富士経済、化粧品の国内市場調査、2026年予測では高価格帯ベースメイク市場が2024年比13.1%増の1488億円に

化粧品の国内市場

総合マーケティングビジネスの富士経済は、機能性の高い商品展開による単価アップやメイクのステップ数を増やすアイテムの好調、インバウンド需要の拡大、値上げなどによって伸びが続き、2024年にはコロナ前の規模を上回った化粧品市場を調査した。その結果を「化粧品市場トレンド横断分析 2025 総括・価格帯分析編」にまとめた。2026年予測(2024年比)では、値上げによる対象商品の増加に加え、ラスティング効果やスキンケア効果の高い商品の発売が活発する高価格帯ベースメイク市場が1488億円(13.1%増)を見込む。一方、消費者アンケートでは、価格改定の影響から、物やサービスの値上がりを受け、安価な化粧品やブランドへの切り替えを考える消費者が増加していることが明らかとなった。

この調査では、化粧品7カテゴリー(スキンケア、ベースメイク、ポイントメイク、ヘアケア・ヘアメイク、ボディケア、フレグランス、メンズコスメティックス)について高価格帯、中価格帯、低価格帯に分類し、価格帯ごとの市場動向を明らかにした。また、消費者アンケートを実施し、訴求成分に関する意識や購買行動、SNSの活用、価格改定による購買への影響などについて世代別にまとめた。

化粧品の国内市場の2024年は、マスクを外す日常が戻ったことで、コロナ前と比べた落ち込みが長かったベースメイクの需要が本格的な回復に入った。またスキンケアではシートパックの使用習慣拡大や、ヘアケアのプラスワンアイテムの発売活発化など、スキンケアやヘアケア・ヘアメイクにおけるステップ(行程)数増加が図られ、市場は前年を上回った。また、訪日外国人観光客の増加により内資系ブランドに留まらず、為替の影響で外資系プレステージブランドのスキンケアやフレグランスも需要が増加した。市場はコロナ前の2019年を上回る3兆2,246億円となった。

2025年は、コロナ禍からの回復が一巡し市場の伸びは鈍化している。しかし、配合成分や処方技術に対する消費者の関心が高まり、機能性訴求による単価アップがスキンケアやヘアケア・ヘアメイクなどの複数のカテゴリーで進んでいることに加えて、ステップ数増加の傾向も継続しており、市場は拡大を維持するとみられる。

価格帯別では、高価格帯と低価格帯への二極化が近年の傾向である。2019年時点ではボリュームゾーンは中価格帯であったが、二極化の進行によって2025年は高価格帯が約40%、中価格帯が約35%、低価格帯が約25%となる見込みである。二極化の要因としては、様々な物やサービスの値上げを受けて、経済性重視の消費者と機能性や効果実感重視の消費者に分かれつつあることや、化粧品自体の価格上昇に伴い中価格帯から高価格帯へカテゴリーが変動するアイテムが増えていることが挙げられる。

高価格帯市場の2024年は前年比5%以上の増加となった。原料高騰などで値上げが相次ぎ、消費者の一部は中価格帯へシフトしたが、スキンケアやベースメイクでは品質を重視する消費者の意向が根強いことや、美容液などのスペシャルケアアイテムで高価格帯商品を選択する“メリハリ消費”がみられた。また、ヘアケア・ヘアメイクでは、“美髪課金”がキーワードとなってSNSなどで発信され、スキンケアと同様に成分や処方を訴求し、効果の期待感が高い商品が伸びた。2025年は、失敗しない買い物への志向が一層強まっている。効果に定評のあるスター商材のリニューアルや派生品の投入が活発であり、市場はさらに拡大するとみられる。

