余剰食材をアップサイクルしたビールやスナック・ジンなどが誕生

SDGsやフードロスの観点から、近年では企業の間で廃棄品を生み出さない取り組みが活発化しているといわれている。しかし、こうした各社の努力がありながらも、依然として食品ロスは年間約522万トン生まれており、そのうちの約20%は食品製造段階で生じる廃棄品と算出されている(農林水産省HP「フードロスとは」)。こうした廃棄品が製造段階で生じている現実に着目し、その課題解決をミッションと掲げ、余剰になっている未利用食品原料に付加価値をつけて新たな商品を開発する「アップサイクル」という取り組みが活発化してきている。

「梅田木立(こだち)」

阪急阪神不動産、CRUST JAPANおよびUDSは、3月20日から、阪急阪神不動産が運営する大阪梅田ツインタワーズ・サウスのオフィスワーカー専用サポートフロア「WELLCO(ウェルコ)」において、余剰食材をアップサイクル(=従来なら捨てられてしまうものに新たな価値を与えて再生すること)して作ったクラフトビール「梅田木立(こだち)」(提供価格:1100円(税込))を同ビルで働く約1万人(満室稼働時想定)のオフィスワーカーを対象にバータイムで提供開始する。「梅田木立(こだち)」は、WELLCO内のカフェ「WELLCO DINING」の営業中に消費できなかった雑穀米を、CRUST JAPANがプロデュースしたレシピをもとに、大阪のブリュワリーがビールに生まれ変わらせ、WELLCO内のバー「WELLCO BAR」で提供することで、アップサイクルを実現させるもの。この取り組みによって、ビール1本につきおにぎり2個分程度の廃棄物抑制が実現する。

「アップサイクル 春にんじんクッキー」

スナックミーは、スナックミーオンラインストアにて「アップサイクル 春にんじんクッキー」(2180円、スナックミー会員:1880円(すべて税込・送料別))を3月16日から販売している。スナックミーでは、廃棄してしまう野菜や果物を全国の生産者から募集して一緒におやつを作る「アップサイクルおやつプロジェクト」の活動を行っている。今回はこの春に収穫をしたばかりの徳島県の名産「春にんじん」の規格外品を使用した。「アップサイクル 春にんじんクッキー」はシンプルな材料(小麦粉(国内製造)、人参、太白胡麻油、きび糖、アーモンドスライス、塩/ベーキングパウダー(一部に小麦を含む))で作られており、春にんじんの甘みを楽しめる。今回使用した「春にんじん」の規格外品は、形が歪であったり、少し傷がついていたりするため、店頭での販売が難しいとされているが、味は遜色ないもの。フードロス削減に少しでも貢献できればと考え、規格外品をスナックミー社で買い取り、にんじんクッキーに生まれ変わらせた。春夏にんじんの出荷量1位の徳島県産が誇る、素材本来のやさしい甘みを生かしている。

「NARITA AIRPORT ETHICAL GIN Cloud9」

成田国際空港(以下、NAA)のグループ企業の一つであるグリーンポート・エージェンシー(以下、GPA)は、成田空港周辺地域の素材を集めたオリジナルクラフトジン「NARITA AIRPORT ETHICAL GIN Cloud9(ナリタエアポートエシカルジンクラウドナイン)」(以下、Cloud9)(3850円:税込)をエシカル・スピリッツと共同開発した。NAAグループでは、「サステナブルNRT2050」を策定し、CO2排出量削減といった環境施策のほか、地域振興や資源循環などに取り組んでいる。このCloud9は原酒として酒々井町にある酒蔵の酒粕をアップサイクルした他、ボタニカルに成田空港のさらなる機能強化にともなって発生した伐採木の杉や地域のローカル素材を集めたエシカルで調和のとれた香り豊かなクラフトジンとなっている。多くのボタニカルを蒸留して製造したことで、精油成分が飽和し、軽く白く濁っているとのこと。ゆっくり寝かせて、浮いてきた油を掬い取る荒濾過で仕上げている。稀に油が液体表面に浮かぶが、天然の精油成分で品質には問題ないとのこと。記念すべきCloud9の第1バッチ蒸留分は限定500本として、3月17日から、GPAのECサイトで販売を開始した。また、成田空港内店舗、空港周辺施設(航空科学博物館等)、成田市内飲食店などで取り扱う予定だという。

