- 健康管理!教えて!!2025/07/18 23:55
「ランゲルハンス細胞」の役割とは? 皮膚からの異物の侵入を見張り防御する自然免疫

私たちの皮膚では、表皮や汗、血液、常在菌などで様々な第一防御が行われています。しかし、皮膚は体の表面を覆っており、絶えずウイルスや細菌など外部環境の異物と接触しているため、これらの防御が破られてしまうこともあります。そこで、次に働くのが第二防御機構である自然免疫です。表皮では、自然免疫の一つである「ランゲルハンス細胞」が異物の侵入を見張り、第三防御機構の免疫細胞とも連動しながら防御をしています。では、ランゲルハンス細胞はどのような働きをしているのでしょうか。
ランゲルハンス細胞は、主に表皮の有棘層に多く存在する樹状細胞の一つです。ランゲルハンスと聞くと、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島を想像する人もいるかと思いますが、それとは全く別物です。ドイツの医学者パウル・ランゲルハンスが双方ともに発見をしたため、似たような名前がついているのです。
ランゲルハンス細胞には、枝を伸ばしたような樹状突起があり、先端には情報を受信するためのレセプターがついています。一つの細胞に約3000個のレセプターがあるため、外部からの異物の侵入を敏感に感知することができ、表皮内を自由に移動しながら、常に異物がいないか監視をしています。
ランゲルハンス細胞には、主に侵入してきた抗原(異物)を貪食したり、抗原の情報をリンパ球や脳に伝えたりする働きがあります。抗原が有棘層に侵入すると、ランゲルハンス細胞がレセプターを通して、抗原を取り込みます。そして、処理をした後に、リンパ節にいるT細胞に抗原の情報を伝える抗原提示を行います。ランゲルハンス細胞は、有棘層以外にも、真皮や毛包、皮脂腺、口腔、食道など体の様々な部位に存在し、第二防御のために重要な働きをしています。
なお、ランゲルハンス細胞は、加齢や紫外線、石油系合成界面活性剤などの刺激によって数が減少してしまいます。日頃の紫外線ケアに加え、石油系合成界面活性剤が含まれるシャンプーやクレンジング剤などでの過剰な洗浄は避け、保湿をしっかりするようにしましょう。(監修:健康管理士一般指導員)