中価格帯市場は、高価格帯と低価格帯への需要二極化によって、苦戦している価格帯である。しかし、2024年はスキンケアやベースメイクのマス向けカウンセリングブランドが、機能性と価格のバランスが取れた商品として評価され好調であったことや、従来低価格帯での展開を主軸としてきた韓国ブランドのスキンケアが、成分を訴求して中価格帯で展開されるケースが増え、市場は拡大した。2025年も引き続きマス向けカウンセリングブランドや、韓国ブランドのスキンケアが成分や機能性で支持され市場をけん引するとみられる。一方でポイントメイクやヘアケア・ヘアメイクは価格二極化の影響で苦戦しているほか、複数のマス向けカウンセリングブランドの終了もあり、苦戦が続いている。

低価格帯市場の2024年は、前年比5%以上の拡大となった。スキンケアはシートパックの日常使いが定着、ポイントメイクは韓国ブランドの取り扱い拡大が加速しトレンドメイクを求める消費者の需要を取り込んだ。ベースメイクではカバー力やラスティング効果を訴求したクッションファンデーションが伸びたほか、コンシーラー、ハイライトなどのプラスワンアイテムを取り入れる消費者の増加などで好調だった。2025年も市場は拡大するとみられる。引き続きシートパックやクッションファンデーションの需要が伸びているほか、ポイントメイクではリップカラーやマスカラなどで1800円前後の比較的高単価なアイテムの投入が増えていることや、ミニサイズアイテムの展開でトライアルや複数買いの促進がみられる。

高価格帯ベースメイクは、ファンデーションの平均価格が4500円以上のブランドを対象とする。平均価格が7000円以上のブランドをハイプレステージ、4500円以上7000円未満のブランドをプレステージと大別している。

2024年は、脱マスクが進んだことでベースメイクの仕上がりやラスティング効果へのニーズが高まり、効果への期待が高い高価格帯ブランドが支持された。また、“ファンデ美容液”と訴求される、高いスキンケア効果をうたった商品が活発に発売され、市場拡大に寄与した。

2025年は、猛暑の影響で外出先でのメイク直しニーズが高まっていることを受け、携帯性の高い薄型のプレストパウダーの発売が相次いだ。スター商材の派生品として商品展開することで、需要獲得を狙う動きが顕著である。

2022年時点ではプレステージが50%以上であったが、年々構成比が変化し、2025年はハイプレステージが65%近くに拡大すると見込まれる。価格改定により単価が上昇したことや、定評のあるスター商材、高機能を訴求した商品への期待値が高まっていることが要因とみられる。また、内資系プレステージブランドを中心にインバウンド需要の取り込みも進んでいる。

低価格帯ポイントメイクは、リップカラーの平均価格、または主力商品の価格が2000円未満のポイントメイクを対象とする。

2024年は、ドラッグストアやバラエティショップにおいて、韓国ブランドの取り扱いが強化され、色落ちしにくいティントタイプのリップカラーや、リッププランパー、まつげの束感を演出するマスカラ、アイブロウコンシーラーなど、トレンドのメイクがかなうアイテムとしてSNSなどで話題を集め需要を獲得した。また、物価高騰の影響で中価格帯ポイントメイクからの需要シフトもみられた。

2025年は、既存品に比べて高単価な1800円から1900円程度のリップカラーやマスカラの発売が相次ぎ、低価格帯とする上限近くの商品が増加している。一方で価格を抑えたミニサイズアイテムによってトライアルや複数買いを促進するブランドも増加している。また、キーリングが付属したチャームコスメの注目度も高まっており、ファッションアイテムとしても使える化粧品として需要開拓が進んでいることなどもあり、市場拡大が続くとみられる。

消費者アンケート調査の価格改定の影響では、2023年の調査結果と比較して、全般的に安価な化粧品へシフトする意向が強まった。10代では、すべてのカテゴリーにおいて40%以上が化粧品・ブランドを切り替えると回答した。

[消費者アンケート調査対象]
調査対象:スキンケア/ベースメイク/ポイントメイクを購入したことがある15~69歳女性880人
調査方法:インターネット調査
調査期間:8月4日~6日

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]6月~8月

[小売価格]
書籍版:19万8000円
書籍/PDF版セット:23万1000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):25万3000円
ネットワークパッケージ版:39万6000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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