「長野県立大学生オリジナルSKIスキカレー」

食品原料のWEB売買プラットフォーム「シェアシマ」を運営するICS-netは、同社がサイト内で販売するトマト原料が食品加工され、長野市戸隠スキー場内レストランで「長野県立大学生オリジナルSKIスキカレー」として販売を開始した。すでに販売されている長野市で余剰となっていた信州福味鶏のハツとレバーを活用したアップサイクルフード第一弾、長野市のウェハースの端材を活用した第二弾に次いで、他地域の食材と地元特産の信州黄金シャモを組み合わせる形で、商品化が実現した。未利用原料の再流通を促す「長野アップサイクル・フード」。今回紹介するのは、未利用原料における高知県産「千果(ミニトマト)」と長野県オリジナル地鶏の「信州黄金シャモ」に着目した商品企画とのこと。ミニトマトは、シェアシマ会員であるイチネン高知日高村農園が提供する「千果」。品質には問題ないものの、サイズなどの問題から正規品としてJA系統から出荷できないミニトマトをペースト状にして、カレールーに使用した。「千果」は、糖度・酸味のバランスが良いことから、生食するのはもちろん、調理用レシピとしても人気があるという。今回はこのトマトペーストをベースに、オリジナルカレーの開発にあたった。カレーの具材は、信州生まれの地鶏「信州黄金シャモ」。信州黄金シャモは、信州の大自然の中でのびのびと育ち、羽色と焼き色が黄金に輝くことから料理研究家の服部幸應氏によって「信州黄金シャモ」と命名された。脂肪分とカロリーが少ない上にアミノ酸系のうまみ成分が多く、抜群の歯ごたえと噛むほどに地鶏本来のうまみが特長となっている。今回は、農事組合法人とや原ファームが東御市御牧原の豊かな自然と四季の変化に富んだ環境で育てたこの「信州黄金シャモ」のむね肉を使用した。レシピ企画には、長野県立大学1年生発信力ゼミ8組の受講生に協力してもらい「長野県立大学生オリジナルSKIスキカレー」と命名した。同商品は、戸隠が運営する戸隠スキー場内レストラン「シャルマン戸隠」で限定販売している。

「ロスヘル」の規格外野菜

エクネスが展開する、食品ロス削減のため規格外野菜を定期配送するサービス「ロスヘル」は、神奈川県三浦市にある農家や漁師から規格外の「もったいない食材」を仕入れてプロの料理人が美味しい料理へと生まれ変わらせる「もったいない食堂」に規格外の野菜を提供した。本来食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス」の量は年間522万トンとなっている(農林水産省調べ)。日本人の1人当たりに換算すると約41キロ。これは日本人1人当たりが毎日、茶碗1杯分のご飯を捨てていることになる。同社はこうした食品ロス問題を解決するために、規格外野菜を定期配送するサービス「ロスヘル」をスタートした。規格外野菜とは味には問題がないのに、サイズが大きすぎる、逆に小さすぎる、あるいは形が不揃いといった理由で一般の流通ルートに乗らず、廃棄されてしまう野菜のこと。だが肝心の味は規格品と比べても、何の遜色もないという。「ロスヘル」ではそんな規格外野菜を全国各地から調達し、一般的な価格に比べて最大35%安い価格で毎月1回、定期便(月1836円~4860円:税込)で提供している。店に流通せずに廃棄されてしまう規格外野菜を有効活用し、食品ロスの削減を目指す試みとなっている。


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