- Drink&Food2025/10/31 22:36
富士経済、機能性成分・素材50品目の国内市場調査、2032年の市場予測では2197億円と2024年比16.1%増の見込

総合マーケティングビジネスの富士経済は、一部サプリメント商品での健康被害問題等に加え、物価上昇や関税問題、ウクライナ侵攻の長期化といった海外情勢の不安感など、外部環境の影響もあり市場環境は厳しいものの、消費者の健康ニーズの高まりから、緩やかに拡大している機能性成分・素材の国内市場を調査した。その結果を「機能性成分・素材市場の現状と将来展望 2025」にまとめた。トピックスとして、2032年国内市場予測(2024年比)では、機能性成分・素材50品目が2197億円(16.1%増)を見込む。新たな素材や訴求効能・エビデンスによって商品の付加価値向上を目指す動きが進むとみられる。ビフィズス菌は74億円(48.0%増)と予測する。機能性の再認識や新知見、用途拡大が進展。ビフィズス菌を主軸にした商品の増加が期待される。
この調査では、高付加価値素材として位置付けられるヘルスケア関連の機能性素材50品目について、最新の市場動向を捉え、将来を展望した。また、バイオ技術など機能性素材の生産・製造技術におけるイノベーションの現状についても整理した。
市場は、消費者の健康志向の高まりを受けて緩やかに拡大している。2024年は、物価高や一部のサプリメント商品における健康被害の影響で苦戦する成分・素材があったが、サプリメントや化粧品など数多くの商品に採用され、既存顧客の底堅い需要に支えられている成分・素材も多く、市場は堅調を維持した。
市場は安定している一方、新規需要の獲得については伸び悩みもみられる。参入企業においては、新たな素材の探索・エビデンス研究や、すでに展開している素材の新たな訴求機能の解明など、最終商品の付加価値を高め需要を開拓する動きが進められている。さらに、越境ECなど海外ニーズに対する需要開拓を進めるサプリメントメーカーや化粧品メーカーの増加もみられ、今後も需要は拡大していくとみられる。

ビフィズス菌は、腸内フローラを構築する善玉菌の一種で、腸内環境改善(整腸作用)、アレルギー緩和、腹部皮下脂肪・内臓脂肪・総脂肪減少、免疫機能調整・向上、皮膚の健康などのほかにも、疲労因子(乳酸・アンモニア)の生成抑制、筋肉の増加、認知機能の改善など幅広い訴求がみられる。乳酸菌と同一に見られることも多いが、大腸内の善玉菌の多くを占めることや、大量に生成される酢酸が悪玉菌の増殖を抑えるといった特徴がある。最終商品としては、ヨーグルトなどのチルドタイプの明らか食品やカプセル状のサプリメントが多くを占める。
整腸作用など、同様のニーズがある乳酸菌とともに市場が拡大してきたが、乳酸菌が多様な菌体により様々な機能性の解明が進んだ一方、ビフィズス菌は菌種による差別化が乳酸菌ほど進まなかった。しかし、近年になって機能性の再認識や新知見、用途拡大が進んでおり、今後はビフィズス菌を機能性訴求の主軸とした商品の増加が期待できる。未開拓領域が減っているため、競合が激化している乳酸菌と比較して高い伸びで推移するとみられる。
機能性では、2021年に認知機能の維持を訴求する機能性表示食品の関与成分としての届出が受理されている。高齢社会の進行に伴い脳機能関連訴求への注目度は高く、今後の需要増加が期待される。

NMNは、ミトコンドリア活性を促すことでアンチエイジングに繋がることが期待できる成分であり、機能性表示食品の関与成分としては、肌の潤い、肌弾力の維持、中高年の睡眠の質を高める、などの表示が認められている。
日本では2020年以降食品原料としての採用が可能となった。当初は非常に高価であったが、流通量が増加したことで価格が低下した。2023年から国内の大手製薬企業やサプリメント企業が参入し、店頭でサプリメントの販売が増えた。
2024年にはペット向けサプリメントへ採用されたほか、2025年には原料サプライヤーが自社ブランドでサプリメントの展開を開始したほか、食品企業や製薬企業のサプリメントへの新規参入も複数みられており、存在感が高まっている。
最終商品の価格の高さは懸念材料の一つであるが、インバウンド需要に加え、原料価格の低下によって手ごろな価格の商品も登場していることから、商品の魅力や成分に対する信頼が高まることで今後も市場成長が期待される。

大豆イソフラボンは、女性ホルモンと似た分子構造であり、女性の更年期障害改善、骨粗しょう症の予防・抑制、肌の弾力改善、シワ面積の減少など女性特有の健康課題を解決する作用のほか、一部の型で子宮内膜症改善素材としての特許取得や不妊治療における有効性についての研究も報告されている。消費者の認知度が非常に高く、女性向けサプリメントの定番素材として需要は安定している。

機能性表示食品としては骨の成分維持に役立つ、をヘルスクレームとした商品が多いが、近年のフェムケアへの関心の高まりから、更年期の不調改善、肌の弾力や水分量の維持といった需要も増加している。認知度の高さやフェムケア関連の対応進展、肌ケア関連のエビデンス蓄積によって今後も市場拡大が続くとみられる。女性における成分の認知度は非常に高いため、特にフェムケア訴求商品においては、ヘルスクレームが限られる機能性表示食品としてではなく単に“大豆イソフラボン配合”という表記で展開する商品も今後増えていくとみられる。
機能性成分・素材100品目について、消費者1万人の認知度を調査し、ランキング化した。乳酸菌、コラーゲン、ビフィズス菌の認知度が70%を超え、順位の違いはあるが、男女ともにトップ3は同じ顔ぶれであった。
2023年11月にも同様のアンケート調査を行っており、今回は対象品目を若干入れ替えているものの、認知度の平均値は上昇した。一般的な素材だけでなく、専門的な成分や日本では未採用の素材なども認知されているなど、消費者の機能性素材や機能性成分に対する意識の高まりがうかがえる。
[消費者アンケート調査対象]
調査対象:
 スクリーニング調査:全国の18歳~69歳の男女1万名
 本調査:スクリーニング調査で、対象100素材の内いずれかの素材を配合した商品の使用が多いとした回答者の中から、優先的に抽出した男女1000名
調査方法:インターネット調査
調査期間:7月
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]7月~9月
[小売価格]
書籍版:19万8000円
書籍/PDF版セット:23万1000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):25万3000円
ネットワークパッケージ版:39万6000円
(すべて税込)
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