欠なサービスとして定着していることがわかった。

2024年度の食品宅配市場規模(主要8分野合計値)は事業者売上高ベースで、前年比101.7%の2兆6380億円と推計した。新型コロナウイルス禍で宅配需要が急増した2020年度以降は、市場成長率こそ新型コロナウイルス禍前の水準に戻っているが、少子高齢化の進行で国内の食関連市場が全般的に縮小傾向にあるなか、成長基調を持続している。

少子高齢化や女性の社会進出といった社会的要請を受けて、食品宅配サービスは年々、その重要性を増してきた。上述のとおり、2020年度は宅配需要の急増により市場が急拡大したため、2021年度以降は反動減が懸念されたが、多くの分野(業態)で需要は高止まりした。2024年度に入ると外食需要の回復が顕著になり、その影響を受ける分野が増えたものの、生協(個配)やネットスーパーなどの小売業態を中心に食品宅配サービスは日常生活に根付いているものと考える。

ミールキット(料理キット)市場動向では、レシピ(献立)と調理に必要な人数分の食材がセットになった「ミールキット(料理キット)」が好調を維持している。昨今は、カット済みの肉や野菜と調味料がセットになったキットが主流で、“手作り感”は欲しいものの、毎日の献立作りや買い物、調理には時間をかけられない現代人のニーズに応えた商品となっている。

ミールキット(料理キット)は従来、食材(惣菜)宅配市場で取り上げてきた商材であるが、近年は生協やネットスーパーなどが参入して、冷凍キットなどの商品バリエーションが拡充し、品質も向上している。メインユーザーは、家事(調理)の時短ニーズが高い子育て・共働き世帯とされるが、高齢・単身世帯の需要も高まっており、参入各社は多様化するユーザーニーズに応えるべく商品力の強化に取り組んでいる。

ミールキット(料理キット)市場参入各社は、時短を訴求しながら、多様化するユーザーニーズを反映し、冷凍キットなどを投入して利便性の向上を図り、普段は廃棄してしまうような食材部分(未利用食材)を利用するなどアップサイクルにも取り組んでいる。また、人気店や有名シェフ・料理家とのコラボレーション商品が充実し、売上拡大に寄与している。新型コロナが収束し、徐々に外出・外食機会が増えるのに伴って成長率は落ち着きを見せているものの、2024年度のミールキット(宅配商品)市場規模は事業者売上高ベースで、約1900億円規模と堅調に推移した。

食品宅配市場は今後も順調に拡大し、2029年度の市場規模(主要8分野合計値)は2024年度比で110.6%の2兆9174億円(事業者売上高ベース)に達すると予測する。

少子高齢化や女性の社会進出、ライフスタイルの多様化などを背景として、食品や食事の宅配需要は確実に増加してきた。新型コロナウイルス禍を契機として急拡大した市場は、その後も成長を持続しており、食品宅配の日常利用が進んで生活に不可欠なサービスとして定着しつつある。

食品宅配サービスに関する様々な課題(新規顧客の獲得と継続利用、製造、配送における人手不足と業務の効率化等)については長期的な取り組みが必要になるが、デジタル化を進めるだけでなく、見守り活動や顧客に合わせた商品提案などのリアルコミュニケーションも重視し、付加価値の高い商品やサービスを提供しながら、顧客体験の向上を図ることが重要と考える。

[調査要綱]
調査期間:7月~9月
調査対象:在宅配食・食材(惣菜)宅配サービス企業、ファストフード・外食チェーン店運営企業、乳業メーカー、生協、小売事業者、その他食品宅配関連企業・団体等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびにアンケート調査併用

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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