丸善製薬がドクダミエキスによる歯肉上皮細胞の炎症抑制効果を報告、矯正歯科治療中の歯周炎リスク軽減につながる可能性

開花期のドクダミ

植物を中心とする天然物から、医薬品や医薬部外品、化粧品、食品の原料を製造する丸善製薬は、広島大学大学院医系科学研究科・歯科矯正学の國松亮准教授との共同研究によって、ドクダミエキスに歯肉上皮細胞の炎症に対する抑制作用を確認し、矯正歯科治療中に起こりうる歯周炎の予防に有用である可能性を見出した。この研究結果については、査読付き論文誌「Dentistry Journal」で報告したほか、9月29日~10月1日に開催された「第84回日本矯正歯科学会学術大会」でポスター発表を行った。丸善製薬では、同研究で得られた知見を活かし、歯周炎予防につながるオーラルケア製品向け機能性原料の開発に取り組んでいくとしている。

近年、口腔の健康状態が、全身の栄養状態や免疫力に影響を及ぼすことに加え、生活習慣病などの全身疾患の発症や悪化のリスクと関連することが明らかとなってきている。その予防策として、毎日のオーラルケアの重要性が認識されてきている。

また、歯並び・噛み合わせを改善することも口腔の健康維持および審美性の改善につながることから関心を集めており、成人で矯正歯科治療を受ける人の割合が増加している。一方、矯正装置を装着することで入念なオーラルケアの実施が困難となり、口腔衛生が低下し、歯周炎のリスクが高まることが懸念されている。

歯周炎は、歯周病菌によって引き起こされる炎症性疾患。口腔内の歯周病菌は歯の表面に付着し、バイオフィルム(プラーク)を形成する。適切なケアが行われず口腔内環境が悪化すると、プラークが成熟し、産生された病原性因子の刺激によって歯肉組織に炎症が発生する。このような歯肉炎の進行は歯周組織全体の炎症・破壊へとつながる。

丸善製薬では、広島大学大学院医系科学研究科・歯科矯正学の國松亮准教授と共同で、口腔への安全性が高い植物エキスのうち、伝統的に抗炎症作用が知られているドクダミ(Houttuynia cordata)のエキスについて、歯肉炎に対する有効性を検証した。

歯周組織の物理的および免疫学的バリアとしての役割を果たす歯肉上皮に着目し、正常ヒト歯肉角化細胞(PGKs)を用いた評価を行った。PGKsに炎症誘発物質としてインターロイキン-1β(IL-1β)を添加したところ、炎症性因子であるTNF-α、IL-8およびICAM-1の遺伝子発現およびタンパク質産生が顕著に増加した。上記の細胞において、IL-1βにより炎症を誘発する前にドクダミエキスを添加した場合には、これらの炎症性因子の産生は抑制された。

同研究によって、ドクダミエキスが歯肉上皮細胞におけるIL-1β誘発性炎症に対して抑制作用を示すことが明らかとなった。IL-1βは、矯正歯科治療の初期段階で歯周組織において顕著に産生が増加し、歯周炎の程度と相関することが知られている。したがって、ドクダミエキスは矯正歯科治療中に起こりうる歯周炎の予防に有用である可能性が示唆された。

丸善製薬は、今後も歯周組織における植物エキスの有効性に関する研究を推進し、口腔環境改善に寄与する機能性原料の開発に取り組んでいく考え。


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