「インスリン」を活性化させるポイントは? 体内で血糖値を下げる唯一のホルモン

血糖値をコントロールする上で欠かせないホルモンが「インスリン」です。血糖値をコントロールするホルモンは数種類存在していますが、血糖値を下げるホルモンは膵臓から分泌されるインスリンだけであり、その他のホルモンはすべて血糖値を上げるように作用します。血糖値を下げるホルモンが1つしか備わっていないのは、人類の歴史上、常に飢餓の危険にさらされてきたためだと考えられています。飢餓に対応するために血糖値を上げるホルモンは多く必要でしたが、血糖値を下げるホルモンの必要性は低かったのです。しかし、飽食の時代となった現代社会では、糖の過剰摂取で起こる糖尿病が国民病と呼ばれるほど増加しています。

インスリンを受け取るための受容体は、主に筋肉、内臓、脂肪組織の細胞に存在しています。インスリンは、細胞の扉を開ける鍵のような役割をしており、インスリンが細胞の受容体と結合することで、ブドウ糖(グルコース)を細胞内へ取り込むことができる仕組みとなっています。そのため、インスリンが分泌されないと血液中にブドウ糖(グルコース)が余り高血糖状態となってしまいます。その状態が慢性化すると、糖尿病の発症へとつながります。また、細胞内に取り込まれた過剰なブドウ糖(グルコース)は、インスリンの働きによりグリコーゲンや中性脂肪に変換され蓄えられる仕組みになっています。

では、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを活性化させるにはどうしたらよいのでしょうか。一つ目のポイントは、内臓脂肪(白色脂肪細胞)を減らすことです。脂肪細胞には大きく分けて「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」があります。白色脂肪細胞は中性脂肪などの脂質や糖をエネルギーとして蓄えます。一方、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼し熱を産生する働きがあります。このうち、インスリンの作用に影響をもたらすのが白色脂肪細胞です。

近年の研究で、白色脂肪細胞によって分泌される「アディポネクチン」という善玉物質がインスリンの働きを良くすることが明らかになっています。しかし、食べ過ぎや運動不足などでエネルギーが過剰に溜まると、白色脂肪細胞は肥大化し、さらには細胞の数を増やしていきます。すると、アディポネクチンの分泌は減少し、逆に「TNF-α」という悪玉物質が増加することで、インスリンの働きが悪くなる(インスリン抵抗性が高まる)とされています。

もう一つのポイントが、運動でインスリン抵抗性を改善することです。無酸素運動(筋力トレーニング)をすることによって筋肉が増えると、基礎代謝量が上がり内臓脂肪の軽減につながるため、インスリン抵抗性が改善されます。さらに、筋肉量が増えることでインスリンによるブドウ糖(グルコース)の取り込みがより盛んになり血糖値は下がりやすくなるそうです。

また、有酸素運動によって筋肉への血流量が増えることでも、ブドウ糖(グルコース)が細胞の中に多く取り込まれるようになり、血糖コントロールがしやすくなります。ただし、強度の高い激しい運動は、体が動くためにエネルギーを補充しようとして、アドレナリンなどの血糖値を上げるホルモンの分泌を増やし、一時的に血糖値が高くなることがあるので注意してください。(監修:健康管理士一般指導員)


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